2008/07/07
パソコン画像やDVDなどのビデオ映像をスクリーンに拡大して投影する機能を提供するプロジェクタ。社内の会議や顧客へのプレゼンテーションを円滑に行うのはもちろん、ペーパーレス化に貢献するオフィスツールとしても期待されている。最近では照明をつけたまま投影できる高輝度製品や、鞄の中にすっぽり納まるような小型・薄型製品が登場、さらに低価格化が進んでいることもあり、プロジェクタがあらゆる企業に普及していくと考えられている。ここでは、プロジェクタの基本的な構造と最新プロジェクタの動向や最新技術を解説する。製品選びのポイントについてはIT製品選び方ガイドをご覧いただきたい。 |
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プロジェクタとは? |
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プロジェクタは、映画やスライドなどの画像を光源(ランプ)とレンズを用いて、スクリーン上に拡大して投影する機械のことである。プロジェクタは大きく、室内を暗くし映画などを大画面で鑑賞するのに使われるホームプロジェクタと、主にパソコンでつくられた資料を大画面に映し出すために使われるデータプロジェクタに分かれる。本特集でいうプロジェクタとは、後者のデータプロジェクタを指す。
プロジェクタの構造は光源、表示パネル、投射レンズから成り、表示パネルにはいくつかの方式がある。
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【透過型液晶(LCD)方式】
液晶パネルを利用してスクリーンに映像や画像を投影する方式で、LCD方式の中で最も注目を集めているのが、「3LCD」だ。これは、ランプから出た光をRGBの3色に分解して、各光を3枚ある高温ポリシリコンTFT液晶パネル(HTPS)に個別に透過させた後、プリズムで再合成して映し出す方式である。レンズからフルカラーの映像を連続的に投射するため、動きや色がスムーズに再現できる。中間色の再現性に優れており、部品のコストが安いため、価格が抑えられるというメリットもある。
しかし、ほかの方式に比べて、開口率(断面積に対する光の通過する面積の比率。開口率が高いほど効率良く光を通過させることが可能。)が低いことや、液晶パネルはランプよりも長いものの寿命があること(偏光板などの劣化により、色調が変化するため)がデメリットとなっている。塵やホコリにも弱いため、フィルタ交換は必須となる。
明るさは後述するDLP方式よりも劣ると言われているが、それはあくまでも白を比較した場合で、カラーでの明るさ、美しさはむしろDLP方式よりも優れている。
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【DLP方式】
米テキサス・インスツルメンツが開発したDLPチップを表示デバイスとして使用する方式。DLPチップ上には±12度の角度に傾く超微小なミラー(ミラー1枚が1画素)が48〜200万個敷き詰められており、そのミラーに光をあて、オン/オフの信号の切り替えにより、傾きを変えて映像を投影する。オンの場合は、その反射光がレンズを通りスクリーン上に投影され、オフの場合は、光は光吸収板に吸収されてスクリーンは黒くなる。このオン/オフの切り替えを毎秒5000回以上という高速で行うことで、滑らかな映像を映し出し、RGBに色分けされた高速回転するカラーホイールに光を通過させることで色彩を表現する。
DLP方式のメリットは、画像の信頼性や高精細性、高コントラスト性に優れていること、焼付けや色あせが少ないことと言われている。また密閉性が高いため、塵、ホコリなどにも強く、耐久性にも優れている。DLPプロジェクタは1つのチップで構成できるため(シアター用など高輝度大画面向け製品は3チップ方式)、小型化しやすいことも特徴である。
明るさについてはLCD方式よりも優れていると言われているが、これは白色で比較されるため、DLP方式の場合はカラーホイールの白セグメントを大きくすれば明るくできる。しかし、そうすればカラーは暗く見えるので注意が必要だ。
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【LCOS方式】
シリコン基板と透明基板の間に液晶を挟みこみ、光を反射することで表示する反射型液晶(LCOS)を採用している方式。LCOSの特徴は、シリコン基板に反射画素電極や配線が設置されているため開口率の高さを保持できることだ。
LCOS方式は、画素ピッチと画素間ギャップが小さいため、格子感のない滑らかな映像を提供できる。また、高解像度化がしやすくコントラスト比に優れており、より精細な画像表示が求められる医療現場、プラネタリウムや3Dシアターなどの業務用プロジェクタ分野での伸びが期待されている。
プロジェクタは設置形態によっても3つに分類することができる。会議室などに据え置いたり天吊りしたりするなど常設するパワーユースタイプ、会議室間移動などオフィス内で持ち歩くポータブルタイプ、オフィス外に持ち出すモバイルユースタイプだ。近年は各メーカーとも小型化に注力しており、ポータブルタイプやモバイルユースタイプに注目が集まっている状況で、外に持ち出すモバイルタイプは質量が約3kg以下、ポータブルタイプは約10kg以下のものを指すことが多い。
プロジェクタの明るさはルーメンという単位で表される。ルーメンとはプロジェクタから出る光束(光の総量、光出力)を表す単位のことで、この数値が大きくなればなるほど、映し出される画像は明るくなる。ルーメンとは、投射する画面を縦横3分割ずつ(9分割)し、各分割画面の中心の照度(ルクス)を測定、その平均照度から光束を算出した値である。ちなみに1ルクスとは1ルーメンの光束が1平方メートルの面を照らすときの照度。つまりルーメンが高くても、スクリーンが大きくなれば照度は低くなるということである。
標準的なオフィスの照度は400〜500ルクスと言われている。例えば、400ルクスのオフィスで照明を落とさずに投影したい場合は、約4倍、1600ルクスのスクリーン照度が求められる。2000ルーメンのプロジェクタであれば、60インチのスクリーンなら十分、80インチでも明るいままで映像を映し出すことができる。
プロジェクタの解像度は画面縦横に敷き詰められたピクセル数(画素数)で表現される(水平方向のピクセル数×垂直方向のピクセル数)。投射サイズが同じであるなら、ピクセル数が多い(解像度が高い)ほど、精細かつきれいな表示が可能になるというわけだ。カタログで表記されている「SVGA」や「XGA」「WXGA」などは画面サイズをグラフィックス表示規格であらわしたものである。
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ディスプレイの世界ではさらに高画質大画面の解像度として、SXGA(1280×1024ピクセル)、UXGA(1600×1200ピクセル)、QXGA(2048×1536)なども登場しているが、プロジェクタの世界ではWXGAが最高画質・大画面の解像度となっている。
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