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公立病院改革と財政支援 不採算部門どう支えるか
総務省は検討会を設置し、過疎地など不採算地区の公立病院などに交付税を増額する一方、建築単価の上限を設けて病院が豪華にならないよう誘導する。写真は立て替えが計画されている山鹿市立病院=山鹿市山鹿
 総務省の「公立病院に関する財政措置のあり方等検討会」(座長・持田信樹東京大大学院教授)が一日あり、公立病院に対する国の財政支援見直しの協議を始めた。

 検討会は月一回のペースで開く。十一月に報告書をまとめ、年末の予算編成時に作成される二〇〇九年度の地方財政計画に反映させる。総務省は昨年十二月、「公立病院改革ガイドライン」を策定。〇八年度から経営形態の見直しなどを求めている。

■病院再編

 検討会で扱う主なテーマは(1)地域医療確保のため、不採算地区の病院・診療所に必要な財政措置(2)医師不足が深刻な産科、小児科、救急といった科目の確保(3)経営形態見直しに伴う財政支援の在り方、など。また改革ガイドラインが指摘した病院建物の建築単価の上限設定や病床数への病床利用率の打ち返しなども話し合う。

 政府の経済財政諮問会議は「経済財政改革の基本方針二〇〇七(骨太の方針二〇〇七)」で公立病院の再編・ネットワーク化推進を打ち出した。総務省は、保健所単位の二次医療圏での病院再編・ネットワーク化に向け、市町村や有識者との検討・協議の場の設置を都道府県に要望。〇八年度に再編計画を作成し、二〇一三年度までの実施を迫っている。

 病院再編・ネットワーク化は二次医療圏の基幹病院に機能を集中させる一方、非基幹病院の診療所化などを進める方法。病院を経営する都道府県や市町村、一部事務組合・広域連合の計六百五十七団体に対し、総務省は四月末、改革ガイドラインに基づく改革プランの策定状況などを尋ねた。その結果、公立病院の再編・ネットワーク化の検討・協議の場を既に設置した都道府県は、既存組織の利用を含め二十道県(42・6%)にとどまった。

■至難の業

 さらに経営形態にメスを入れた都道府県も少なかった。熊本県もその一つ。県立こころの医療センターと上天草市立上天草総合病院が人事権と予算権を持つ病院管理者を置いた程度。それ以外の病院は地方公営企業法の一部適用を維持、一般会計からの繰入金でしのいでいる。不良債務を圧縮するため病院特例債を発行、借金の返済期間を延ばす荒尾市民病院のような例も。

 改革ガイドラインは、過去三年間連続で病床利用率70%未満の病院に病床削減を迫っている。一般会計からの繰入金依存を断ち切るため、地方独立行政法人への移行や民間への売却、民間に管理委託する指定管理制度の導入といった選択肢も挙げている。

 公立病院に対する国の財政支援が、「昨今の財政状況から手厚くなることはない」(総務省地域企業経営企画室)とみられ、現状維持は至難の業に近い。ただ一方で公立病院は、へき地や離島の医療を担い、救急、小児、災害、周産期、精神など不採算部門や特別な医療を支えてきた。

 国が、病院再編・ネットワーク化などのテコ入れに財政支援を絡めてくるのは想像に難くない。それは地域医療にどんな影響をもたらすか|。検討会が背負う荷は重い。(南里秀之)

(熊本日日新聞2008年7月8日付夕刊メディカル)
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