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2008年7月9日

 北京五輪の中国ジョークを一つ。マラソン選手らが大気汚染を抗議したところ、中国当局者が「次の霧の都ロンドン大会の予行練習と考えてください」と言った…。開幕まで一カ月。笑い飛ばせないところが怖い

大気汚染や食の安全への懸念は、依然、消えていない。二十四カ国のチームが、最終調整の合宿地を県内など日本に決めていることからも明らかだ。セーリング会場となる青島沿岸では大量の藻が漂着しており、海洋汚染との関係も考えられる

テロの不安もある。警察犬の強化や選手の拉致対策、化学爆弾処理などの訓練が盛んである。厳戒態勢で行われた聖火リレーがよみがえる。本番の競技もそれを上回る厳重な警備の中で行われるのだろう

東京大会のとき、警官の主な仕事は交通整理とテロを想定しない会場警備だったという。政治色の濃いイベントに選手はまるでかごの中の鳥のようだ

真の「超大国」入りを狙う中国が威信をかけた五輪。問題は大会が終わった後だろう。さまざまな規制が解かれ、人権のない公害超大国に戻ったとき、世界から笑みが消えるかもしれない。


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