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【秋葉原通り魔事件】暴発は脳の機能不全? 脚光浴びる脳科学 (2/2ページ)
感性・脳科学教育研究会の会長を務める高橋史朗明星大教授は「米国の大学では、自己抑制機能をつかさどる眼窩(がんか)前頭皮質の臨界期(学習が成立しなくなる限界の時期)は3歳までとする研究成果が発表されている。幼少期に愛着が形成されなかったことが相次ぐ事件の一要因の可能性はある」とみる。
文科省は既に「脳科学」について検証している。平成17年に脳科学の知見をまとめた報告書で、(1)興奮抑制作用があり脳の海馬(かいば)の近くにある「ベンゾジアゼピン受容体」の機能不全が、子供がキレる現象に関係がある(2)側頭葉の内側にある扁桃(へんとう)体の機能不全が攻撃性を高める可能性がある−との学説の重要性を確認。さらに解明すべきだとした。
渡海紀三朗文科相は、「脳科学との関係を懇談会を考えている。何かわかるかもしれない」と、脳科学による若者の暴発行動の解明に期待を寄せている。
ノー携帯デー提唱の声も
インターネットやゲームなどと子供の心の関連性についての研究は、民間団体を中心に始まっている。接触時間が長いほど、自尊心が低く暴力的になりがちな傾向も浮かんでおり、識者からは「ノー携帯デー」を勧める声が出ている。
文科省がNPO法人「子どもとメディア」に委託した調査によると、「ときどき人や物を叩(たた)いたり殴りたくなる」子供の割合は、携帯電話やパソコンなどのメディアとの接触が平日6時間超だと61.6%で、接触しない子供の4倍以上に上った。「自分が好き」な中学生はゲーム接触時間が2時間以上の場合、顕著に低かった。
ノンフィクション作家の柳田邦男氏は、「携帯電話やインターネットは依存症になりやすい。自分の主張を発信し続ける掲示板に熱中すると、自分が世界の中心にいるかのような錯覚に陥る。匿名発信により、ゆがんだ二重人格になる傾向もある」と指摘する。
その上で、「がんじがらめにする必要はないが、携帯電話、テレビやゲームに接触しない日を定期的に設けて対人関係の良さを味わわせることが大切だ」と話している。
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