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【主張】温暖化対策 半減目標の具体化が問題
主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の2日目は、主要8カ国(G8)首脳ら正式なサミットメンバーだけによる会合を開き、世界経済、地球温暖化、食糧危機、開発・アフリカ問題、核不拡散、和平を含む政治問題などについて協議した。
その結果、多岐にわたる地球規模の課題に、G8として厳しい現状認識を示すとともに、問題解決へ向けた一定の方向性を打ち出すことはできたようだ。
その意味では一歩前進といえるが、あいまいな表現も多く、具体化に問題を残した。今後は対策の具体化に向け、一層の国際協調努力が求められる。
主要テーマの地球温暖化対策では、「2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量を少なくとも半減させる」という長期目標について、「気候変動枠組み条約の全締約国と共有し、採択することを求める」ことで一致した。
長期目標に慎重だった米国を含め、少なくともG8としては「50年半減」を「世界の目標」として求めることでは合意したわけで、昨年のドイツでのサミットの「真剣に検討する」という表現からは一歩踏みこんだ。G8が「野心的な中期の国別総量目標」を設定することでも合意した。
しかし、排出削減はG8の合意通り、排出国全体での取り組みが不可欠だ。きょう開くG8を含めた16カ国首脳による「主要排出国会合」(MEM)の結論に注目したい。MEMには排出量ですでに世界一の中国やインドなどの新興国も入っている。
13年以降の温室効果ガス削減の枠組み(ポスト京都議定書)作りは、国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP)を主舞台にして、来年末までの合意を目指している。それを後押しするためにも、今回のサミットとMEMの合意が重要な意味を持つ。
世界経済では、下方リスク、原油・食料価格上昇によるインフレなどに「強い懸念」を表明、世界貿易機関(WTO)交渉の成功の重要性も強調したが、有効な具体策にまでは及ばなかった。
北朝鮮、イランなどを含む政治課題では、日本人拉致問題の解決や北に人権状況の改善を求めていくことで一致した。
G8の結論を受け、今後は6カ国協議など分野ごとの交渉で、有効な解決策の具体化に全力を挙げることが求められる。