北海道洞爺湖サミットに参加しているフランスのサルコジ大統領は9日朝、中国の胡錦濤国家主席と会談し、来月の北京五輪開会式に出席すると正式に伝えた。パリで聖火リレーが妨害されたことをきっかけに悪化していた中仏関係の修復を狙う。
仏側の説明によると、サルコジ氏は開会式出席の可否について欧州連合(EU)加盟国に事前に打診。仏大統領としてだけでなく、7月から務めているEU議長の立場でも出席する承認を得たという。
サルコジ氏が出席の意向を表明したのは、五輪成功が至上命題である胡錦濤指導部にとって歓迎すべき動きだ。各国首脳の欠席が相次いで五輪に傷がつけば、国威発揚どころか政権基盤への打撃になりかねないからだ。チベット問題を巡る国際社会の中国政府への批判は、各地で聖火リレー妨害を招いたものの、ダライ・ラマ14世側との対話開始や四川大地震の発生で最近、トーンダウンしており、胡政権が望む流れになりつつある。
だが、中国国内の反感は根強い。大手サイトのネット世論調査では、サルコジ氏の五輪出席に反対する声が約9割にのぼり、「日本の小泉元首相の後、中国民衆に最も嫌われた外国指導者」と指摘した中国紙もある。(国末憲人、琴寄辰男)