【ソウル7日小出浩樹】韓国の李明博(イミョンバク)大統領は7日、ソウルの青瓦台(大統領官邸)で川崎隆生・西日本新聞社社長らと会見し、福岡市と釜山市を軸にした九州と韓国東南部の「超広域経済圏」構想について、韓国政府として「今年後半に本格的な議論に入る」と述べた。また北朝鮮による日本人拉致問題の解決や、6カ国協議を通じた北朝鮮核放棄の重要性を強調した。
九州と韓国の経済圏構想は、昨年12月の大統領選公約だったが、李大統領が2月の就任後具体的に言及したのは初めて。ここ数年、民間や自治体ベースで急速に進んでいる福岡、釜山両地域の交流促進に、韓国政府として初めて正式に取り組む。
会見では、川崎氏のほか、大島寅夫・中日新聞社社長、菊池育夫・北海道新聞社社長が、それぞれの地域に関連する課題や日韓関係、北朝鮮問題などについて、李大統領にインタビューした。
経済圏構想について、李大統領は「韓日関係は共同経済圏を形成して発展する。特に釜山と九州は同じ経済圏なので、具体的な進展を望む」と指摘。政府内での議論は「今年5月に発足した国家均衡発展委員会を中心に行う」と述べた。
大統領はまた、日本人拉致問題について「個人を破壊し、家庭と社会を破壊する人道問題」と強調し、韓国人拉致問題(政府認定被害者486人)と合わせ「必ず解決されなければならない」と語った。
北朝鮮が先月、6カ国協議関係国に示した「核計画申告書」については、「核兵器が含まれておらず不十分」と批判。「核放棄が自国の利益につながると(6カ国協議を通じて)説得する」と述べた。南北首脳会談の可能性に関連し、「(これまでの2人の大統領のように)ただ会って話すのではなく、南北和解に向け誠意ある対話をするよう北朝鮮に求めている」と述べ、実現には時間を要するとの考えを示した。
=2008/07/08付 西日本新聞朝刊=