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DNPデジタルコムの取り組み その1
クライアントに「最適」な提案を続けていく
「単純に新しい技術をすすめるだけでなく、お客さまのビジネスの状況を読みながらタイミングよく提案することが大切」と澤田はいう。クライアントから求められているものを過不足なく理解し遂行していくことも重要だが、それ以上に、クライアント自身が気づいていない潜在的なニーズを掘り起こしていく作業が不可欠なのだ。澤田が絶妙なタイミングで提案した「携帯版買い物かご」の機能や携帯電話を使った新たな展開は、いずれも「Mekke!」に大きな転機をもたらした。またスタッフの選任についても、クライアントの気持ちを考えた提案力が発揮されている。
仲内 フィギュアが売れたのは、商品そのものに魅力があったからだと思いますが、ネットの力も大きかったのではないかと考えています。誌上通販とは反応がまったく違っていました。紙媒体で見るよりもずっと訴求力があったのでしょう。
岩永 商品を実際に手に取ってみるのが一番訴える力が大きい。ネットで買い物をするときは、それに近いリアリティがあるのかもしれませんね。もちろん、しっかりとした技術があったからこそ、商品を魅力的に見せることができたのだと思います。
仲内 その後も澤田さんはタイミングよく「こんな技術がありますよ」と提案されていましたね。それがことごとくツボにはまっているんです。たとえば携帯電話を使った展開を最初に提案されたときは、ちょうど2004年のJUMPフェスタグッズの販売計画が進展しているときでした。「10代はPCより携帯ですから、この技術を使うといい」という澤田さんの予想はたしかに正しかった。
澤田 このときは富士写真フイルムさんの「Keitai Picture」という技術を提案させていただきました。大きくキレイな画像を携帯画面で見られるだけでなく、フラッシュを使っていろんな角度から確認できるんです。
岩永 当時、携帯の機種依存に関わる問題は、結構深刻でしたよね。新機種になるほど解像度が高く、まさに指の爪ほどのサムネイルしか表示できない。これだと商品を確認できないから、なかなか買いたいと思ってもらえなかったかもしれません。また携帯サイトを充実させたおかげで、PCサイトしかなかった頃よりずっと客層が厚くなったと思う。コミックスの読者層は10代後半中心。彼女たちはあまりPCを使わないから、携帯で買えるかどうかがキーポイントになるわけです。
澤田 やはり商品がキレイに見えると、それだけで説得力が違ってきます。ユーザーにとってもサービスになると思ったんです。
岩永 以前は、集英社のカスタマーサポートセンターに読者の方から商品の細かい部分を問い合わせてくるお客さまが結構いらっしゃいました。商品のクオリティを確かめられないから不安になるのでしょう。しかし、「Keitai Picture」を導入してからダイレクトに購買していただけるようになりましたね。
澤田 「携帯版買い物かご」の機能を取り入れていただいたのは『NANA』の映画化直前でしたね。この機能があれば、一人のユーザーが複数の買い物をしても一括して管理することができます。また、ユーザーにとっても余分な送料がかからないというメリットがあります。『NANA』の熱心なファンは同時にいくつもの関連商品を買い揃えたいだろう、だったらPC版だけではなく絶対に携帯版も買い物かご機能が必要だと僕は考えたんです。
岩永 たしかに携帯版買い物かごは、私たちが想像する以上の効果がありました。
澤田 お役に立ちたいという前提で、自分のできることを提案しているだけです。
岩永 こうやってネット販売をしていると結構いろんな発見があるものなんですよ。たとえば「Mekke!」の商品の一部はジャンプショップでも売っているのですが、ネットとリアルの店舗では商品の動向が全然違うんです。路面店はどちらかといえば「お土産」的な買われ方をする例が多いけれど、ネットの方はある部分、マニアックな購買意欲を刺激しなければならない。「ネットだから売れる」という商品は結構多いものなんです。ただ、それをキッチリ実現させるためにも、技術的な態勢を整えていかなくてはならない。商品をキレイに見せたり、便利に買い物ができるという細かい部分のブラッシュアップは大事なんですよ。
仲内 インターネット以前にも、コミックスと連動した「マルチメディア商品」をつくったことがありました。ただ、あの頃はまだ、本の流通と似たり寄ったりだった部分があります。ECサイトの事業に取り組むようになって、デジタルコムさんから、いろんな提案を受けていくなかで、新たな流通の可能性に気づかされる場面は本当に多い。
澤田 集英社さんのネット事業は目的が明確ですから、提案しやすいところがあるんです。また、提案したサービスや技術の効果をきっちり受け止めていただけるので、こちらとしてもやりがいが大きいのです。
岩永 澤田さんには技術的な部分だけでなく、いろんな提案をしていただいていますね。スタッフィングの面でも気を配ってもらっているんです。たとえば対象が『少女漫画』だったら女性のデザイナー、『少年漫画』の展開なら若い男性のデザイナーと、きめ細かい対応をしていただいているので助かります。