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魔法少女リリカルなのは ロストロギアメモリー第二話 海鳴温泉
日時: 2007/04/17 18:51
名前: 空腹


 アレから一週間

 世界が改変されてから一週間


 最早右腕と一体化し離れる気のない移動用インテリジェントデバイス【カイロス】

 ビビリまくりつつもコレを使いこなし、キャプチャーしてしまったロストロギアと呼ばれるなんか魔法品っぽい奴を取り出し、戦闘系デバイスを持ってる奴に渡さなくてはいけないんだけど。

 この一週間での成果はまるで無し。

 強いて言えばボード形態――通称ビークルフォルムの運転に多少慣れた程度。

 分かったことは、ビークルフォームの推力が柄の所にある三角錐の宝石から放射される魔力波メインで、各所に姿勢維持のための噴出ポイントがある事ぐらい。

 ところで学校にはいかずに通信教育を続けている俺だがなのはが学校が終るのと同時に合流、黒衣の魔法少女の襲撃に脅えつつ、ジュエルシードの探索に尽力をつくした。

 今の所魔法はほぼ使えていない。

 なのははバンバン使っているが、ハッキリ言って化け物チック過ぎる。

 特にメインウエポンである【ディバインバスター】
 
 アレは卑怯だ。

 魔法なんてぶっ飛んだ物を学び始めたばかりの自分にも分かる。

 アレはバリア貫通能力が半端ではないし、弾速も早い。

 しかも、なのははバリアが堅い。(カイロスが使ったプロテクションも目の前で展開されたなのはのバリアの劣化コピーである。)

 レイジングハートもなのはに合わせて自身を調整して来ていて、まだまだ強くなるであろう。

 堅牢なバリアに一撃必殺の砲撃。最大速度と瞬間加速にこそ優れるが小回りの気かない重い機動。 

 故に敵の攻撃を回避するのではなく、受け止め、逸らし、そして一発で戦況を変える砲撃、それがなのはの戦闘スタイルである。

 ちなみに、俺だが基本的に防御能力は高いらしい。

 劣化型の防御魔法ではあるが、それでもなのは並かそれ以上の性能を有している。

 だがソレだけ。魔力をバキューンと撃つ事も、先日の黒い少女の様にビームサーベルじみた攻撃も無理。

 そしてコレが一番痛いのだが、俺は自分では飛べない、ビークルフォルムであれば飛べるが、アレはあくまでもデバイスとしての性能だ。

 最高速度こそなのは以上だが、加速力も旋回力も無い。

 まさに移動用デバイスの面目躍如だ。

 しかし、カイロスは自分の意思で俺から強制的に魔力を引き出し、自身に設置されたプログラムを起動、魔法の使用を可能にしている、らしい。

 ユーノが言うにはインテリジェントデバイス使いには偶にある、杖に使われている状態であるらしいが、それでも自身の使い手の意思を無視してあそこまで勝手に振舞うことは普通無いらしい。

 この辺りが、この不良品デバイスをロストロギアと言わしめている。

 最も幸い探査能力はかなり高めのデバイスだったらしく、魔導師として多少の仕事もしている。

 相変わらず大剣型【ブレイドフォルム】は持ち上げることも出来ないが。 

 一回、このまま棄てて行ったらどうだろうと、大剣のまま棄ててみたが瞬時に待機形態である鎖に戻り腕に絡みついてきた。

 泣きそうだ。

 










 


      魔法少女リリカルなのは ロストロギアメモリー

          第二話 海鳴温泉なの・・・なのじゃねーよ!









 さて!

 日本国内は全国的に連休です。

 喫茶翠屋は年中無休ですが、偶の休みには家族連れで温泉に行ったりもします。

 お店を店員さん達にお任せしてまーす。

 今回は私のお友達一同とお兄ちゃんの彼女さん――忍さんとそのメイドさん達とでのんびりして来ます。


 ぶーん二台の車が通り過ぎ、一台目にはなのはらが、二台目には兄と恋人さんとメイドさんが乗って居ます。


 しかし

 実は家族には内緒ですが、もう一人着ているのです。

 いえ、部屋も個別

 偶々宿屋で落ち合うと言う、事態なのですが。人為的に

 

 ただ、其の人は凄く怖がりで、一人にして置けません。私が護ってあげなくちゃ!

 むん!

 と気合を入れていたら

 ユーノ君にゆっくりしなくちゃ駄目なんだと言われました。

 

 分かってます。ジュエルシードはアレから一つも見つかって無いし、真っ黒な魔導師の事も気になります。

 だから、今回のコレは良い骨休めになるとユーノ君のお奨めであります。

 とりあえず、なのはも週末は年相応にお子様らしく目一杯遊びたいと思います。

 最も私はあの怖がりさんの方にゆっくり休んで欲しいとも思っていたりするのですが。







 

「メイドだ」

 おっす。怖がりナンバー1

 伝説のオタク魔導師――緒方鉄也とは俺のことだ。

 現在上空百メートルきっかりでなのは達の乗る車を追尾中。ストーカーに転身したわけじゃねーです。

 今週末

 なのは達が温泉旅行に出かけると聞かされたのは一昨日

 マジでビビリました。なのはさんが居なくなったら誰が俺を護るのですか!

 そう言うわけでなのはの泊まる宿を聞き出し予約、移動中はビークルフォルムで追尾、いざとなったらユーノが結界張ってなのはが助けに来てくれるって寸法だ。

 情けない状態だが、ユーノ曰く君となのはでは才能(リンカーコアの魔力生成量)に五倍以上の差がある、しかもデバイスは移動用だ君の恐怖は当然だよ。らしい

 怖がりなのはしょうがない。問題はソレでも最大限の努力を出来るかどうからしい。

 何げにユーノはこの間なのはを庇った事で結構俺を評価してるみたいだ。

 勘違いなのだが。

 そんなこんなで宿に到着

 いや、移動中に狙撃とかされなくて良かった。












「淫獣」

「ぐふぉ!」

 のぼせてグダグダになったフィレットを肩に乗せて睨み付ける。

「お前、見たな!全部見たな!豊満なアレとか、未成熟なソレとか、全部見たな!淫獣!!」

「ぐふぉ!」

 辿り着いた宿でとりあえず一っ風呂を浴びると婦女湯の前で伸びている見知った獣を発見、ソレだけで全てを悟った俺は一通り淫獣とフィレットを罵っていたのだ。

 

「あ、ユーノ!!」

 ぴゅるりっとユーノは俺の罵りに耐えられ無くなったのか、自分を呼んだ女の子達の所にさっさっと移動した。

 なのはも居る所から見るとアレが噂のお友達だろう。クオリティー高いな、おい!

 まあ、一番高いのはなのはの家族に、けしからんブツをお持ちの恋人さんと【メイド】さんなのだが、少なくともこの旅館にはあの方々以上の美形はいませんでしたよ。

 いずれなのはもお子様から巣立っていくのかと思うと、保護されている身としては微妙な気分に

 なのはの他二名はユーノがなついた俺を不信げに思ったようだが、俺はさっさと頭を下げて離脱する。

 浴衣では右腕の鎖が見えてしまいそうになるからだ。実際風呂は大変だった。

 まあ、洋服に着替えたら探査魔法でなのはの位置を確認、再度お近づきになろうと接近しよう。

 




 その機会は結局の所随分後回しにされてしまうのだが








 こそこそとなのは達の後をつける俺

 なのは達はたっきゅー、やらおみやげーとか言っている。

 やべ、今気が付いたら卓球なんてやった事ねーぞ。

 土産は貰ったことは有っても買ったことは無い!

 良いこと言うな!なのはフレンズ!

 よっし、そろそろユーノを囮に三人とお近づきになるか。

 本日はストーカー行為が多めだが、ソレもここまで、後は友達になれるかどうかが問題だ。

 大丈夫

 俺にはできる

 人類皆兄妹!

 おー!



 と、出て行こうとした矢先



 ぞくり



 オタクレーダーに反応有り。

 オタクレーダーに反応有り。

 
 直ちに撤退の準備をして推移を見守れ。




 さーっと廊下の柱の一つの裏に隠れ。

 なのはに話し掛ける。けしからないボデーを持つ野生的な美女を見つけた。


(なのはなのはなのはなのはなのはーー!!)

 指向性の高い念話を敢行

 こういった小技の筋は良いそうな

 っとそれどころではない

(な、何?どうしたの鉄ちゃん?)

 若干の違和感を感じて居るようだが、目の前の存在に明確な敵意を感じて居ないなのは、鈍い。

 そんな、生身の戦闘能力が家のオヤジ並の奴が一般人なわけが無い。

(どうしたもこうしたも、そいつは敵だ!)

(え、でも?)

 そうしている合間にも、話しかけられて困った様子のなのはの変わりに金髪の少女が敢然と立向う。

「なのは?お知り合い?」

「う、うんうん」

「この子、あなたを知らないそうですけどお知りあいですか?」

 両手を前に

 ぎゅっと握り締めて目の前の子供に流し目なんぞをくれている女性をじっと睨む少女。

 普通に尊敬できそううな強さだ。

 もう一人の方は微妙におびえているようすだが、危機感が高い。

 俺には目の前の女が熊並の威圧感を伴って見える。

 筋骨隆々のオヤジに組み手をやらされていた俺には、魔法使いの強さはさっぱりだが、素手の強さは良く分かった。

 こないだの黒衣の少女もそれなりに鍛えてある様子だったが、目の前のは完全な肉弾戦用だ。

 魔力とか一切無くても熊並である。

 ユーノも明らかに変な雰囲気を感じたのか頭を上げる。

「あははははははははは」

 オレンジ色の髪に額に宝石

 整った容貌だが、野生的で攻撃的な高笑いを上げ。

「ごめんごめん。知っている人と間違えちゃったかな。良く似ていたもんで」

「な、なんだ」

 明らかに安心した様子のなのは

(騙されるな!明らかに変だろ!)

(で、でも間違いだって)

「あははは、可愛いフェレットだね!良し良し、なでなで」

 そんな態度を取る相手になのははついに頬を緩める。

 あほー!明らかに違うのにー。と思った瞬間

(いまのところはあいさつだけだよ)

 空気が変わった

(忠告しとくよ。子供は良い子でお家で遊んでなさい。おいたが過ぎるとがぶっと行くわよ)

 こっちに来る。

 さーってもうひとっぷろあびよなどと言いつつ、移動を開始する。なぞの敵

 態々会う必要も無いのでストーカーで身につけた忍び足でこの場を退避。

 百パーセント気付かれていると分かっていたが、それでもとりあえず逃げた。






 残念ながら、その後なのは達と会う機会は得られなかった。

 念話でとりあえず休んどこうと言われたのでその通りにする。

 其の際になのはが

(三人でがんばろー!)

 と言っていたのがやけに耳に残った。

 何か失言でもやったか?あのフィレット。

 



 


 夜

 草木も眠る丑三つ時

 其の感覚は来た

 

「っつ。これがジェルシードの感覚か。」

『ブレイドフォルム オープン レディー』

 呼びかけるまでも無く【カイロス】が起動

 とりあえず向こうに行くしかないだろ。

 敵は少なくとも二人。

 一対一では俺に勝ち目がない。

 しかもジュエルシードを持っている俺に敵がやってこないとも限らないし。


『ビークルフォルム』

 俺の意思決定よりもやはり先にカイロスは行動を促す。

「なのはと合流した方が良い。それには目印となるジュエルシードの所に行くのが一番か」

 シュイン

 最早態々固定されるまでも無い。

 自分の意思でカイロスの上に載ると

 きゅいぃぃぃん 

 どひゅーん

 
 チャージ、そして発進。

 

 夜空に舞い上がれば天を突く白線

 感知するまでも無い。

 アレを目指せば良い。

「鉄ちゃーん!」

 したからなのはの声がする。

 機首をなのはに向け。引っさらうかのように抱きとめて向かう。きゃーとか聞こえたが無視。本来であればドキドキな展開だが、コレから起こる戦いを予想すると


 がたがたがたがたがたがたがた

 
 恐怖に耐えて、なんとか逃げ出すのは堪えた。


 なのはが飛ぶよりもスピードの乗った【カイロス】の方が早い。

 だが

 ソレでも遅かった




 

「一つ目」

 黒衣の少女がジュエルシードを既に手中に収めていた。

「あ」

 腕の中で悔しげな声がする。

 そのまま二人から十メートルも離れて居ない位置に降りる。

 飛ぶならともかく、空中で止まっているのには結構な魔力を消費するからだ。

「あーらあらあらあら」

 降りてきた俺達を迎え入れるのはオレンジ色の髪に犬耳を持った女性。


 くそ


 せっかく真面目路線で来たのにいきなり俺の突っ込みどころを創りやがって。


「子供は良い子でって言わなかった?」

「ジュエルシードをどうするつもりなんだ!それは、危険なものなんだ!」

 なのはの肩でユーノが決然と言い放つ。相変わらず無意味に格好良い小動物。

「さあぁ!ねぇ!。答える理由が見つからないなぁ!それにあたし言ったよね。良い子にしないとがぶっと行くよって」

 ギロリっと睨み付けてくる犬耳女。

 ふっ

 その様な犬耳を付けたのが失敗だったな。

 オタクの俺はソレだけで恐怖が八割減だぜ。

「はっ!良い子ってのは、あんたの言うことを聞く奴ってことか?それとも夜中に出歩く奴か?夜中に出歩くって意味なら、その子も悪い子って意味になるぜ?」

 なのはの後ろに下がって、罵声。

 へちゃれだ。

 それに口元を退くつかせた犬耳女。髪が伸び瞳孔が縦に引裂かれ、次いで顕れたるは魔性の狼。

 ふっ
 
 前言撤回

 マジコエー 
 

 でも、感じる魔力はツインテールの金髪少女には及ばない。


「おおおおおおおおおおおおおおおん」




 魂まで凍てつかせる様な。獣の咆哮。

 ぶるぶるぶるぶる

 かくかくかくかく

 足がダンス寸前の動きを見せる。くっそ、今タップなら誰にも負けねー。

「やっぱり、あいつ。あの子の使い魔だ!」

「使い魔!」

 なのはの肩で鋭く言うユーノに驚いて答えるなのは、しかし俺は驚かない。

(くそ、またしてもベタな設定を)

 などと思っていたから。 

「そうさ、あたしはこの子に創って貰った魔法生命。製作者の魔力で生きる変わりに命と力の全てで持ってこの子を護る」

 紅い狼がそのことに誇りを持っているとでも言いたげに、、恐らく女性形態だったら高笑いでもかましそうに言う。

 うう、気圧されてしまいそうだ。

「先に帰ってて、すぐに追いつくから」

「無理しないで」

 二人で話す時には互いの信頼が見え隠れする優しさを感じさせる口調。

 こっち向いて話す時にもそうして欲しい。

「O.K!」

 グオン

 一脚で十メートル近い大ジャンプ。

 そのまま落下の勢いで持って、鋭すぎる牙をむき出しに襲いかかってくる!

 カイロスを引き摺り、バックしようとした。

 だが

 前に出るフィレット

 その小さな体躯は敵の巨体に対してあまりにも儚い。

 くそ

 だから

 俺に死にそうになるシーンを見せるな。

 頭では大丈夫だって理解しても体が勝手に

「うおおお!」

 カイロスを大地に突きたて、右の篭手で敵を受け止める。

 同時にユーノが魔法陣を展開

 圧力はあまり感じないが、ギリギリッとバリアジャケットが軋む。

「鉄也っ!――よし!なのは!あの子を頼む、こいつは僕と鉄也で何とかする」

 勝手に決めるな!とでも言いたかったが、俺はあの子とは戦いたくない。

 騙まし討ちみたいにジュエルシードを(自分の意思ではないにしろ)獲ってしまったことに罪の意識を感じてる。

 ならいいさ。

 戦うのは怖い。

 だからまた逃げるだけさ。嫌な事から

「させると思ってるのかい!」

 ぐっと圧力が強まるが、魔法でない純粋な力だけ、ユーノの魔法陣もあるんだ。オタクパワーで乗り切って見せるさ!

「させて見せるさぁ!」

 やっぱり格好良いフィレットの台詞。

 因みに俺は必死に踏ん張って碌に喋れなかった。

 だから、責任逃れみたいに
 
「なのは!頑張れ!」

 とだけ言った。

「うん!」

 そんなアホな俺の台詞に、なのはは満面の笑みで答える。

 この子だって、相手の少女とは戦いたくは無いだろう、それでも俺を安心させる為に微笑んだ。

 まったく最低だ。俺 

 ユーノの魔法陣が一気に力を解放し

「移動魔法。しまった!」

「ふん!」

 ずんっと何も見え無くなった。

 せめて、あの子となのはが話し合いで済ませてくれれば良いな。なんてこれっぽっちも信じていない幻想を夢見て。












「結界に強制転移魔法。あの子も以前よりもずっと良くなっている。良い使い魔を持っているね」

 変わらず無表情に黒衣の少女――フェイトはなのはを見ているとも、見ていないともつかない感じに語りかけた。

「ユーノ君と鉄ちゃんは使い魔って奴じゃないよ。私の、大切な友達!」

 睨み合う両者

 なのはは舌が乾くほどに緊張しているが、相手の子はどうだかわから無い。

 ユーノ君も鉄ちゃんも心配だが、今はそのことを全て忘れて、この子のことだけを考えなくてはならない。

「で、どうするの?」

「話し合いで何とかできるってことは無い?」

 自分でもちょっと冷たいと分かる良い方だった。言って、ソレが自分の望みだとハッキリと分かりもしたが。
 
「私はロストロギアの欠片を、ジュエルシードを集めなければならない。そしてあなたも同じ目的ならば、私達は戦うしかない」

 フェイトの答えは簡潔だった。

 簡潔で分かりやすく。それ以外の選択肢は無いと言っている様に聞こえた。

 なのはの中で猛烈な反発が生じ、かっと冷静でいようとした頭が熱くなる。

「だから!そういうことを簡単に決めつけないために話し合いって、必要なんだと思う!」

 今度はフェイトの中で、それに対する反発が生まれた。

「話し合うだけじゃ、言葉だけじゃ何も変わらない、伝わらない!」

 フェイトは言うと同時にバルディッシュを構えた。

 なのはに見えたのは其処まで

 次の瞬間にはいとも簡単に背後を取られていた。

 なのはが振り向くことが出来たのは半ばまで運

 後は勘と、僅かな期間とは言え、高密度に繰り返した実戦の経験

『Flier Fin』

 同時にレイジングハートが高速移動魔法を展開

 なのはの体は月に吸い込まれるように上昇

「でも、だからって」

 話さなければ、本当に何も伝わらない。

 なのははそう言いたかったが

「賭けて。私とあなたのジュエルシードを一つづつ」

 もはや、言葉を交わせる状態ではなくなっていた。




 


『Round Shield』

 大地に突き刺したカイロスから機械音声が発し。

 右腕の先に蒼い障壁がそそり立つ。

 速く動き回る相手に大剣をえっちらおっちら抱えていたらあのナイフなんて目じゃねーよ、と言いたげな爪とか鉄でさえ砕きかねない牙で無残に殺されてしまう。

 幸い防御力は高いんだ。防いでる隙にユーノに何とかして貰おう。

 とおもったら

 ガッシャーン

 まだまだバリアにも魔力にも余裕が有ったのに、こちらのバリアを強制的に解除された。

「はあああああああああ!」

 獣の喉から場違いに綺麗な声がする。

 あの噛みつきを、明らかに魔力使ってますなアレをバリアジャケットだけで防げるか?

 つーか腰が抜けて動けない。

『Eternity Fist』

 飛びかかられる直前

 オートで発動した魔法が俺の両腕を蒼く染め上げる。

 抜けた腰を何とか持ち直し、両腕で受け『流す』

 ばちぃぃっと

 派手な音を鳴らして吹き飛んだ紅い犬。

 やった俺が一番びっくりだが、意外と強いのかコレ?

「やってくれるじゃないさ!」

 しかし、あっさりと四本足で華麗に着地。殴ったわけではないので特にダメージはない。  

 むしろ更に勢いをつけてくる。
 
 ビビリ度数七十アップ 

 足どころか、腰までかっくんかっくん

「使い魔を作れるほどの魔導師がなんでこんな世界に着ている!そしてロストロギア、ジュエルシードについて何を知っている!」

「ごちゃごちゃと、うるさい!」

 ちょっと離れた位置に居たユーノが語気も荒く問いかけるが、やはり犬に答える気はない。

 標的をユーノに変えて突進。

「くそ、小動物に襲いかかるなよ!」

 刀身の先から二つの魔力ブースターが迫り出して地面に刺さったカイロスを強制的に動かし、ユーノの前に立ち塞がる。

 こういう使い方もできるのか、ビークルフォルムの時に『バックします』に使うための物だが、別にブレイドフォルムでもだせるんかい。

『Dimension Blade』

 刀身が蒼い魔力で覆われ正面衝突

 魔力と魔力が火花を散らす。

 ソレと同時期


『Thunder Smasher』

『Divine Buster』

 

 上空で桜色と黄色の魔力光も正面衝突

 

 みぎゃーっとカイロスを手放し無様に吹き飛ばされた俺と違いなのはは

「レイジングハート、お願い!」

『All Right』



 更に出力を上げサンダースマッシャーを押し返た。


「なのは強い」

 思わずこちらの戦闘も忘れて見いってしまうユーノ。

 確かにそうだ。

 なのはは強い。敵の使い魔でさえそちらを見てしまったほどだ。

 でも忘れるな。吹き飛ばされた俺はカイロスから一定以上の距離を取ってしまった。そうなるとカイロスは自動的に待機フォルムになり右腕に絡まってくる。

 ふふふ。バリアジャケットもとれ茂みに突入し身動きの取れない俺

 今使い魔様に何かされたら、トマトなソースにはやがわりよ。ご一緒にパスタもいかがだこん畜生。

 更に悪いことに

「でも甘い」

 其の使い魔の言は真実になった。
 
 砲撃戦に勝利し、僅かに油断の有ったなのははあっさりと詰め寄られ、サイスフォームのビームっぽい刃を首に押し付けられた。

 本気で殺す気か!

 と一瞬考え損ねたが、やはり黒衣の少女は刃を止めた。 

 空気が凍る。

 僅かになのはがみじろきしただけで刃はなのはを傷付けてしまう。

 どっくん

 どっくん

 心臓よりも深い所で何かが躍動する。

 緊張で内臓がぎゅっと縮こまった。

 はあはあはあ

 と変態みたいに呼吸は荒くなり、推移を見守る。

 もしなのはが傷つけられたらどうしよう。

 どっくん

 どっくん


『Put off』

 だが、主思いのレイジングハートはジュエルシードを排出し、なのはを傷つけさせる事を止めさせた。

 良い奴だレイジングハート

 ナイスだレイジングハート

 そしてとっととお前も排出しろカイロス

『嫌です』

 ブッコロ




 そうしている間に

「帰ろうアルフ」

 彼女はそれ以上の戦闘を止め。

 本当に去りだした。俺をぶっ飛ばした使い魔――アルフも人型に戻り。

「んん!さっすが私のご主人様。じゃあねー、おちびちゃん!」

 と言ってきた。

 俺はそんなに小さくねーぞ。なのはは確かに小さいが。

「まって!」

 上空からなのはが舞い降り、全てを手に入れた勝者を呼びとめた。

 待て、なのは。ここで俺の持ってるジュエルシードのことを思い出されたら、俺はいったいどうすれば良いんだ。

 もし戦うことになったら余裕で敗北宣言をするが、お前のデバイスみたいに主思いでないこいつは絶対に出さないぞ、と言うよりなんでこんなものをキャプチャーしたのか未だに言わない、駄目な奴なんだぞ。

 あの子が酷いことをするとも思えないが、ちょっと間違いが起れば軽く失禁物だ。

「出来るなら、私達の前にもう現れないで、今度はもう止められないかもしれない」

 おお。見逃してくれるのか。やっぱり俺の意思でジュエルシードを回収した様には見えず、デバイスを扱いきれないことが見え見えだからか。

 どちらにしろラッキーとしか言えない。

「名前、名前を教えて!」

「フェイト、フェイト・テスタロッサ」

「私は!」

 なのはの問いには答えた黒衣の少女――フェイトだったが、なのはの名を聞こうともせず、去っていく。

 其の背中に感じるのは強い意思と理念。

 ソレが崩れるのを嫌ったのか

 それともそんなことには興味がないとでも言いたかったのか。

 当人に問いかけることも出来ず。

 なのはは苦い思いを噛み締めた。


 鉄也は実際に口の中を切って鉄臭かったが。

 

 




 



 のりのりに書き続けてるし!?
 






 オリキャラ設定

 緒方鉄也(おがたてつや)九歳

 あだ名は鉄ちゃん

 産まれてから九年間、一度たりとも家の外に出たことのない究極の引き篭もり。

 しかし、実際に見た事がないだけでネットや本を大量に読んでいるので知識だけは割りと豊富。

 髪はオフクロさんが一年前、オヤジさんが三ヶ月前に寝込んでから一度も髪を切ってないので割と長め。

 蒼いほどに黒い綺麗な髪を持っているが現在はボサボサ。

 お坊ちゃん育ちなので顔の造型はちょっと緩め、能天気な顔をしている。
  
 厳しいオヤジさんに調教されたが、あくまでも性格はヘタレ。ちょっとでも怖いことがあると涙目になるし、嫌なことからは逃げようとする。

 オヤジさんからとりあえず的に拳法を習ってはいたが、魔法な人々に対抗できるはずも無く使われる機会は今の所ない。

 両親の死のショックで生き物が死ぬことが極端に駄目になってしまった。そのため体が勝手に動くこともある。

 家には大量のマンガ本が置いてあり、毎月新刊をamaz●nで購入中。しかし、残った財産でこの生活を続けていると長く持たないので立ち読みをするかなと悩んでいる。

 貧弱ではないが、【カイロス】を持てる程の筋力は無い。少なくとも振り回すことは夢のまた夢

 最大の特徴は『オタク』であること。何時かは心の故郷【秋葉原】に行って見たいと『常』に思っている。

 リンカーコアの魔力生成量はなのはの五分の一程度。才覚自体は低いがこの世界の人間としては破格。

 壊滅的なまでに口が悪い。
 

 オリジナルデバイス

 カイロス

 あだ名は駄剣 

 何故か鉄也のオヤジさんが持っていた謎のデバイス。マスターであるはずの鉄也の意思とは無関係に活動して、魔法を使う際も鉄也から無理矢理魔力を抜きとっている。

 この辺りがユーノにロストロギアと思わせた。

 形状は馬鹿デカイ剣。鉄の塊と言うわけではなく多くの機構を取り付けたら無意味にでかくなってしまった感じ。
 
 その性能はユーノ曰く『移動型としては破格』

 高機動戦闘はその重量ゆえに出来ず、砲撃戦闘は収束、操作の両方が無い為に出来ない。
 
 しかし、防御だけはなのは以上に高い。バリアの出力もそうだが、発生に掛かる時間も短い。

 【ブレイドフォルム】【ビークルフォルム】【シーリングフォルム(仮)】の三形態を持ち、ビークルフォルム時の最高速は計測不能。

 理由は速くなりすぎて鉄也が気絶するから。

 最大の特徴は重すぎて鉄也が扱えないこと。

 鉄也自身を浮かべることは出来ても、飛行はさせることは出来ない。浮んでいるだけだと重くて疲れる。

 バリアジャケット【ストライクフォルム】だけは全世界最硬の堅さを誇るが魔力消費はでかく、動きを速める効果は全く無く衝撃吸収も低いのでジャケットは無事でも鉄也が気絶する。

 ハッキリ言ってユーノの言う通り戦闘に適さない。 

 何を考えているか全く分からない人工知能を持っている。    


メンテ
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Re: 魔法少女リリカルなのは ロストロギアメモリー第二話 海鳴温泉 ( No.1 )
日時: 2007/04/17 18:32
名前:

女の子に守ってあげなくちゃなんて思われてるなんて情けないですね。へたれな主人公にとってはうれしいことかもしれませんが。
ユーノを淫獣扱いしたのはナイスでした!! 私も原作を見たときはこのことについては突っ込みたかったですから。

オタクレーダーが何気にかなり性能が高いですね。でも肝心のときに役に立たないような気が………

戦闘の時にさりげなく活躍している?のには驚きですね。

次の話も楽しみにしてます。
メンテ
Re: 魔法少女リリカルなのは ロストロギアメモリー第二話 海鳴温泉 ( No.2 )
日時: 2007/04/17 18:35
名前: 訂正

なのは達が温泉旅行に出かける時かされたのは一昨日→なのは達が温泉旅行に出かけると聞かされたのは一昨日

メンテ

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