伊賀市の診療所「谷本整形」の院内感染問題に関連し、一部の保健所長が兼務になっていることについて、野呂昭彦知事は8日の定例会見で「決して望ましい形だと思っていないが、根本的に医師不足の問題がある」と述べ、医師が務めている保健所長の人材を確保するため、国などに働きかけていく考えを示した。【田中功一】
保健所長は、公衆衛生に精通した適切な医師が確保できない場合は特例的に医師以外が就くこともできるが、医師と同等以上の知識を有することなどが条件とされるため、全国的にも特例が適用された例はない。県内でも県所管の8保健所長はいずれも医師が務めている。しかし、医師不足から、うち津と伊賀、尾鷲と熊野の所長は兼務になっている。
このため7日行われた県議会議長の定例会見でも、萩野虔一議長が、谷本整形の問題に関連して「(こうした大きな問題に対処する)保健所長が兼務なのは、いかがなものか」などと県側の態勢に疑問を投げかけていた。
野呂知事は「退職や異動で欠員が生じ、兼務になっている。公衆衛生の実務経験がある医師の公募と共に、三重大学など関係機関にも医師派遣を依頼している」とした上で「全国的にも医師不足の中で保健所長の兼務はある。厚生労働省に対し、医師不足の根本的な解決を含めて医師派遣を依頼していきたい」と述べた。
〔三重版〕
毎日新聞 2008年7月9日 地方版