和歌山県那智勝浦町の中村詔二郎町長は10日開会した3月町議会で、大型年金保養基地「グリーンピア南紀」の跡地利用計画の契約解除に合意した中国系企業「香港ボアオ」が、町に約2億8000万円の支払いを求める民事調停を東京簡裁に申し立てていたことを明らかにした。 町は、町所有分の跡地を1億6000万円で10年間賃貸借し、その後は無償で譲渡する内容の契約を香港ボアオと結んだ。契約解除に伴い、町はこれまで企業側から振り込まれていた1億3600万円に加え、諸経費などの返還について交渉を進めていた。 中村町長は昨年12月の町議会で、賃料返却のほかに企業の諸経費を負担する可能性について「企業側が町に請求しない方針」と説明するなど、交渉が順調に進んでいることを強調していた。しかし、企業側は、解約の諸経費に1億円以上かかったと主張し、責任は町にあるとして支払った賃料の約2倍の額を請求した。 町と企業が交わした契約書には、契約解除が町に起因する場合、町は受け取り済み賃料の2倍額を返すという条項がある。 中村町長は「到底受け入れられない額」として、早期解決に向けて裁判官に公平な判断を求める方針という。 一般会計は61億円 前年度比0・1%増 那智勝浦町は10日、町議会に前年度比0・1%増となる総額61億6000万円の2008年度一般会計当初予算案など36議案を提出した。 主な事業は、勝浦地区広域漁港の人工地盤と耐震岸壁の整備1億6000万円、勝浦小学校新築のための設計業務委託3742万円、グリーンピア南紀跡地の維持管理1401万円など。 町議会は24日まで。一般質問は19、21日。