折口雅博と村上世彰
コトが起こってから、あれこれ言っても説得力がないことっていろいろあります。
人物評もそうですね。
グッドウィルがあんなことになってから、
「折口という人間を見てたら、こうなることは分かっていた」
なんてことを言っても説得力無いですね。後付としか聞こえないですから。
でも、今回はあえて書いておきます。
僕は仕事柄、こんな質問をよく受けます。
「企業の成長性はどこで分かるか?」
答えは簡単です。
「社長を見れば分かる」
企業は社長次第というのはシンプルですが、永遠の真実だと思います。
ビジネスモデルだとか市場環境だとかトレンドだとか、成長要素はいろいろありますが、長期にわたる予測はほとんど不可能です。不確定要素が多すぎますし、予測できないことも起こります。有る程度は予測できることも、では、どのタイミングで市場がどうなるかは、正確には分かりません。
80年代にコンサルティングをやっていれば、コンピュータ社会の到来は予測はできていても、95年に爆発的なインターネットブームが起こる、なんてことは予測不可能でした。
バブルの頃には、若者はこぞって苗場に彼女とスキーに行くためにクルマを買っていましたが、20年後には、20代の若者でクルマでデートしたい人は3%もいなくなる、なんてことを予測した人など皆無です。
ことほどさように、市場というのは激変するものです。
でも、経営者本人の資質とか理念とか志向性とか性格はあまり変わりませんから、そこから将来を予測しても、大きく外すことはありません。
僕がかつてコンサルティングしていて、その後、上場した会社がいくつかありますが、例外なくそこの社長が好きで仕事をしていたところばかりです。
その頃のエピソードは、今でも仕事のネタにしていますが、それは、その社長さんたちが何を語っていたか?ではなく、何をしたか?というものです。
人の真価は言葉ではなく行動に表れるものですから。
折口氏に関しては、介護事業に参入するときに、いろいろと立派なことを言っていましたが、僕にはどうも腑に落ちませんでした。
その理由はシンプルです。
任官拒否したようなヤツは信用できねえ
折口氏は防衛大学卒です。
ご存じのように、防衛大学というのは授業料もタダだし、給料も出ます。
国防という、国の重要な任務を担う人材を育成するために、血税を使っているわけですから、卒業後はその任務につくのが当然です。なのに、任官を拒否するような人間を、僕は信用するわけにはいきません。
ですから、任官拒否をした人間が、介護事業という、これまた国のお金で喰わせてもらうような事業に参入しても、どこかで辻褄が合わなくなると感じたわけです。
折口氏が、任官拒否という自分の過去に、どこかで落とし前をつけておけば、グッドウィルもコムスンも違う姿になっていたかもしれません。
国のお金を盗むような人に、介護などという公益性の高い事業を許可した役人のセンスも、どうかと思います。
ところで、村上ファンドの村上世彰氏が、最近、社会貢献事業に乗り出しています。
私財20億円を投じてNPOを設立したと、昨年も報じられました。
僕は、村上氏の社会貢献事業については、判断できないでいます。
村上氏が唱える、「日本の寄附市場を10兆円に」というスローガン。
これには全面的に賛成なのですが、その真意がよく見えないのです。
村上ファンド時代の村上氏の行動原理は「会社は株主のモノ」。
しかし、社会セクターの人間の多くは、そうは考えていません。
会社は公器です。
つまり、原則的に対極的な価値観をもつ世界に飛びこんできた村上世彰氏。
何が彼をそうさせたのか?
村上ファンドとNPO、そこを繋ぐ何かを説明したほうが、これからやろうとしている社会貢献事業も上手くいくでしょう。
というか、若手を押しだすのもいいですが、もっとご自身が前面にでて、社会貢献事業の重要性と将来性を訴えたほうがよろしいかと思います。
村上ファンド事件に対する落とし前とは、そういうことだと思いますから。(竹井)
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/224259/41690507
この記事へのトラックバック一覧です: 折口雅博と村上世彰:
コメント
折口氏がそおゆう経歴の奴とは知りませんでした
自分でさえ育英会の借金?ちゃんと返したのに。
世間は、ちゃんと「落とし前」つけたかどうか
見てるものなんですね
あたしは会社をダメにしてたくさんの人に迷惑かけて破産はしたけど、破産はやってみればわかるけど、たいした落とし前にはなってないんでんす
借金棒引きの悪法ですね、少年法みたいな、時効みたいな
竹井さんたちの力を借りてやっと落とし前をつける機会を与えられたってとこですね、今は
天網恢恢疎にしてもらさず
歳を重ねると実感しますね、うまくできてる、この世の中
投稿 大浦 | 2008年6月30日 (月) 09時30分
世間という事を気にしすぎではないでしょうか。
人間は本来もっと自由だし、結構ダメな生き物だと思います。
税金で勉強し、返さないのはいかがなものか?と言うのはその通りで反論する隙間も無いのですが、そのルールは世間の上での事。
そんなカタイ事・・・
と
思った事をコメントしました。失礼します。
投稿 通行人 | 2008年6月30日 (月) 09時34分
■グッドウィル・グループ<4723.T>7月末に子会社グッドウィルの全事業を廃止することを決議-社会問題を含む分野こそNPOの出番か?
こんにちは。グッドウィルの廃業が決まりましたね。私は、この廃業は、すでに解任された前オーナーの責任だとか現経営陣の責任という面もありますが、それだけの単純なものではないと思います。私は、派遣だとか、介護など社会問題の部分も含んだ事業は、民間よりも、ましてや政府ではなくNPOが実施すべきだと考えています。日本では、NPOの歴史も短いため、なかなか理解されないですが、今後多種多少なNPOが排出しなければ日本の社会問題は解決されないまま放置されることになっしてまうと思います。ここでは長くなってしまっています。詳細は私のブログを是非ご覧になってください。
投稿 yutakarlson | 2008年6月30日 (月) 12時00分
コメント、ありがとうございます
>大浦さん
おっしゃるとおり、破産それ自体はたいした落とし前にはならないかもしれませんが、そうなったことへの落とし前をつけるために、いったん身軽にしてもらえるということじゃないでしょうか?
>やっと落とし前をつける機会を与えられたってとこですね、今は
おめでとうございます♪
>通行人さん
いや、あんまり「世間」というものは意識してないんですよ。
今回の記事は、なんだかんだ言ってますが、ようするに、
「オレは任官拒否するヤツが大っ嫌い!!」
っていうだけの記事なんですけどね
>人間は本来もっと自由だし、結構ダメな生き物だと思います。
これは同感ですね。
僕も、あんまり偉そうなことを言える人間ではありません。
でも、だからこそ、立派な志を持った人たちを汚す行為が許せん!!
というのもある、ということなんですよ。
> yutakarlsonさん
ブログ、拝見しました。
ご指摘の通り、社会問題に絡むことは、社会セクターがやるべきだというのは、まったくその通りだと思います。
ただ、現実に、介護事業を行なっているNPOは膨大にあるにも関わらず、コムスンのような大きな事業体になってないのは何故か?コムスン解体の時に、その事業を引き受けようとしたNPOが、どこにもなかったのは何故か?
ここらに、NPOが抱える現実的な問題点が隠れていると思います。
詳細はまたの機会に、記事にしたいと思いますが、そんなこんなで、僕個人としては社会起業家に未来を託す気持ちであります。
言葉を変えれば、より大きな活動を実現できるNPOの出現が待たれる、ということでしょうか。企業家とともに、NPOも変わるべき時代にあると思います。
投稿 竹井善昭 | 2008年6月30日 (月) 17時30分
通行人さんへ
竹井さんの記事は
「世間」という言葉を使ってますけど
それって「自分自身の一貫性」
と置き換えてみたらどおですか?
アタシも「人からどお見られるか」なんて一切無視して生きてます
自分にとって自分はどおなのか?
尺度は自分の中にしかないでしょう
でも、その尺度って、傍から見ててもけっこうわかりませんか?
かっこいい生き方の奴と
ずるがしこく生きようとしてる奴。
通行人さんがあの二人のことを
「そんなカタイ事・・」っていうのは
甘いな。
それぞれの人の生きること自体の悲しみに寄り添うことと
使命から逃げる生き方を問題にすることは
両方が大事なことです。
両方をバランスよく両立してほしい。
投稿 大浦 | 2008年7月 1日 (火) 00時13分