レンタカー業界ビクビク 秋葉原殺傷あす1ヵ月

犯行に使われたトラックを調べる捜査員。レンタカー業界は「犯罪への使用の予見は不可能だ」と強調する=6月8日、東京・秋葉原
 レンタカーのトラックが凶器の1つとなった、東京・秋葉原の無差別殺傷事件は、8日で発生から1カ月を迎える。同じくレンタカーのトラックが使われた仙台市のアーケード街暴走事件(2005年)では、遺族が起こした損害賠償請求訴訟でレンタカー会社が高額な賠償を命じられた。秋葉原の事件でも同様の訴訟が起こされる可能性があり、レンタカー業界が不満を募らせている。

 仙台市の事件では、死亡した女性の遺族がアーケード内の道路を管理する市と大手レンタカー会社に約7700万円の賠償を求めて提訴。仙台地裁は5月、市への請求を退ける一方、会社に約6400万円の賠償を命じた。遺族と会社は控訴したが、6月に双方が取り下げ、確定した。

 会社が賠償義務を負うのは、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づく「運行供用者責任」が根拠。レンタカー契約により、会社が車の運行に関する支配と利益を有するとされるためだ。

 被告の会社は「遺族の心情を考えた」と控訴取り下げの理由を説明する一方、「(会社に責任はないとの)主張が認められなかったのは残念だ」と不満もにじませる。

 仙台地裁判決後、同社には一般の市民からも「レンタカー会社が賠償義務を負うのは納得できない」などの意見が寄せられたという。同社のレンタカーは秋葉原の事件でも使われたが、仙台と同様の訴訟が起こされれば「逆に(業界にとって厳しい)実情が認知されるかもしれない」と話す。

 自賠法に詳しい熊田裕之・東洋大法科大学院教授は「危険な物(自動車)から利益を得る者(レンタカー会社)が、生じた損害も賠償するというのが立法趣旨だ」と指摘。「自賠法は運転者の故意と過失を区別しない。車が盗まれた場合は別として、犯罪の凶器に使われた責任を一切負わないとするのは法の趣旨になじまない」と話す。

 ただ、被害者側とレンタカー会社側は、会社による賠償が「資力のない加害者に代わる被害弁償の意味合いが強い」との認識では一致している。

 仙台の事件の訴訟で遺族代理人を務めた弁護士は「車の利用者や所有者が被害弁償するのは当然で、誰が負担するかは利用者と所有者の間の問題だ」とみている。
2008年07月07日月曜日

宮城

社会



河北新報携帯サイト

QRコード

東北のニュースが携帯でも読める。楽天・東北のスポーツ情報も満載。

≫詳しくはこちら

http://jyoho.kahoku.co.jp/mb/