主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)が七日から三日間の日程で、北海道洞爺湖町で開かれる。主要先進八カ国(G8)のトップが一堂に会し、国際社会が直面する問題解決への道を探る。
サミットは日本、米国、英国など先進六カ国の首脳が世界経済の安定化などについて話し合うため、一九七五年にパリ郊外のランブイエ城に集って始まった。その後、カナダ、ロシアが加わった。日本での開催は二〇〇〇年の沖縄に次いで五回目になる。
世界は今、地球温暖化に加え食料危機が表面化している。さらに原油価格は急騰し、アフリカでは貧困問題が一段と深刻化する。どれもが複雑に絡み合い、「地球の危機」と呼んでも過言ではない状況に陥っている。
世界の持続的発展に向け、重大な試練をどう乗り越えるか。大転換期の中で迎えるサミットといえ、これまで以上に英知が問われよう。
焦点の原油、食料
話し合われるテーマは多岐にわたる。原油、食料価格の高騰への対策では、市場の透明性確保や投機マネーに対する国際的な監視機能の強化などが求められる。
食料不足の問題では、まず食料生産と競合しない次世代型バイオ燃料の開発促進が欠かせない。先の食料サミットでは各国の意見の食い違いが目立ち、対立が深まった感さえある。議論は洞爺湖サミットに持ち越されている。
食料の輸出規制やアフリカでの増産策の在り方も重要な問題だ。実効性のある対策が迫られている。国際的な備蓄体制整備も検討される予定で、具体的な制度設計まで踏み込んでもらいたい。
安全保障分野では、北朝鮮やイランの核問題を念頭に置く「核不拡散」、アフガニスタンなど不穏な地域情勢を受けた「平和構築」といった課題が山積する。
核不拡散は濃縮ウランなど核兵器製造の材料が、テロリストに渡らないようにするテロ対策でもある。日本にとって特に北朝鮮の核は拉致問題と密接に関係する。あらためて理解と協力を取り付ける必要がある。
温暖化防ぐには
とりわけ重要なテーマは温暖化対策である。二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量を大幅に減らす低炭素社会の実現に向け各国が連携して取り組まなければ、地球の未来は守れない。
昨年、ドイツで開かれたサミットでは、温室効果ガスの削減策として五〇年までに世界全体で半減する長期目標について「真剣に検討する」との表現にとどまった。今回は「真剣な検討」の答えを出すべき時だ。
中国、インドなどの新興国は「先進国がまず大幅な削減を約束すべき」とG8の対応を注視している。これに対し、米国は「排出量が急増する新興国も排出抑制に取り組め」と先進国による長期目標の設定に消極的な姿勢を取り続けてきた。
最近、米国に軟化の兆しがあるようだが、もう結論の先送りは許されまい。先進国が率先して長期目標の設定で合意すべきである。それは最低条件であり、中期目標の設定などさらに一歩踏み出せれば成果として評価できよう。
G8の枠超えて
サミットにはG8のほか中国、インド、韓国など十五の招待国も参加する予定だ。招待国は年々、増加傾向をたどっており、招待国を含めた会合もいろいろ開かれる。
G8だけでは対応に限界がある問題が多くなった証しだろう。地球温暖化をはじめ食料、エネルギー対策などで各国の国益は複雑に交錯し、解決の道筋を描くのは容易ではあるまい。しかし、首脳でなければ決断できない課題も少なくない。
G8が結束したうえで、その枠を超えた参加国が直面する試練に危機感を共有し、解決に向けたメッセージを発することができるか。世界も注目しているはずだ。G8の力量が問われる。
議長国となる日本は、各国の意見を調整する外交能力が試される。議長を務める福田康夫首相には、議論をどう主導するか厳しい視線が注がれよう。一定の成果を挙げることができないと期待は失望感に変わり、今後の政権運営にも悪影響を及ぼすだろう。