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【洞爺湖サミット】拉致入ったが、強いメッセージなく G8首脳宣言
8日まとまったG8首脳による首脳宣言は、北朝鮮に関連し、「拉致問題」という文言が初めて盛り込まれたものの、あくまで朝鮮半島の非核化プロセスの一部という扱いだ。
首脳宣言における拉致問題の表現は、昨年のハイリゲンダム・サミット(ドイツ)では「未解決の懸案」、一昨年のサンクトペテルブルク・サミット(ロシア)では「懸案事項」と表記され、「拉致」と明記されることはなかった。北朝鮮問題に対する各国の姿勢は、それぞれの思惑もあって足並みがそろっていないためだった。それが、ようやく拉致を記述するところまでこぎつけた。
通常、外交文書は当事国の事務方が細部を詰めて作成するが、サミットの政治宣言は各国首脳が直接議論し、まとめていく。それだけに福田議長の力量が問われる場面だった。
また、「議長国には強い権限がある」(閣僚経験者)という利点を生かして意見をとりまとめ、拉致問題に関して明確な発信を行うことが福田首相に期待されていた。首相と今月2日に会談した安倍晋三前首相は、「日本でサミットを開催するのだから、政治宣言では拉致に関する言葉の中身を変えて、強くしないとダメだ」と求めたという。
だが、今回の首脳宣言での拉致問題の比重は、小さく、北朝鮮に向けた具体的で強烈なメッセージとなったとは言い難い。「拉致の文言がないよりはよい」(拉致議連幹部)というレベルにとどまったのが実態だ。(阿比留瑠比)