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社説:北海道・洞爺湖サミット 日米連携の真価が問われる

 北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)開幕を前に行われた日米首脳会談で、福田康夫首相とブッシュ大統領は北朝鮮の核・拉致問題解決への緊密連携を確認した。立場の相違を埋められなかった地球温暖化問題と合わせ、サミット本番で日米連携の強度が試される。

 来年1月に任期が切れる大統領の訪日は今回が最後になるはずだ。7年半のブッシュ時代の日米関係を振り返れば、おおむね良好に推移したといっていいだろう。特に小泉政権下の5年間は首脳同士の個人的な信頼関係が両国関係に大きく影響した。

 米同時多発テロ以降、日本はインド洋やイラクへの自衛隊派遣などによって大統領の「テロとの戦い」を支え続けた。北朝鮮の核、ミサイルに対抗しよう、とミサイル防衛など軍事面での協力も進めた。

 しかし、最近はきしみも目立つようになってきた。大きな要因は、北朝鮮対応をめぐる立場の違いが明確になってきたことにある。

 北朝鮮の核に対する脅威認識で落差があるのではないか。北朝鮮の核兵器は日本にとって直接の脅威だが、米国が最も恐れているのはテロ組織などへの拡散ではないのか--。こうした懸念が日本側にはある。

 さらに、拉致問題の進展が見られない中で米国がテロ支援国家の指定を解除する手続きに入ったことが日本側の疑念を深めている。

 首相は会見で「過去数十年の日米同盟の深化」を誇らしげに語った。ならば、その真実性を具体的に示していく必要がある。

 大統領は朝鮮半島の非核化に努力すると語り、北朝鮮の核計画申告に対する厳格な検証の必要性を強調した。ウラン濃縮や核拡散、長距離ミサイルへの懸念も表明した。

 サミットが終われば、6カ国協議の首席代表会合が開かれ、北朝鮮の申告に対する検証方法などが協議される。漏れのない徹底した検証の仕組みがつくられるよう6カ国協議議長国の中国にも強く働きかけてもらいたい。

 拉致問題で大統領は「日本にとっていかにデリケートな問題であるかは十分承知している。日本を見捨てることはない」と述べた。

 だが、6カ国協議参加国の間では拉致問題への関心に温度差がある。核と拉致の並行決着を強調する首相は北朝鮮との交渉に全力をあげるのはもちろん、関係国の理解を得る努力を一層強めなければならない。

 地球温暖化問題は、「2050年までの温室効果ガス半減」で合意できるかどうかがサミットに参加するG8(主要8カ国)首脳に課された最低限の課題だ。首相は慎重姿勢を崩さないブッシュ大統領の説得に努めてもらいたい。

毎日新聞 2008年7月7日 東京朝刊

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