POST ROCK特集
ステレオラブ、トータスやジム・オルークのシカゴ音響派からモグワイ、最近ではシガーロスやジャガ・ジャジストの様なバンド達が奏でる不思議なロック=ポストロックについてのまとめページになります。
目次
・ポストロックとは
・ポストロックの歴史
・ポストロックを代表するバンド・アーティストとその作品
・ポストロックと深く関わるアーティストの作品
・日本で名前の無いロックを奏でたアーティストの作品
・参考書籍
・iMix (iTunesStore用まとめ)
・参考ウェブサイト
エントリーを書き溜めていたブログ:collabospace blog
ポストロック関連のエントリー:PostRock
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mixiでポストロック・コミュニティの管理人をされている方のポストロックの定義がとても的確であると思ったので下に転載させて頂きました。
・ボーカルの排除。 (インストゥルメンタルロック=ポストロックと誤解されやすい)
・ロック的な基本編成に加えて、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのストリングス、ピアノ、ローズピアノ、オルガン等の鍵盤楽器、ヴィヴラフォン、シロフォン、マリンバ等のマレット楽器の使用。
・シューゲイザー以降のエフェクトの多様による複雑なギターサウンド。
・スタジオ編集によるポストプロダクション重視やエレクトロニカ要素の導入
・その他。
バンドを例として
・TORTOISEを筆頭とする実験的でありながら普遍的に聴こえるシカゴ音響派とその周辺。追従するMICE PARADEやHIMなどのラウンジ型。
・MOGWAIやEXPLOSIONS IN THE SKYなどの叙情メロと激情轟音を対峙させる感情直下型のギターサウンドやインストエモ系、BYLAやDESTROYALLDREAMERSなどのインストシューゲイザー系。
・GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR周辺やTARENTEL等の即興演奏で、個々の楽器のクレッシェンドの対峙で轟音に匹敵する激情を鳴らすコミュニティ系。
・初期TRISTEZA、ALUBUMLEAF、SONNAやTHE SIX PARTS SEVEN等の、流麗なアルペジオ、トレモロギターメインのサウンドで夢見心地へ誘うドリームロック系。
・PELE、GHOSTS & VODKAなど軽快なアルペジオアンサンブルを主軸とした疾走感のある爽やかなギターロック系、AMERICAN FOOTBALLやALWAYS THE RUNNERのボーカル導入したインディロック系。
・PELICAN、RED SPAROWESなどのギターのヘヴィリフで重厚感のあるヘビーサイケ系、RUSSIAN CIRCLES、KINSKIばどのハードロック系。
・GREGOR SAMSAやTHE BURNING PARISなどの歌スロウコアアプローチ系や、THE APPLESEED CASTやALOHAなどの歌エモ系。
・BATTLESやBY THE END OF TONIGHT等、数学的な変拍子で奇天烈なマスロック一派。
・HOODやPORT ROYALなどエレクトロニカとの境界線が不透明なもの。
・TRACER AMCやSAXON SHORE、65DAYSOFSTATICなど、上記の要素複合して持った最新型。
ポスト・ロック~アヴァンギャルドな電子音楽などを扱う雑誌FADERを出版するHEADZ代表であり、個人的にもポストロックを聴くうえで最も参考にさせて頂いた音楽批評家佐々木敦氏は自身のブログで主に3つの切り口からポスト・ロックとロックの違いについて述べていました。
何を持ってポストロック的と解釈するのかは、聴く人によって異なると思いますが、ポストロックと呼ばれているトータス、モグワイ、もしくはレディオヘッドの「KID A」などの音楽を初めて聴いた時にたくさんの人が感じたであろう、何か今まで聴いてきたロックとは違う変な音楽という感覚そのものがポストロックであると私は思います。
'92年
ベティーナ・リチャーズによりレーベルThrill Jockey(スリル・ジョッキー)がニューヨークで設立される。 レーベルはその後シカゴで運営され、トータスやシー・アンド・ケイクといったバンドを見出す。
時を同じくして、後にジム・オルークを見出すことになるレーベルDrag City (ドラッグ・シティー)もスタートする。
参考サイト: Thrill Jockey特集 (Thrill Jockeyとは?)
'90年代中頃
イギリスのバンド、ステレオラブとシカゴのバンドとの交流が始まり、'96年にジョン・マッケンタイア(トータス)がプロデュースを担当したEmperor Tomato Ketchupが製作される。
トータスはMillions Now Living Will Never Dieをリリース。 多彩な要素を含んだこの作品は、リリースされた時点でどのジャンルにも属さない新しいロックであった。
関連エントリー: stereolabまとめ Tortoise まとめ
'97年
再びジョン・マッケンタイアをプロデューサーに向かえたステレオラブのDots
and Loopsがハードディスク・レコーディングにより製作される。
この作品にはジム・オルーク、そしてドイツ・音響都市ケルンを代表する マウス・オン・マーズが参加している。
シー・アンド・ケイクがThe Fawnを、マウス・オン・マーズはAutoditackerをそれぞれ共にThrill Jockeyからリリースする。
またマウス・オン・マーズはレーベルsonig (ソニグ)を立ち上げる。 そのこともポスト・ロックに実験的な電子音楽=エレクトロニカの要素が密接に関わることと影響している。
シカゴ音響派以外の動きとして、この年、モグワイは轟音ギターをかき鳴らすYoung Teamを同郷グラスゴーのバンドデルガドスが主宰するChemikal Undergroundよりリリースする。
またビョークがプロデューサーにマーク・ベル(LFO)を起用したHomogenicもこの年にリリースされる。
ポストロックではないが、'90年代ロックの名盤レディオヘッドのOK Computerのリリースも'97年。
関連エントリー: [WARP] LFO
mogwai モグワイ
関連サイト: sonigサイト
'98年
トータスがハードディスク・レコーディング&ポスト・プロダクションを全面に導入した作品TNTをリリースする。
'99年
ジム・オルークがEureka、マウス・オン・マーズがNiun Niggungとポスト・ロック、音響の歴史に残る名盤をそれぞれリリースする。
同年、 モグワイはCome on Die Youngを、シガーロスはFatCat RecordsからAgaetis Byrjunをリリース。 この頃からシカゴ以外の土地から注目されるポスト・ロックが続々とリリースされるようになる。
関連エントリー : Jim O'Rourke 「Eureka」 「Insignificance」 Sigur Ros まとめ
'00年
ビョーク、シガーロスが産まれたアイスランド出身のムームがYesterday was Dramatic - Today is OKをリリース。
カナダからはゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーがLift Your Skinny Fists Like Antennas To Heavenをリリース。
この年、レディオヘッドがオウテカに影響されたエレクトロニカを大胆に導入したKID Aを、 プライマル・スクリームはゲストにケミカル・ブラザーズなどを迎えたXtrmntr (エクスターミネーター)をそれぞれリリースする。
この出来事はメジャー・シーンに大きな衝撃を与え、ポスト・ロックがもうインディー・シーンだけのものではないことを証明した。
一方エレクトロニカ・シーンで物議を醸すことになるオヴァルのOval Processがこの年Thrill Jockeyからリリースされている。
その頃、日本ではスーパーカーがFuturamaをリリース。
関連エントリー : Autechre まとめ supercar - Futurama
ビョークやレディオヘッドがロックにエレクトロニカとポスト・プロダクションを大々的に導入したことで、それまでポストロックと呼ばれていたサウンドはメイン・ストリームに浸透することとなる。
短期間で乱立した有象無象のフォロワーでシーンが均質化して、たちまち飽和状態となってしまった。あまりにデリケートな差異を求めすぎるがゆえにポップ・ミュージックとしてのダイナミズムを失いつつある
(ミュージック・マガジン'03年11月号・小野島大氏)
と述べられているように、個人的にもこの後数年間、メジャー・シーンの中で単純に目新しさを求めるならロックよりもそれはヒップホップなどの非ロックのポップ・ミュージックにあったのではないかと思います。
しかし、その後それまでのポスト・ロックとはまた違った面白い音楽をロック的アプローチで奏でるバンド・アーティストが続々と出現します。
'01年
ジム・オルークがInsignificance、 トータスがStandardsをリリースする。
同年、
フッドのCold House。
アルバム・リーフのOne Day I'll Be on Time。
フォーテットのPauseとフォーテットことキエラン・ヘブデンが所属していたバンドフリッジによるHappinessなど、それまで独自のスタンスで活動していたアーティスト・バンドが時代の流れとリンクし続々と注目を浴びだす。
この年、エレクトロニカではプレフューズ73がVocal Studies + Uprock NarrativesをWARPからリリースしシーンに旋風を起こす。
一方ロックのメジャー・シーンではストロークスのIs This Itがリリースされ、ロックンロール・リヴァイバル・ブームが巻き起こる。
関連エントリー: Four Tet
The Album Leaf
The Storkesとリヴァイバル・ムーヴメント WARP
'02年
シガーロスが()をリリース。
日本ではくるりがワールズ・エンド・スーパーノヴァ、スーパーカーがHIGHVISIONをリリースする。 それぞれが日本のロックシーンでは異彩を放つポスト・ロックなサウンド鳴らしていた。
また海外ではロックンロール・リヴァイバル・ムーブメントと対になるように、ポスト・パンク、ニューウェーブ・リヴァイバルの波がラプチャーのHouse Of Jealous LoversやDFAをきっかけに盛り上がり始める。
'03年
シー・アンド・ケイクがOne Bedroom
DFAに関わるブラック・ダイスがFat CatよりBeaches & Canyonsをリリース、それまでのポスト・ロックとはまた違ったサイケデリックな新しいサウンドを展開する。
'04年
アルバム・リーフがIn A Safe Placeをリリースする。
またアニマル・コレクティブがブラック・ダイスのサイケデリック感覚ともまた違うアシッドなフォーク・サウンドを詰め込んだSUNG TONGSをFat Catよりリリースする。
アニマル・コレクティブ、ブラック・ダイス、フォーテットなどは本来のポスト・ロックの意図とは外れるかもしれませんが、アプローチの仕方がエレクトロニカというよりかは、ポストロック的な前衛ってイメージだったので入れてみました。
remixのアニマル・コレクティブ特集の言葉を拝借すると、 エレクトロニカ/ポスト・ロック以降のフォーク/アコースティックの流れ であり、上の3バンド・アーティストは極端にサイケデリックなサウンドです。
DFA周辺から巻き起こったポスト・パンク・リヴァイバルはダンス・ビートを強化したディスコ・パンクとなり、!!!はLouden Up Nowをリリースする。
メジャー・シーンではフランツ・フェルディナンドがFranz Ferdinandでリヴァイバル・ムーヴメントをさらに加速させ、シーザー・シスターズはScissor Sistersをリリースする。
'05年
ヤァガ・ヤシストがWhat We Must
シガー・ロスがTakk...をリリース
ダーティー・スリーがCinder.をリリース。
関連エントリー: Jaga Jazzist - 「What Me Must」
Sigur Ros まとめ
'06年
バトルスがそれまでにリリースしていたEPをまとめたEPC/BEPをWARPからリリースする。
ネイサン・フェイクがDrowning In A Sea Of Loveをリリース。
緻密に計算されつくしたマス(数学的)ロックを叩き出すバトルスは、まぎれもなくロックなのだが、リリースされることになったのはエレクトロニカ総本山WARPだった。
また、今年とても重要な一枚になるであろうアルバムをリリースした若手最注目アーティストネイサン・フェイクのアルバムはエレクトロニカ・コーナーに置かれているが、その音楽には本人が語るように確実にモグワイなどのポスト・ロックの影響を色濃く感じることができる。
関連エントリー: [WARP] Battles - 「EPC/BEP」
[Border Community] Nathan Fake
WARP
ポスト・ロックという音楽が誕生してから10年を迎える現在。
それが叫ばれる頃から曖昧だったエレクトロニカ或いは音響と呼ばれている音楽との境界線はさらに曖昧さを増しているようにも思われる。
個人的にはDTM主体の製作がエレクトロニカで、生演奏ありきの音楽がポスト・ロックという風にカテゴライズしてオーディオ・ファイルをフォルダ分けしたり、プレイリストなりを作ったりしています。
時代がどんなに経とうと、ロックンロールやオルタナティブ・ロックが在り続けるのと同様、現在のポスト・ロックもいつまでもポストなロックなのであろう。
方法論で産まれる新しい音楽だったりの見解はいつかエレクトロニカの特集をした時にでも、書いてみようと思います。
stereolab (ステレオラブ) Dots and Loops |
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Tortoise (トータス)
TNT
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Jim O'Rourke (ジム・オルーク)
Eureka
一つ一つの音をとれば前衛的な要素が含まれているにも関わらず、全てのエッセンスを絶妙にブレンドすることにより結果としてポップになってしまう所は、ポストロック的な音楽の中でもジム・オルークが秀でている所でもある。 ジャンル問わず全ての音楽好きにオススメする、歴史的名盤! 関連記事:Jim O'Rourke 「Eureka」 「Insignificance」 Amazon.co.jp で詳細を見る |
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mogwai (モグワイ)
Mr Beast
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Sigur Ros (シガーロス)
Takk…
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The Album Leaf (アルバム・リーフ)
In a Safe Place
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Jaga Jazzist (ヤガ・ヤシスト)
What Me Must
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Battles (バトルス)
EPC/BEP
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Fridge (フリッジ)
Happines
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Nathan Fake (ネイサン・フェイク)
Drowning in a Sea of Love
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Sea & Cake (シー・アンド・ケイク)
One Bedroom
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High Llamas (ハイラマズ)
Buzzle Bee
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Dirty Three (ダーティー・スリー)
Cinder
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Godspeed You Black Emperor! (ゴッドスピード・ユー・ブラック・エンペラー)
Lift Your Skinny Fists Like Antennas To Heaven
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bjork (ビョーク) | |
Radiohead (レディオヘッド) | |
Sonic Youth (ソニック・ユース) | |
mouse on mars (マウス・オン・マーズ) |
CORNELIUS (コーネリアス)
point
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Supercar (スーパーカー)
Futurama
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くるり
ワールズ・エンド・スーパーノヴァ
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佐々木 敦 ex‐music ’02年に出版された佐々木敦氏の本。 | |
200CDテクノ/エレクトロニカ―新世代電子音楽ディスクガイド エレクトロニカと関係の深いポストロックのアーティストを紹介している。ポストロック以外にテクノにも興味のある人にはとてもオススメの一冊。 |
iMix (iTunesStore)
収録曲
Thule The Album Leaf
Twenty Two Fourteen The Album Leaf
Dry the Rain The Beta Band
Inner Meet Me The Beta Band
Ark (Herbert's Fully Flooded Mix) Fridge
Gathering Storm Godspeed You Black Emperor!
All I Know Is Tonight Jaga Jazzist
Oslo Skyline Jaga Jazzist
Mikado Jaga Jazzist
Stardust Hotel Jaga Jazzist
Glasgow Mega-Snake Mogwai
Travel Is Dangerous Mogwai
The Sky Was Pink Nathan Fake
You Are Here Nathan Fake
Svo Hljótt Sigur Rós
Whisper Pitch Stereolab
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参考ウェブサイト
Thrill Jockey特集 (Thrill Jockeyとは?)
アイスランド専門レーベル ICELANDia 「アイスランド音楽名盤紹介」
ノルウェーの音楽、北欧ジャズなどの紹介 grinningtroll
クリエイターに役立つウェブサービスを紹介
コメント
They designed merely to dispose of this downright refusal of the trees overhead in view.
投稿者: olevia televisions | 2007年02月06日 08:16