デジタル流行通信 戸田覚

バックナンバー一覧

このページを印刷

【第34回】 2008年07月07日

インテルの格安CPU「Atom」はPCのあり方を変える

 6月に入って、ついにインテルが新CPUの「Atom」を発表した。ずいぶん前からその存在は明らかになっており、発表は時間の問題だった。

 一般的な認知度はあまり高くないが、実は、パソコンのあり方を変えるほどのインパクトがあるCPUなのだ。

MSIのネットブックU1000
MSIのネットブックU1000。発売時期や価格は未定だが、非常に割安感のある価格で、この夏に登場することは間違いないだろう。CPUはAtomでOSはWindows XPだ。

 これまでのCPUは、基本的に高性能化を目指していた。もう10年以上にわたって、前シーズンよりもより高性能な製品が登場し続けてきたのだ。もちろん、モバイル向けのCPUは、フルサイズノート用のCPUに比べると性能は劣る。だが、前のシーズンよりは高性能だった。ユーザーは、高性能CPUを搭載した新しいパソコンに買い換えることを繰り返してきたのだ。

 ところがAtomは、格安向けとして性能を絞ったCPUだ。いわゆる、ネットブックやネットトップなどと呼ばれる、軽くコンパクトで5~6万円程度のパソコンが大挙登場しようとしている。Webやメール中心に性能を割り切ったノートPCであり、Atomはその心臓部なのだ。ヘビーな作業に利用しないので、性能は最低限だ。

「割り切り感」さえ納得できれば、
ネットトップはとにかく安い

 ネットトップは、処理性能だけでなくバッテリー駆動時間も割り切っているのが従来のモバイルノートとの違いだ。堅牢性や高級感など――従来のモバイルノートの基準で考えると、どこもかしこも割り切りばかりだ。だが、とにかく安い。コンパクトデジカメを買える程度の5万円という価格だから、納得できてしまうユーザーが多い。特に、パソコンにかけられるコストが低いIT発展途上国では、歓迎されること間違いなしだ。世界的に見れば、今後、大ボリュームのセールスが期待できるジャンルの製品なのだ。

 およそ1年半程前に「Windows Vista」が登場し、そのヘビーさからCPUに対する要求が一気に高まった。ところが、いまや割り切ったAtomでもWindows Vistaが動作する。もちろん、重いと感じる場面もあるが、インターネット中心の用途に割り切るなら十分とも言える。

関連キーワード:トレンド・新商品 産業 IT・情報通信

ソーシャルブックマークへ投稿: このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をYahoo!ブックマークに投稿 この記事をBuzzurlに投稿 この記事をトピックイットに投稿 この記事をlivedoorクリップに投稿 この記事をnewsingに投稿 この記事をdel.icio.usに投稿

おすすめ関連記事

special topics

バックナンバー

第34回 インテルの格安CPU「Atom」はPCのあり方を変える (2008年07月07日)
第33回 ダビング10は、誰にとってメリットがあるのか? (2008年06月30日)
第32回 ネットワークの新時代到来!  自宅PCがサーバになる「ポケットU」 (2008年06月23日)
第31回 ついに登場するiPhoneは、日本市場でヒットするのか (2008年06月16日)
第30回 「iPodと真空管アンプ」のコラボで心に響く音を堪能! (2008年06月09日)
第29回 ピンボケ画像もキレイに修正する「超解像度技術」に注目 (2008年06月02日)
第28回 低価格化に拍車!パソコンの「コモディティ化」が止まらない (2008年05月26日)
第27回 高画質で遊び心満載の「デジタル写真立て」に注目 (2008年05月19日)
第26回 パソコンで地デジを見られるチューナーが登場! (2008年05月12日)
第25回 「電力線インターネット」は、いよいよ普及モードに入るのか (2008年04月28日)

注目の特集

【子供を襲うネット・ケータイの罠】

知らぬは親と教師ばかり ケータイとネットに潜む罠

子供の携帯電話の所持率が増加する中、携帯電話やインターネットでのトラブルが増加の一途を辿っている。犯罪に巻き込まれることも少なくない。その実態を追った「週刊ダイヤモンド」編集部総力特集

ページの上に戻る

強力コラム執筆陣が時代を斬る!

JavascriptをONにしてください

執筆者プロフィル

写真:戸田覚

戸田覚

株式会社アバンギャルド/株式会社戸田覚事務所代表取締役。1963年生まれのビジネス書作家。IT、プレゼン、セールス、企画書、仕事術などが主なテーマで著書累計100冊。連載はWebと雑誌を合わせて24本。テレビ・ラジオの出演も数多い。また、執筆者になる人材を育てる「戸田覚塾」も運営。最新情報はブログにて。http://www.toda-j.com/weblog/

この連載について

PC、携帯、家電、ウェブ、ITサービス、ITソリューションなど、デジモノ&IT全般にかかわる最新トレンドを、ビジネス作家・戸田覚が毎回鋭い視点でレポートしていくコラム。