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物価高:「通貨危機のころより経営が苦しい」(下)

限界に直面する小規模自営業者

 一方、インスタントラーメン1箱(30袋)の値段は1万3500ウォン(約1370円)から1万7500ウォン(約1780円)に、食用油(18リットル)は2万6000ウォン(約2650円)から3万6000ウォン(3670円)に、コメ1袋(20キログラム)は3万4000ウォン(約3460円)から4万2000ウォン(約4280円)に上がった。だがそれでも、「キムパプ2000ウォン、ラーメン2500ウォン、カルグクス4000ウォン」というメニューは昨年と変わらない。イさんは「安くても食べてくれないのに、メニューの値段を上げてしまっては、常連のお客さんまで離れてしまうのではないかと思うと、とても値上げする気にはならない」と話している。

 かさむ一方の経費を少しでも抑えようと、業者に配達を頼んでいた野菜も、毎週土曜日の午後に可楽市場(ソウル市松坡区)へ行って直接買うようにした。また、これまでは朝9時から夜9時まで営業していたが、午前11時半に店を開け、閉めるのも1時間早めた。

◆客が減って、6カ月連続赤字

 しかし、どんなに節約しても、先月の管理費やガス代、材料費などの合計は約1800万ウォン(約183万円)に達した一方、収入は約1600万ウォン(約163万円)にとどまった。赤字はもう6カ月も続いている。

 イさんは「支払いが滞っている管理費さえ払うことができれば、それだけで十分だ」とため息をついた。

 数年間お金をつぎ込んできた積立口座を解約し、カード会社から借りるなど、あらゆる方法でお金を調達してきたが、4カ月も支払いが滞っている管理費の督促電話がひっきりなしにかかってくるため、先月にはがん保険を担保に750万ウォン(約76万円)の融資を受けた。それでもまだ2カ月分の管理費570万ウォン(約58万円)が残っているが、5月と6月の領収証を見せてくれた。毎月80万ウォン(約8万1400円)のアパートの家賃も2カ月分滞納している。さらに、脳卒中の後遺症に加え、視力も失った実家の父親(86)の面倒を見ているため、毎月15万ウォン(約1万5300円)の薬代も負担しなければならない。

 昨年は少なくとも200万ウォン(約20万円)ほどの収入はあった。このお金でアパートの家賃を払い、両親の薬代も払ってきた。だが今年は物価高で商売もうまくいかない。

 「地下商店街の常連の商売人たちも、昨年は昼、夜にうちへ来てくれたが、最近は商売がうまくいかないため、弁当を買って食べています。以前なら、お客さんが二人来れば、スジェビ2杯とキムパプ1本を頼んでいたが、今は二人来ても、スジェビを1杯だけ頼んで、分けて食べることも多いです」

 この日午後4時ごろ、食堂の隅のテーブルでは、中年の男性がキムチチゲ(キムチ鍋)を注文し、せわしなく食べていた。イさんは「この地下商店街の洋服屋さんの店主だが、遅い時間に昼食をとり、夕食は抜いているようだ」と耳打ちした。

鄭恵全(チョン・へジョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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