医薬品の安全対策、約300人増員へ
厚生労働省は7月7日、「薬害肝炎事件の検証および再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」(座長=寺野彰・独協医科大学長)の第4回会合を開催し、医薬品の安全対策に当たる職員の増員や、安全対策を担当する新しい組織の在り方などを盛り込んだ「中間とりまとめ案」を提示し、大筋で了承された。
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厚労省によると、医薬品・医療機器の審査を担当する職員は310人(今年4月現在)、安全対策に当たる職員は66人(同)で、米国の食品医薬品庁(FDA)の約2900人(2006年度)に比べて圧倒的に少ない。製薬企業や医療機関から厚労省に寄せられる「副作用等症例」は1日平均で130件程度あるが、個別に精査しているのは約40件にとどまるという。
このため、▽医薬品の安全対策に当たる職員を大幅に増員する必要がある▽来年度予算の概算要求のために8月末までに取りまとめを急ぐ必要がある―ことについては、これまでの議論で委員の合意が得られており、提案は了承された。
中間とりまとめ案では、「現行の職員数(厚生労働省と総合機構を合わせて66人)では不十分であり、安全対策にかかる人員の緊急かつ大幅な増員が必要である」とした上で、増員数については、「欧米における審査・安全対策にかかる人員を参考に、安全対策関係で少なくとも300人程度の増員が必要である」としている。
ただ、増員以外の論点ではさまざまな意見が出された。「早期に実施が必要な安全対策」として、患者の遺伝子情報を活用すること(ファーマコゲノミクス)が挙げられている点について、泉祐子委員(薬害肝炎全国原告団)が削除を要望。また、安全対策などを一括して担当する新しい組織の創設について、堀明子委員(帝京大医学部付属病院講師)が前回会合での発言を「中間とりまとめ案」に記載するよう求めた。
しかし、森嶌昭夫座長代理(日本気候政策センター理事長)は、来年度予算の概算要求のために取りまとめを急ぐことなどを理由に、これらの意見をことごとく退けた。9月に再開する次回会合では、この日の議論が再燃しそうだ。
更新:2008/07/08 20:30 キャリアブレイン
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