鳥取県婦人相談所の一時保護所を利用したDV被害者の女性らが、職員の対応や処遇の悪さなどによって精神的苦痛を受けたと、県や新日本海新聞社に不満や苦情を訴えた。「勇気を出して訴えなければ、何も改善されない」と告発者ら。先日は自殺未遂も発生しており、被害女性への二次被害を防止するためにも早急な対策が求められている。
告発者の一人、五十代の女性。DVが原因で離婚した元夫からストーカー行為などを受け、一時保護を求めて県婦人相談所を訪れた。「何しに来たの?」「これからどうするつもりだ」など職員の冷ややかな対応などによって精神的に追い詰められ、自殺未遂も引き起こしたという。
「家財道具を一切売り払い、最後の最後に行き着く場として助けを求めてやって来たのに、これが精神的に傷ついた人間に対して行政のやることですか」。女性は悲痛な声をあげる。
幼い子どもを連れ、車上生活を続けながら県外から逃れてきた四十代女性。所持金が少なく、子供が病気になっても病院に連れていくことができなかった。おしめ代も自己負担。申請すれば、子どもの医療費やおしめ代が負担してもらえることも知らなかったという。
これまで、一時保護制度の仕組みや具体的にどんな支援をしてくれるのかなどの説明はない。世話になっているという気後れから不満は胸にしまっていたが、「鳥取県はDV先進県と大きな顔をしながら実態は全く違う。私たちのような二次被害者を出さないためにも、声をあげたことを理解してほしい」と訴える。
彼女らは今月二日、県庁を訪問。苦情を受け付ける県民室や県子育て支援総室、行政監察室の担当者らを交えて現状を説明し、改善を求める行動に出た。
県内の一時保護機関等における苦情解決システムはいまだ不十分。県DV被害者支援計画の中では、被害者の処遇向上と支援者のレベルアップを図る目的で、第三者機関の設置を含めて検討課題とされているが、いまだ実現していない。
今回の事態を受け、県婦人相談所では「サービス向上の機会としてとらえ、改善できることはしていきたい」と説明。利用者の気持ちに沿った丁寧な対応のあり方について、あらためて職員が自省するほか、今後は一時保護後の具体的な支援の内容等を文書化して手渡すなど、きめ細かいサービスの提供に努めるとしている。