NECと富士通のデスクトップ型パソコン(PC)の一部で、プラスチック製の本体ケース(筐体)を受託生産している台湾メーカーが操業停止したことが5日、分かった。NECでは企業向けデスクトップPCの出荷が最悪2カ月間ストップする恐れもあり、影響が懸念されている。
問題になっているのは、台湾に本社を置く部品メーカーの「仕欽科技」(エバースキル・テクノロジー)。1991年創業で、PCメーカーから本体ケース生産などをOEM(相手先ブランドでの生産)で手掛けている。
現地の報道によると、エバー社は社債発行などで資金調達し、短期間での拡大路線に走ったが、過剰生産や同業者間の安値受注競争もあって資金繰りが悪化、手形の不渡りを起こし、6月末に操業を停止した。
このとばっちりを受けたのがNECと富士通。NECは昨年度、ノート型を含めて年間267万台のPCを出荷したが、うち約3割にあたる年間80万台分でエバー社製の本体ケースを使っているという。
特に企業向けデスクトップPCの本体ケースはすべてエバー社製のため、PCの生産もできない状況だ。同社コーポレートコミュニケーション部は「現時点では生産再開のメドは立っていないが、最悪でも9月には生産できる予定」としている。“最悪”とは他の業者で設計からやり直す場合で、生産再開に約2カ月要するようだ。
個人向けのデスクトップPC「バリュースター」シリーズも一部機種でエバー社の部品を使っているが、「割合が少なく、店頭での影響はほとんどない」(同部)という。
一方、富士通は、個人向けのデスクトップPC「FMV」シリーズの一部でエバー社の本体ケースを使用しているが、広報IR室は「7月中に販売する分は確保している」という。8月分の生産への影響も予想されるが、秋冬モデルの投入を前に販売数量を絞る時期のため、影響は限定的とみているようだ。
9月には個人向けPCの秋冬モデルの新商品が投入されるが、富士通は「いまのところ予定通り」。NECも「他の工場に生産を振り替えるなどの対応を検討する」としている。