2007年12月27日
昨日は激動ってえヤツでした
本館、別館、真館、ミクシイともに足並み揃えていろいろあった昨日一日でした。
本館:まず教育ブログランキング、27日6:00現在、6位。明らかに露出度は高まっています。アクセス数も1200超。
このまま年を越したいところです。
年末年始で「帰省」している知り合いたちに、直接我が存在を伝えていきますが、その際に少しでも目立つポジションにいられれば、より効果的であります。一番はやはり本編の語りがメインに進行する、ここ本館ですので、さらに人目につくところに押し上げたいと思います。ご協力願います。
別館:昨日「人気ブログランキング」に登録しました。で、昨日のウチにもう教育カテゴリ60位辺りに来ています。別館の反応も鋭く、本当に感謝しています。本館読者のみなさんも、ぜひ別館のランクアップにご協力ください。
真館:毎度ネガネガな愚痴を書いてますが、それでも前向きにとらえて下さる応援団のみなさんには、いつも感謝しています。広く公開することのない、修正無しの「真実」を紹介していく「真館」。
真館では、メンバーからの「リクエスト」にも応じています。本館や別館の語りから、「もっとこの点について証拠があるなら知りたい」という方は、真館に踏み込んで飛鳥に「要請」してみてください。
個人情報について、飛鳥は「不特定多数」にさらされるような扱いはしません。公務員の公務に関しては名誉毀損の対象外ですので、いずれ実名公開しますが、事件関係者や未成年者については、個人的に連絡が取れる、近しい支援者以外に公開するつもりは無いと言うことです。
「真館」は、メールアドレスや本名など、参加者の特定が可能なデータを送ってくださったみなさん対象の「小さなコミュニティ」でもあります。できれば、自ら進んでそこに入館下さる方が増えてくれればと思っています。
ミクシイ:新たなメンバーが増えています。また、昨日は教え子の何人かとやりとり出来ました。その点は嬉しい材料ですが、やはりし&&&台の住人は「事なかれ」というか、自分の身だけが可愛い「自己中」は多いのでしょう。以前にも、一言文句だけつけて逃げたクソガキがいましたしね。
そういうヤツにはお仕置きしておきましたが。一度噛み付いたなら、最後までかかってこいってんですよね。そういう腰抜けが実際にあの団地に存在することが、今回の事件の遠因でもあるわけです。困ったモノです。
飛鳥としては、し&&&台の住人たちが、勇気を持って一歩踏み込んで来てくれることを期待しています。特に、真実を知らないままのかつての教え子たちには、一連の事実を正確に知ってほしいと思っています。
昨夜やりとりした数名の教え子たちに感想を聞きたいのですが、飛鳥とのやりとりに不快なものがありましたか?
自分としては、それはなかったと信じています。相手の多くももう成人しています。一人の人間として尊重し、対等と考えて接しています。
我が存在を知った教え子諸君には、ぜひ真実を求めてほしいです。
M県の教育レベルが、全国平均水準を全教科で下回ったという間違いのない「現実」。
諸君らの多くは、そんな悲劇的教育現場に、いずれ我が子を任せることになるのですよ?
声をあげる意味はあります。M県教育委員会が如何に腐った組織かということを、これから詳細に語っていきます。それが、M県の教育レベルを貶めている一因……いや、主たる原因であると飛鳥は考えています。
本物の「教師」をでっちあげで懲戒免職にし、不適格教師を現場復帰させたり、本当に全く授業も出来ない教師を税金で飼育し続けるM県教育委員会。そんな県に、大切な子供を預けてよいのなら、そのまま無視を決め込み、逃げ回るがいいでしょう。
いずれそのツケをはらうのは、県民です。
せっかく腐れパフォーマー知事が逃げ出してくれて、まともな知事さんが頑張りはじめているのですから、ここで県民も、M県の立ち直りに協力していくべきでしょう。ホント、M知事さん、あの阿呆が倍にしていって借金、何とかしてくださいね。個人的にも応援してますので。
しかし、残念なのは、せめてこの一文くらいはし&&&台住人に目にしてほしいですね。情けないことに、あそこの住人は本当に「逃げ」を決め込む輩が多いので。現にマチテルにしても、飛鳥が「対話に応じる」と完全にオープンであるのに、なんら話もしてこないのです。自分らが「被害者である!」と本当に思うのなら、その証拠を提示して飛鳥にぶつけてくればいいのです。もっとも、そんな証拠はありませんが。せいぜい、都合の悪いメールをまめに消去した、「脅迫メール」くらいのものでしょう。だから、あの事件で警察も「強姦」での立件を断念したのです。
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このまま年を越したいところです。
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真館では、メンバーからの「リクエスト」にも応じています。本館や別館の語りから、「もっとこの点について証拠があるなら知りたい」という方は、真館に踏み込んで飛鳥に「要請」してみてください。
個人情報について、飛鳥は「不特定多数」にさらされるような扱いはしません。公務員の公務に関しては名誉毀損の対象外ですので、いずれ実名公開しますが、事件関係者や未成年者については、個人的に連絡が取れる、近しい支援者以外に公開するつもりは無いと言うことです。
「真館」は、メールアドレスや本名など、参加者の特定が可能なデータを送ってくださったみなさん対象の「小さなコミュニティ」でもあります。できれば、自ら進んでそこに入館下さる方が増えてくれればと思っています。
ミクシイ:新たなメンバーが増えています。また、昨日は教え子の何人かとやりとり出来ました。その点は嬉しい材料ですが、やはりし&&&台の住人は「事なかれ」というか、自分の身だけが可愛い「自己中」は多いのでしょう。以前にも、一言文句だけつけて逃げたクソガキがいましたしね。
そういうヤツにはお仕置きしておきましたが。一度噛み付いたなら、最後までかかってこいってんですよね。そういう腰抜けが実際にあの団地に存在することが、今回の事件の遠因でもあるわけです。困ったモノです。
飛鳥としては、し&&&台の住人たちが、勇気を持って一歩踏み込んで来てくれることを期待しています。特に、真実を知らないままのかつての教え子たちには、一連の事実を正確に知ってほしいと思っています。
昨夜やりとりした数名の教え子たちに感想を聞きたいのですが、飛鳥とのやりとりに不快なものがありましたか?
自分としては、それはなかったと信じています。相手の多くももう成人しています。一人の人間として尊重し、対等と考えて接しています。
我が存在を知った教え子諸君には、ぜひ真実を求めてほしいです。
M県の教育レベルが、全国平均水準を全教科で下回ったという間違いのない「現実」。
諸君らの多くは、そんな悲劇的教育現場に、いずれ我が子を任せることになるのですよ?
声をあげる意味はあります。M県教育委員会が如何に腐った組織かということを、これから詳細に語っていきます。それが、M県の教育レベルを貶めている一因……いや、主たる原因であると飛鳥は考えています。
本物の「教師」をでっちあげで懲戒免職にし、不適格教師を現場復帰させたり、本当に全く授業も出来ない教師を税金で飼育し続けるM県教育委員会。そんな県に、大切な子供を預けてよいのなら、そのまま無視を決め込み、逃げ回るがいいでしょう。
いずれそのツケをはらうのは、県民です。
せっかく腐れパフォーマー知事が逃げ出してくれて、まともな知事さんが頑張りはじめているのですから、ここで県民も、M県の立ち直りに協力していくべきでしょう。ホント、M知事さん、あの阿呆が倍にしていって借金、何とかしてくださいね。個人的にも応援してますので。
しかし、残念なのは、せめてこの一文くらいはし&&&台住人に目にしてほしいですね。情けないことに、あそこの住人は本当に「逃げ」を決め込む輩が多いので。現にマチテルにしても、飛鳥が「対話に応じる」と完全にオープンであるのに、なんら話もしてこないのです。自分らが「被害者である!」と本当に思うのなら、その証拠を提示して飛鳥にぶつけてくればいいのです。もっとも、そんな証拠はありませんが。せいぜい、都合の悪いメールをまめに消去した、「脅迫メール」くらいのものでしょう。だから、あの事件で警察も「強姦」での立件を断念したのです。
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Posted by 飛鳥エイジ at
07:08
│Comments(0)
2007年12月26日
本編3-12 「9月1日」 前編~断髪のマチを抱きしめて
記事に先立ってことわりがあります。
本日の本編記事に登場する、マチの相手とされる男子中学生ですが、彼に関して本編中では、飛鳥がマチから聞かされた話をもとに記述しています。
しかし、先日この男子中学生本人から連絡があり、「事実と違う部分があるので聞いてほしい」との申し出がありました。
飛鳥は、その彼の話も信用できるものと判断しました。
故に、本編中のマチの言葉による、彼のマイナスイメージについては、事実と異なる可能性が高いことを明言しておきます。
今後も、この件に触れるときにはこのように但し書きをいれることとします。
また、併せて宣言します。
飛鳥エイジは、語りの内容について正当なコンタクト、要請があればいつ何時でも真摯に対応します。たとえそれが、マチやテルであってもです。
飛鳥はいつでも「対話」に応じます。頑なに「被害者ヅラ」を貫こうと沈黙しているのは奴等の方ですので。語れば自分が不利になることがわかっているのでしょうが、何も飛鳥エイジは奴等をとって食おうというわけではないのです。
大切なのは、嘘や思いこみで我が人生を破壊した罪について認め、きちんと謝罪してもらいたいということです。
人間なら、過ちを犯したなら謝罪するものでしょう?
それから逃げ回り、「自分は被害者だ!」と開き直り続けるから、飛鳥は怒りを鎮められないのです。
反省してもらいたいものです。
では、本編開始です。
人間万事塞翁が馬
この日の出来事が吉であったのか、凶であったのかは、知らない。
ただ、人は、一瞬の未来さえ知ることは出来ない。
この日……
平成14年(2002年) 9月1日。
俺はいつものように、死にかけた体を奮い起こし、いつもとさして変わらぬ一日を過ごすはずだった。
何かが起こる日も、朝はいつもと変わらずやってくる。人間一人の運命など、宇宙の営みからみれば限りなく微細なもの。そして、そのちっぽけな運命にさえ、一寸先のことなれば、何一つ身構えることも出来ぬのが人間だ。
定めに抗うことの無意味。
後に俺はそれを悟ることになるが、当時は本気で運命と闘おうなどと考えていた。
青かった俺にとって、この日のイベントは、ちょいときつすぎたのかもしれない。
その日の朝、S台の隣のA山団地でマチと合流した俺は、私立T学園高校に車を走らせた。お目当ては、その日T学園高校で開かれる文化祭だ。
学園祭というのはイイものだ。若者たちの力が様々な形となってあふれ出す。俺はそんな「学校の祭り」だ大好きだ。女子高校の祭りは特に華やかだ。男子校の場合、エネルギーの何割(いや、殆どか)は、女の子の関心を惹くために消費される。雄という生き物は、いつの世も悲しいものだ。対して、女子校は何かにへつらうことがない。本当に自由な自己表現に溢れているのはそのためだろう。
T学園高校は私立の女子校で、マチの美術部の先輩が通っている。佐藤マキという高校1年生で、この子も6年生以来ずいぶん俺のところに来てくれている子だ。
今日、マチの一番の楽しみは、そのマキが活躍するイラスト部の展示を見ることだった。
マチは現S台中学校の美術部部長だ。絵の腕前も相当なもので、R駅前のワールドカップ記念大壁画のS台中作品はマチの原案によるものだ。もう少しこの作品について語ると、マチの、つまりS台中学校の作品は、他の2校に比べて芸術性が高く、衆目を集めるものだった。ダ=ヴィンチの「モナリザ」をモチーフにした壁画は、取材に集まったマスコミ各社からもコメントを求められる出来映えだったのだ。
マチとマキは、1年違いだが、まるで仲のよい友人同士だ。いや、この二人は実際に友人同士だったのだろう。理由はよくわからないが、マチは年上の友人を求める傾向が強かった。まるっきりタメ口でマキと話すマチは、いつになく生き生きしていた。
そうそう、この日のマチは、8月21日に会ったときとは別人のようになっていた。胸まであった長い黒髪を、バッサリとショートカットにしてしまっていたのだ。さすがに俺も驚いて、何があったのか尋ねたが、マチ曰く、「浦瀬君の弔いに」ということだった。マチらしいといえばそうだのだが、恐らくそれだけが理由ではあるまい。尾山への恋に、何か動きがあったのだろうか。それとも、浦瀬君の件とは別に、何か辛いことでもあったのだろうか。

正直俺は、マチの露わになったうなじの意味するものが気がかりで仕方なかった。
ただ、俺は嬉しくもあった。何がって?そりゃ、自分の気持ちが小揺るぎもしなかったことさ。
髪を切ったマチは、まるで少年のようになってしまった。10日前に比べて、外見上の面影はまるで残っていないほどだった。だが、俺のマチへの想いは微塵も変わらなかった。むしろ、日を追って確実に強まっている。
俺がマチに深い好意を抱くのは、その外見の美醜によるものではない。もっとずっと深く本質なるもの。マチの「人間性」に、俺はどうしようもなく惚れてしまったのだ。
T学園高校についた俺たちは、マキの案内で展示されたイラストを見て回った。マキの作品も何点か飾られていたが、1年生とは思えぬレベルだ。中学時代からいい絵を描く子だったが、順調に上達しているようだ。さすが、マチの直属先輩といったところか。
校内で、マチと昼食をとる。せっせと動いて、俺に給仕してくれるマチ。その甲斐甲斐しさに、俺はまた1レベル、彼女への想いを深めてしまった。今時の子にはなかなか見られないほど気の利く、それでいてさりげない子。それがマチなのだ。
二人で校内を巡りながら、俺は不思議な感覚にとらわれていた。傍目から見ると、俺とマチはどんな関係に見えるのだろうか?娘ほども年の離れた子に、密かな恋心を抱く俺は、「彼氏」や「友人」という関係が望みだった。だが、俺とマチをそんな間柄に見る者など、いるはずもない。当のマチも、そんなことは考えてもいないだろう。
この会場で、俺だけが異質な存在。俺は一体、何者なのだ?
午前中いっぱい、俺たちはT学園高校の学園祭を楽しんだ。俺はこの日、もとより「足」に徹するつもりだったので、出来る限りマチを自由にしたつもりだった。マキと「学校」で再会するのも久しぶりだったことだろうし、貴重な時間を邪魔したくはなかったのだ。マチは、十分楽しんでくれただろうか?
12:30。俺たちは、R町への帰路についた。やや疲れたのか、マチはいつもに比べて口数が少なかった。
短くなった髪のこともあり、俺はマチの心が気になって仕方がない。車中、俺は思いきって話を切り出した。
「なあマチ、恋はどうだ?」
こんな聞き方しか出来ぬ自分が情けない。俺はどうも雰囲気ってヤツが作れないようだ。いつも直球ストレートなのだ。こんなバカに、マチがさらりと返す。
「あっはは!相変わらずですよ。相変わらずの片思い!」
それは元気に返すセリフではないだろう……。強がりなのか、開き直りなのか、どちらにしてもこのマチはあまりにも悲しい。
「あのな、マチ。一つ聞きたいんだ。気ィ悪くしないで聞いてほしいんだが。マチがさ、どんだけ尾山を好きかってのはわかったが、もしもな、もし尾山から迫られたら、マチはどこまで許しちまうかな?」
半ば冗談のつもりの問いだった。もちろん、マチがどれほどに尾山に惹かれているかを確かめたいという、マジな目的も含まれていたが。
「ははは!!そーうきましたか!」
手を叩き、大受けするマチだったが、それっきり静かになってしまった。表情は明るいが、まるで無理に笑顔を固めてしまっているようにも見える。俺はハンドルを握りながら、前方よりもマチが気になって危ないところだ。
「ね、先生。マチの話の前に、学校の友達の悩み、聞いてもらえますか?マチと同じで、片思いで悩んでる女の子がいるんです。ちょっと中学生じゃキツイ悩みなんで、先生なら大人だから良いアドバイスとかしてもらえると思うんです。
「それはかまわんさ。俺なんかでよけりゃ、何でも話してくれ。」
「ありがと……じゃ、聞いてくださいね。」
再び車中に小さな沈黙が広がる。不思議と、外のノイズさえ遠のくようだ。
そして、マチは語り始めた。
「その子はマチと同学年の女の子なんだけど、ある男に片思いしてるんです。あ、その男子も3年生なんですけどね。それで、マチも前から相談にのってあげてたんです。その子は相手の男が本当に大好きで、ずっと想い続けてきたんです。でも……ある日その男から、突然体を求められちゃったんです。それでその子、あげちゃったんですよ。その男って、他にちゃんと好きな女の子がいたんですよ。付き合ってるわけじゃないけど、ちゃんと本命の女の子がいたんです。それなのに、その子は自分の体だけが目的の男に、あげちゃったんです。処女だったのに……。」
「それって、S台中の話か?」
「はい、そうです。」
きつい話だ。今時の中学生にはさして珍しいことではないかもしれないが、マチの身近にそんなことがあるのが意外だった。このころのS台中学校はいろいろな意味で乱れていたが、そこまでひどいとは……。
「ひでえ話だな。もしかして、俺の知ってる子か?」
「いえ、二人ともA山小学校出身の子だから、先生は知らないはずです。」
マチは、話を続けた。
「それでね、一度OKしちゃったら、その男はもう会うたびにやらせろってくるわけ。でも、その子は男が大好きだから断れなくて、何度も何度も抱かれたんだって。」
「ちょい、聞くぜ。避妊はしてくれたんか?」
「ううん……全然してくれなくって、いつも生だって。時にはそのまま中に出されちゃうこともあって、妊娠するかもしれないって怖がってました。それでも、大好きな男が求めてくれるから、その子はずっと耐えてたの。彼を気持ちよくしてあげていれば、いつか自分を本当の彼女にしてくれるかもしれないって思ったんだって……。」
「なんだかなあ……。つーか、避妊もしねえってのは、男の風上にもおけねえぜ!まあ、そいつも多分童貞君だったんだろうから仕方ねえけど、本気でもねえ女の子を生でやりまくるってのは許せんな。俺がしめてやろうか?」
「あはは!!そんなことになったら、その男、死んじゃいますって。カンベンしてあげて。でね、結局その子は、今もその男にやられてるの。男は、今も別の女の子が好きで追っかけてるのに、ね。」
見ず知らずの中学生の話とはいえ、俺はかなり頭に来ていた。俺も男であるから、いい女を抱きたいという欲望は理解できる。だが、本気で愛してもいない相手……まして他に本命をもちながら、自分に惚れているのをいいことに女の体を弄ぶというのが許せなかった。中坊なぞ俺にかかられたら瞬殺だ。マチが望むなら、俺は力ずくでもその子の悩みを晴らしてやりたいと思っていた。
「ね、先生。まだ話長くなるから、途中どっかに寄りましょう。」
マチの話はまだ先があるらしい。俺は、R町ないのT山公園に車を乗り入れた。小高い丘の上にある、普段はあまり人の来ない公園だ。マチが、「外に出ましょう」というので、俺たちは車を降り、まだ残暑厳しい太陽のもと、並んで歩き出した。
かつて城があったというT山公園。高台に向かう急峻な林道は、細かく散らされた木漏れ日で足下がプラネタリウムのようになっている。そのゆらゆらと落ち着かない星々の中、マチの話は続いた。
「それと、その子にはもう一つ大きな悩みごとがあったんです……。その子、部活でも部長やってて、生徒会の執行部役員なんですよ。マチも生徒会役員やってるのは、知ってますよね。だから、よく相談にのってたってわけなんです。」
「お前も美術部長だろ?なんかまるっきりマチと同シチュだな。」
「同シチュ」とは、同じ状況ということだ。
「その子はね、とても無理してるんだって。1年生の時から、みんなに『あなたなら大丈夫』って、なんでもかんでも任されて。本当はそんなに優秀でもまじめでもないのに、周りがすっかりそう決めちゃって。それでもその子は、頼まれるとイヤって言えなかったんですね。なんでも引き受けて、期待に応えなきゃいけないって頑張りすぎて、だんだん壊れてきちゃったの。」
俺は、その話の女の子が不憫でならなかった。自分より周りを大切にする優しさをもった子が、なぜそんなにも苦しまなければならないのか。心美しい人から順に苦しんでいかなければならないこの世界に対しても怒りを感じる。
「それとね、その子がちょっと普通っぽくスカート上げたりしてると、『生徒会のくせに何やってんの?』って、突っかかってくる子がいるんです。その文句つけてくる子って、外面がいいから仲間も多いんですよ。自分なんかもうあり得ないくらい短くしてるくせに。男誘ってるみたいですよ。」
「それ、もしかして奈美子か?」
「ええ!!そうです、わかるんですか!?」
嫌がらせしてくる女子というのは、笹山奈美子という子だった。小学生のころから性格に問題のある女子だったが、未だに二面性は治っていないらしい。
「なに、そんな気がしただけさ。あいつ、見た目はかわいいけど性格悪いからなあ。俺はマチのほうがよっぽどいい女だと思うがね。」
「あはは。でね、その子はもう自由になりたいんだって。もっと自分のために時間を使いたい、もっと自分の心に正直に生きたいって。」
「マチ、その子に言ってやれ。」
「え?」
「もう十分だって、な。男の事も、自分の事も、その子はもう十分頑張ったじゃないか。自由になる資格、あるじゃないか。恋心はどうしようもないかもしれないが、奈美子あたりに何言われたって気にする事なんて一つもない。俺は停職食らってるダメ教師かもしれんが、人を見る目はあるつもりだ。その子はもう何にも囚われることなんてない。マチ、お前だって支えてやれるだろ?」
「うん、そうだね……。ありがと、先生。」
眺めのいい東屋に、二人並んで座る。
日差しが強烈な分だけ、切り取られる陰影はより涼しげに感じられる。渡る風は、ほのかに秋の気配をのせ、心地よい。
そんな風にも揺れることのない程、マチの髪は短くなっていた。その分だけ、マチの顔はいつでも俺の前に露わとなり、その表情もこれまでになく彼女の心を俺に伝えてくれる。
マチは、何か思い詰めていた。そして、彼女はまるで最後の質問とでもいうかのように、切り出した。
「ねえ、先生。その男って、相手の女の子のこと、どう思ってるのかな?」
「んー、キツイ質問だな。けどな、その子にははっきり告げた方がいい。その男は、その女の子のことを、いつでもやらせてくれるセックスマシンくらいにしか思ってないな。ちょっとでも大切に思ってくれてるなら、避妊くらいはするもんだ。それにな、何度も何度もってのはまず許せねえ。一時の迷いでとかいうならまだしも、会うたびにやりまくって、それで心を向けてくれないってのは、本当にもうセックスのアイテムくらいにしか考えてないってことさ。だから、俺が言えることは、今すぐ別れろってことくらいだなあ。」
「うん、そうだよね。マチもそう思う。」
その時だった!!目の前の茂みでカサカサと音がしたと思うと、落ち葉の隙間から黄色い、細長いモノが現れた。現れた。現れやがった。
「蛇」という、爬虫類の一種だった。
あぁ、もうだめぽ
ヤツまでの距離は1メートルちょっとか。ははは、俺としたことが、不意をつかれちまったなあ。
苦手?
へ……日本語じゃ表現しきれねえさ……。
ソロモンよ、私は帰ってきたぁーっ!!
かまわん!戦闘指揮官は私である!亜空間解除してロゴ・ダウの船にぶつけろ!!
違うな……彗星はもっとぶあーって行くもんな…………。
ぼくは、マチと一緒の時にクマに襲われたら、マチだけは無傷で逃がします。そのくらいは、出来ますボク。
けどね、ごめんね。ヘビだけは、すいません、この紐状地球外生命体だけは、ボクの「天敵」なのです。
ヤツまでの距離が2~3メートルなら、飛び退いて間合いを広げます。けれど、1メートル前後の近さになると、動けなくなるのです……。インディ・ジョーンズも、ほら、ヘビがダメじゃないですか。ハリソン・フォードも「ヘビだ……よりにもよってヘビが……。」って言ってるじゃないですか!!
石化し、方眉を痙攣させて怯える俺をみて、マチはさっと立ち上がり、事も無げにヘビを追い払った。
「あ…………ありがと、マチ。すまんな、俺、ヘビだけは……。」
「知ってますよ。」
肩越しに振り返って、にこっと笑って見せたきり、マチはその場に立ちつくした。
「どうした、マチ……?」
「……。」
無言のまま、マチは広場のほうに歩き出した。遠く、新幹線車両基地を一望出来る広場の先端に、マチは静かに佇んだ。
俺も、マチの後を追ってゆっくりを歩み寄り、その隣に立つ。
風もやみ、すべての音が遠ざかる。この世で、時が動いているのは、俺たち二人の周りだけのようだった。
「ねえ、先生。」
まるでしぼりだすような声だった。そして、今まで俺の前で何度か見せてきた、あの不思議な悲しさをまとったマチの顔がそこにあった。
膨らみきった風船が破裂する寸前のような、異様な緊張感があたりを包む。
「どうしたんだマチ、さっきから、なんか変だぜ。」
「先生、お願いです……。マチを、軽蔑しないでください。お願いだから、軽蔑しないでくださいっ!!」
そう叫ぶと、マチはその大きな目から、大粒の涙をぼろぼろとこぼし始めた。
「飛鳥先生にだけは、軽蔑されたくないんです。お願いです……。」
「な……!マチ、どうしたっていうんだ!?」
オロオロするばかりの俺に、マチの口からその言葉がぶつけられた。
「その女の子って、マチのことなのぉっ!!」
マチは、そのまま弾け飛ぶように俺の胸に飛び込み、しがみついて泣いた。マチは、叫び続けた。
「軽蔑しないで!先生軽蔑しないで!!」
それだけを繰り返し、号泣するマチ。俺は崩れ落ちるマチを抱きしめ、声をかけた。
「誰も、誰も軽蔑なんてしねえ!!しねえから、もう泣くなマチ!辛かったんだろ?どんだけ怖かったんだよ、なぁマチ。俺が、お前を守ってやる。世界中の人間がお前を責めても、俺だけは一生マチの味方だ!だから、だからもう苦しむな。な……マチ!」
俺自身、あまりの現実に頭が整理できずにいた。俺にとって女神とさえ感じられたマチが、男にその体を弄ばれていた。それも、何度も何度も。そして、マチの笑顔には、さっきまで話していた苦しみが隠されていたのだ。俺は、何一つ知らずに、マチを純粋無垢だと思いこんでいた。それも、マチにとってどれほど苦しいことだったか!
「先生……マチの思いも四国へ連れて行って!マチの迷いを断ち切ってきてぇ!!」
「わかったよ。同行三人って言ったじゃねえか。俺が、お前の心を連れて行ってやるから。迷いなんて、俺が断ち切ってきてやるよ!」
俺たちは、蒼天のもと、固く抱き合った。今度は、俺たちの時間だけが止まっていた。何も感じない。聞こえない。あるのは、互いの体温だけだ。初めてマチを抱きしめるのが、こんな形になろうとは……。
いつか俺も涙を流していた。
この小さな体が、大きすぎる期待を詰め込まれて、妊娠するかもしれない恐怖に怯えていたことが哀れでならない。できるなら、俺が守ってやりたい。だが、今の俺に何が出来るか?ボロボロの俺は、マチに甘えるばかりで支えになどなってやれない。
それでも、俺はこの子を守ってやりたい。そして、自分の全てを賭けて救ってやりたい。
俺の胸で泣き続けるマチ。
この日、あまりにも長い「9月1日」は、まだ始まったばかりだった。
本編3-13 「9月1日」後編~アヤ・失い続ける運命の始まり に続く
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本日の本編記事に登場する、マチの相手とされる男子中学生ですが、彼に関して本編中では、飛鳥がマチから聞かされた話をもとに記述しています。
しかし、先日この男子中学生本人から連絡があり、「事実と違う部分があるので聞いてほしい」との申し出がありました。
飛鳥は、その彼の話も信用できるものと判断しました。
故に、本編中のマチの言葉による、彼のマイナスイメージについては、事実と異なる可能性が高いことを明言しておきます。
今後も、この件に触れるときにはこのように但し書きをいれることとします。
また、併せて宣言します。
飛鳥エイジは、語りの内容について正当なコンタクト、要請があればいつ何時でも真摯に対応します。たとえそれが、マチやテルであってもです。
飛鳥はいつでも「対話」に応じます。頑なに「被害者ヅラ」を貫こうと沈黙しているのは奴等の方ですので。語れば自分が不利になることがわかっているのでしょうが、何も飛鳥エイジは奴等をとって食おうというわけではないのです。
大切なのは、嘘や思いこみで我が人生を破壊した罪について認め、きちんと謝罪してもらいたいということです。
人間なら、過ちを犯したなら謝罪するものでしょう?
それから逃げ回り、「自分は被害者だ!」と開き直り続けるから、飛鳥は怒りを鎮められないのです。
反省してもらいたいものです。
では、本編開始です。
人間万事塞翁が馬
この日の出来事が吉であったのか、凶であったのかは、知らない。
ただ、人は、一瞬の未来さえ知ることは出来ない。
この日……
平成14年(2002年) 9月1日。
俺はいつものように、死にかけた体を奮い起こし、いつもとさして変わらぬ一日を過ごすはずだった。
何かが起こる日も、朝はいつもと変わらずやってくる。人間一人の運命など、宇宙の営みからみれば限りなく微細なもの。そして、そのちっぽけな運命にさえ、一寸先のことなれば、何一つ身構えることも出来ぬのが人間だ。
定めに抗うことの無意味。
後に俺はそれを悟ることになるが、当時は本気で運命と闘おうなどと考えていた。
青かった俺にとって、この日のイベントは、ちょいときつすぎたのかもしれない。
その日の朝、S台の隣のA山団地でマチと合流した俺は、私立T学園高校に車を走らせた。お目当ては、その日T学園高校で開かれる文化祭だ。
学園祭というのはイイものだ。若者たちの力が様々な形となってあふれ出す。俺はそんな「学校の祭り」だ大好きだ。女子高校の祭りは特に華やかだ。男子校の場合、エネルギーの何割(いや、殆どか)は、女の子の関心を惹くために消費される。雄という生き物は、いつの世も悲しいものだ。対して、女子校は何かにへつらうことがない。本当に自由な自己表現に溢れているのはそのためだろう。
T学園高校は私立の女子校で、マチの美術部の先輩が通っている。佐藤マキという高校1年生で、この子も6年生以来ずいぶん俺のところに来てくれている子だ。
今日、マチの一番の楽しみは、そのマキが活躍するイラスト部の展示を見ることだった。
マチは現S台中学校の美術部部長だ。絵の腕前も相当なもので、R駅前のワールドカップ記念大壁画のS台中作品はマチの原案によるものだ。もう少しこの作品について語ると、マチの、つまりS台中学校の作品は、他の2校に比べて芸術性が高く、衆目を集めるものだった。ダ=ヴィンチの「モナリザ」をモチーフにした壁画は、取材に集まったマスコミ各社からもコメントを求められる出来映えだったのだ。
マチとマキは、1年違いだが、まるで仲のよい友人同士だ。いや、この二人は実際に友人同士だったのだろう。理由はよくわからないが、マチは年上の友人を求める傾向が強かった。まるっきりタメ口でマキと話すマチは、いつになく生き生きしていた。
そうそう、この日のマチは、8月21日に会ったときとは別人のようになっていた。胸まであった長い黒髪を、バッサリとショートカットにしてしまっていたのだ。さすがに俺も驚いて、何があったのか尋ねたが、マチ曰く、「浦瀬君の弔いに」ということだった。マチらしいといえばそうだのだが、恐らくそれだけが理由ではあるまい。尾山への恋に、何か動きがあったのだろうか。それとも、浦瀬君の件とは別に、何か辛いことでもあったのだろうか。
正直俺は、マチの露わになったうなじの意味するものが気がかりで仕方なかった。
ただ、俺は嬉しくもあった。何がって?そりゃ、自分の気持ちが小揺るぎもしなかったことさ。
髪を切ったマチは、まるで少年のようになってしまった。10日前に比べて、外見上の面影はまるで残っていないほどだった。だが、俺のマチへの想いは微塵も変わらなかった。むしろ、日を追って確実に強まっている。
俺がマチに深い好意を抱くのは、その外見の美醜によるものではない。もっとずっと深く本質なるもの。マチの「人間性」に、俺はどうしようもなく惚れてしまったのだ。
T学園高校についた俺たちは、マキの案内で展示されたイラストを見て回った。マキの作品も何点か飾られていたが、1年生とは思えぬレベルだ。中学時代からいい絵を描く子だったが、順調に上達しているようだ。さすが、マチの直属先輩といったところか。
校内で、マチと昼食をとる。せっせと動いて、俺に給仕してくれるマチ。その甲斐甲斐しさに、俺はまた1レベル、彼女への想いを深めてしまった。今時の子にはなかなか見られないほど気の利く、それでいてさりげない子。それがマチなのだ。
二人で校内を巡りながら、俺は不思議な感覚にとらわれていた。傍目から見ると、俺とマチはどんな関係に見えるのだろうか?娘ほども年の離れた子に、密かな恋心を抱く俺は、「彼氏」や「友人」という関係が望みだった。だが、俺とマチをそんな間柄に見る者など、いるはずもない。当のマチも、そんなことは考えてもいないだろう。
この会場で、俺だけが異質な存在。俺は一体、何者なのだ?
午前中いっぱい、俺たちはT学園高校の学園祭を楽しんだ。俺はこの日、もとより「足」に徹するつもりだったので、出来る限りマチを自由にしたつもりだった。マキと「学校」で再会するのも久しぶりだったことだろうし、貴重な時間を邪魔したくはなかったのだ。マチは、十分楽しんでくれただろうか?
12:30。俺たちは、R町への帰路についた。やや疲れたのか、マチはいつもに比べて口数が少なかった。
短くなった髪のこともあり、俺はマチの心が気になって仕方がない。車中、俺は思いきって話を切り出した。
「なあマチ、恋はどうだ?」
こんな聞き方しか出来ぬ自分が情けない。俺はどうも雰囲気ってヤツが作れないようだ。いつも直球ストレートなのだ。こんなバカに、マチがさらりと返す。
「あっはは!相変わらずですよ。相変わらずの片思い!」
それは元気に返すセリフではないだろう……。強がりなのか、開き直りなのか、どちらにしてもこのマチはあまりにも悲しい。
「あのな、マチ。一つ聞きたいんだ。気ィ悪くしないで聞いてほしいんだが。マチがさ、どんだけ尾山を好きかってのはわかったが、もしもな、もし尾山から迫られたら、マチはどこまで許しちまうかな?」
半ば冗談のつもりの問いだった。もちろん、マチがどれほどに尾山に惹かれているかを確かめたいという、マジな目的も含まれていたが。
「ははは!!そーうきましたか!」
手を叩き、大受けするマチだったが、それっきり静かになってしまった。表情は明るいが、まるで無理に笑顔を固めてしまっているようにも見える。俺はハンドルを握りながら、前方よりもマチが気になって危ないところだ。
「ね、先生。マチの話の前に、学校の友達の悩み、聞いてもらえますか?マチと同じで、片思いで悩んでる女の子がいるんです。ちょっと中学生じゃキツイ悩みなんで、先生なら大人だから良いアドバイスとかしてもらえると思うんです。
「それはかまわんさ。俺なんかでよけりゃ、何でも話してくれ。」
「ありがと……じゃ、聞いてくださいね。」
再び車中に小さな沈黙が広がる。不思議と、外のノイズさえ遠のくようだ。
そして、マチは語り始めた。
「その子はマチと同学年の女の子なんだけど、ある男に片思いしてるんです。あ、その男子も3年生なんですけどね。それで、マチも前から相談にのってあげてたんです。その子は相手の男が本当に大好きで、ずっと想い続けてきたんです。でも……ある日その男から、突然体を求められちゃったんです。それでその子、あげちゃったんですよ。その男って、他にちゃんと好きな女の子がいたんですよ。付き合ってるわけじゃないけど、ちゃんと本命の女の子がいたんです。それなのに、その子は自分の体だけが目的の男に、あげちゃったんです。処女だったのに……。」
「それって、S台中の話か?」
「はい、そうです。」
きつい話だ。今時の中学生にはさして珍しいことではないかもしれないが、マチの身近にそんなことがあるのが意外だった。このころのS台中学校はいろいろな意味で乱れていたが、そこまでひどいとは……。
「ひでえ話だな。もしかして、俺の知ってる子か?」
「いえ、二人ともA山小学校出身の子だから、先生は知らないはずです。」
マチは、話を続けた。
「それでね、一度OKしちゃったら、その男はもう会うたびにやらせろってくるわけ。でも、その子は男が大好きだから断れなくて、何度も何度も抱かれたんだって。」
「ちょい、聞くぜ。避妊はしてくれたんか?」
「ううん……全然してくれなくって、いつも生だって。時にはそのまま中に出されちゃうこともあって、妊娠するかもしれないって怖がってました。それでも、大好きな男が求めてくれるから、その子はずっと耐えてたの。彼を気持ちよくしてあげていれば、いつか自分を本当の彼女にしてくれるかもしれないって思ったんだって……。」
「なんだかなあ……。つーか、避妊もしねえってのは、男の風上にもおけねえぜ!まあ、そいつも多分童貞君だったんだろうから仕方ねえけど、本気でもねえ女の子を生でやりまくるってのは許せんな。俺がしめてやろうか?」
「あはは!!そんなことになったら、その男、死んじゃいますって。カンベンしてあげて。でね、結局その子は、今もその男にやられてるの。男は、今も別の女の子が好きで追っかけてるのに、ね。」
見ず知らずの中学生の話とはいえ、俺はかなり頭に来ていた。俺も男であるから、いい女を抱きたいという欲望は理解できる。だが、本気で愛してもいない相手……まして他に本命をもちながら、自分に惚れているのをいいことに女の体を弄ぶというのが許せなかった。中坊なぞ俺にかかられたら瞬殺だ。マチが望むなら、俺は力ずくでもその子の悩みを晴らしてやりたいと思っていた。
「ね、先生。まだ話長くなるから、途中どっかに寄りましょう。」
マチの話はまだ先があるらしい。俺は、R町ないのT山公園に車を乗り入れた。小高い丘の上にある、普段はあまり人の来ない公園だ。マチが、「外に出ましょう」というので、俺たちは車を降り、まだ残暑厳しい太陽のもと、並んで歩き出した。
かつて城があったというT山公園。高台に向かう急峻な林道は、細かく散らされた木漏れ日で足下がプラネタリウムのようになっている。そのゆらゆらと落ち着かない星々の中、マチの話は続いた。
「それと、その子にはもう一つ大きな悩みごとがあったんです……。その子、部活でも部長やってて、生徒会の執行部役員なんですよ。マチも生徒会役員やってるのは、知ってますよね。だから、よく相談にのってたってわけなんです。」
「お前も美術部長だろ?なんかまるっきりマチと同シチュだな。」
「同シチュ」とは、同じ状況ということだ。
「その子はね、とても無理してるんだって。1年生の時から、みんなに『あなたなら大丈夫』って、なんでもかんでも任されて。本当はそんなに優秀でもまじめでもないのに、周りがすっかりそう決めちゃって。それでもその子は、頼まれるとイヤって言えなかったんですね。なんでも引き受けて、期待に応えなきゃいけないって頑張りすぎて、だんだん壊れてきちゃったの。」
俺は、その話の女の子が不憫でならなかった。自分より周りを大切にする優しさをもった子が、なぜそんなにも苦しまなければならないのか。心美しい人から順に苦しんでいかなければならないこの世界に対しても怒りを感じる。
「それとね、その子がちょっと普通っぽくスカート上げたりしてると、『生徒会のくせに何やってんの?』って、突っかかってくる子がいるんです。その文句つけてくる子って、外面がいいから仲間も多いんですよ。自分なんかもうあり得ないくらい短くしてるくせに。男誘ってるみたいですよ。」
「それ、もしかして奈美子か?」
「ええ!!そうです、わかるんですか!?」
嫌がらせしてくる女子というのは、笹山奈美子という子だった。小学生のころから性格に問題のある女子だったが、未だに二面性は治っていないらしい。
「なに、そんな気がしただけさ。あいつ、見た目はかわいいけど性格悪いからなあ。俺はマチのほうがよっぽどいい女だと思うがね。」
「あはは。でね、その子はもう自由になりたいんだって。もっと自分のために時間を使いたい、もっと自分の心に正直に生きたいって。」
「マチ、その子に言ってやれ。」
「え?」
「もう十分だって、な。男の事も、自分の事も、その子はもう十分頑張ったじゃないか。自由になる資格、あるじゃないか。恋心はどうしようもないかもしれないが、奈美子あたりに何言われたって気にする事なんて一つもない。俺は停職食らってるダメ教師かもしれんが、人を見る目はあるつもりだ。その子はもう何にも囚われることなんてない。マチ、お前だって支えてやれるだろ?」
「うん、そうだね……。ありがと、先生。」
眺めのいい東屋に、二人並んで座る。
日差しが強烈な分だけ、切り取られる陰影はより涼しげに感じられる。渡る風は、ほのかに秋の気配をのせ、心地よい。
そんな風にも揺れることのない程、マチの髪は短くなっていた。その分だけ、マチの顔はいつでも俺の前に露わとなり、その表情もこれまでになく彼女の心を俺に伝えてくれる。
マチは、何か思い詰めていた。そして、彼女はまるで最後の質問とでもいうかのように、切り出した。
「ねえ、先生。その男って、相手の女の子のこと、どう思ってるのかな?」
「んー、キツイ質問だな。けどな、その子にははっきり告げた方がいい。その男は、その女の子のことを、いつでもやらせてくれるセックスマシンくらいにしか思ってないな。ちょっとでも大切に思ってくれてるなら、避妊くらいはするもんだ。それにな、何度も何度もってのはまず許せねえ。一時の迷いでとかいうならまだしも、会うたびにやりまくって、それで心を向けてくれないってのは、本当にもうセックスのアイテムくらいにしか考えてないってことさ。だから、俺が言えることは、今すぐ別れろってことくらいだなあ。」
「うん、そうだよね。マチもそう思う。」
その時だった!!目の前の茂みでカサカサと音がしたと思うと、落ち葉の隙間から黄色い、細長いモノが現れた。現れた。現れやがった。
「蛇」という、爬虫類の一種だった。
あぁ、もうだめぽ
ヤツまでの距離は1メートルちょっとか。ははは、俺としたことが、不意をつかれちまったなあ。
苦手?
へ……日本語じゃ表現しきれねえさ……。
ソロモンよ、私は帰ってきたぁーっ!!
かまわん!戦闘指揮官は私である!亜空間解除してロゴ・ダウの船にぶつけろ!!
違うな……彗星はもっとぶあーって行くもんな…………。
ぼくは、マチと一緒の時にクマに襲われたら、マチだけは無傷で逃がします。そのくらいは、出来ますボク。
けどね、ごめんね。ヘビだけは、すいません、この紐状地球外生命体だけは、ボクの「天敵」なのです。
ヤツまでの距離が2~3メートルなら、飛び退いて間合いを広げます。けれど、1メートル前後の近さになると、動けなくなるのです……。インディ・ジョーンズも、ほら、ヘビがダメじゃないですか。ハリソン・フォードも「ヘビだ……よりにもよってヘビが……。」って言ってるじゃないですか!!
石化し、方眉を痙攣させて怯える俺をみて、マチはさっと立ち上がり、事も無げにヘビを追い払った。
「あ…………ありがと、マチ。すまんな、俺、ヘビだけは……。」
「知ってますよ。」
肩越しに振り返って、にこっと笑って見せたきり、マチはその場に立ちつくした。
「どうした、マチ……?」
「……。」
無言のまま、マチは広場のほうに歩き出した。遠く、新幹線車両基地を一望出来る広場の先端に、マチは静かに佇んだ。
俺も、マチの後を追ってゆっくりを歩み寄り、その隣に立つ。
風もやみ、すべての音が遠ざかる。この世で、時が動いているのは、俺たち二人の周りだけのようだった。
「ねえ、先生。」
まるでしぼりだすような声だった。そして、今まで俺の前で何度か見せてきた、あの不思議な悲しさをまとったマチの顔がそこにあった。
膨らみきった風船が破裂する寸前のような、異様な緊張感があたりを包む。
「どうしたんだマチ、さっきから、なんか変だぜ。」
「先生、お願いです……。マチを、軽蔑しないでください。お願いだから、軽蔑しないでくださいっ!!」
そう叫ぶと、マチはその大きな目から、大粒の涙をぼろぼろとこぼし始めた。
「飛鳥先生にだけは、軽蔑されたくないんです。お願いです……。」
「な……!マチ、どうしたっていうんだ!?」
オロオロするばかりの俺に、マチの口からその言葉がぶつけられた。
「その女の子って、マチのことなのぉっ!!」
マチは、そのまま弾け飛ぶように俺の胸に飛び込み、しがみついて泣いた。マチは、叫び続けた。
「軽蔑しないで!先生軽蔑しないで!!」
それだけを繰り返し、号泣するマチ。俺は崩れ落ちるマチを抱きしめ、声をかけた。
「誰も、誰も軽蔑なんてしねえ!!しねえから、もう泣くなマチ!辛かったんだろ?どんだけ怖かったんだよ、なぁマチ。俺が、お前を守ってやる。世界中の人間がお前を責めても、俺だけは一生マチの味方だ!だから、だからもう苦しむな。な……マチ!」
俺自身、あまりの現実に頭が整理できずにいた。俺にとって女神とさえ感じられたマチが、男にその体を弄ばれていた。それも、何度も何度も。そして、マチの笑顔には、さっきまで話していた苦しみが隠されていたのだ。俺は、何一つ知らずに、マチを純粋無垢だと思いこんでいた。それも、マチにとってどれほど苦しいことだったか!
「先生……マチの思いも四国へ連れて行って!マチの迷いを断ち切ってきてぇ!!」
「わかったよ。同行三人って言ったじゃねえか。俺が、お前の心を連れて行ってやるから。迷いなんて、俺が断ち切ってきてやるよ!」
俺たちは、蒼天のもと、固く抱き合った。今度は、俺たちの時間だけが止まっていた。何も感じない。聞こえない。あるのは、互いの体温だけだ。初めてマチを抱きしめるのが、こんな形になろうとは……。
いつか俺も涙を流していた。
この小さな体が、大きすぎる期待を詰め込まれて、妊娠するかもしれない恐怖に怯えていたことが哀れでならない。できるなら、俺が守ってやりたい。だが、今の俺に何が出来るか?ボロボロの俺は、マチに甘えるばかりで支えになどなってやれない。
それでも、俺はこの子を守ってやりたい。そして、自分の全てを賭けて救ってやりたい。
俺の胸で泣き続けるマチ。
この日、あまりにも長い「9月1日」は、まだ始まったばかりだった。
本編3-13 「9月1日」後編~アヤ・失い続ける運命の始まり に続く
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2007年12月26日
うぉあっ!!!
とりあえず、「ハレルヤ」を我が分身とします。この壊れっぷりは感動ものですって。既に語ってますが。
で、人気ブログランキングなんですが、今日登録して既に100位辺りうろうろしてます。
ビックリです。
というか、だてブログでもなんで5位あたりうろついているのかわからないんですよね……。
こんなボツリヌス菌並みの猛毒ブログによくもまあたくさんの人が来てくださるものだと感謝です。
終いには「走馬燈でやり直してるかぁ!!」とか叫びそうだし。
T田、N津川、M県教育委員会、S台地検、マチ、テル、あの親ども。
その他大勢、どうしようもない怒りと怨念の対象は数え切れませんが、それでも飛鳥エイジ、日々(奇跡的にも)ちゃんとまっとうな仕事して給料もらってます。
それに、信じられないことに「借金」がないんですね。25歳で建てた家も、なんとかローン終わってますし、離婚では養育費も賠償金も取られなかったという特殊ぶり。(いや、一方的に「別れよう」とされたんですから当然ですが。)
そういう点では恵まれてるんでしょうね、飛鳥エイジ。
ただ、人間というものには…………
多くの方に支えて頂けるのですが、
「ここ」にいて自分を見てくれる人はいない。
まあ、それはもういいんですがね。今は戦うだけです。
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100位辺りをご覧ください。ありがとうございます。
Posted by 飛鳥エイジ at
20:00
│Comments(0)
2007年12月26日
今度はエアリスですよ……
やったぁあ!これもアタリだよな!

ポーション2本買って、AC版クラウドとエアリス連続ゲット!!
アタリだよな

……アタリ、なんだよな……
いや、セフィロスとティファが欲しかったなと……………
3度目の正直とかあるかね……。
この前「ヤマト」の食玩でも、ナスカ!バルゼー!と最低の2種を連続でくらったのち、3発目に「ヤマト」ゲットしたからね。
どうしようか…………
1本980円もするんだよね。メシ2回分だよ…………。
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Posted by 飛鳥エイジ at
11:28
│Comments(0)
2007年12月26日
さて、テストします
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なので、本館を無理に携帯で閲覧してくださっていた皆さんは、こちらでリンクをポチいただけると嬉しいです。
これからとあるオフライン活動のため、露出度を一時高めたく思います。
ご協力お願い致します。
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Posted by 飛鳥エイジ at
10:17
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