最大震度6強を記録した岩手・宮城内陸地震から三週間余。五月の中国・四川大地震に続き、震災被害の大きさをあらためて認識させられました。
日本列島は地震の活動期に入ったとされ、防災対策の重要さが増していますが、一方で深刻な問題もクローズアップされています。校舎や体育館といった学校施設の耐震化の遅れです。
全国の公立小中学校の校舎や体育館など約十二万七千棟のうち、震度6強の地震に耐えられる現行耐震基準を満たしているのは62%にとどまります。しかも、岡山49%、広島48%、香川52%と三県は全国平均にすら届いていません。
数字には少子化による廃校や学校統廃合でなくなる施設も含まれているとみられますが、対策が不十分なのは明らか。災害時に避難場所となる学校耐震化の遅れは、二次被害を招きかねません。
耐震化が進まないのは、事業主体である市町村の財政難が要因とされ、国は、大地震で倒壊する危険性が高い全国約一万棟を対象に、耐震補強事業への補助率を引き上げる法改正を行い、対応を急ぐよう自治体に求めています。
地方交付税削減などで自治体の財源を絞る一方、ここにきてアリバイづくりのように補助を増やす国の手法には疑問も感じますが、行政にとって住民の安全・安心の確保は最優先の政策課題のはず。市町村はまず、建物の危険度や今後の耐震化スケジュールなどをきちんと示していくことが必要でしょう。
(政治部・桑原功)