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2008年7月7日

 中国産ウナギの産地偽装事件は、偽装だけでなく禁止抗菌剤の使用や賞味期限の改ざんの疑いまで出てきた。一連の食品不正の手口を総ざらいしたようなあくどさである

そもそも、法にぽっかり穴があいている。産地証明なるものが、あいまいである。日本で育てた稚魚を台湾へ運んで大きくし、逆輸入しても「国産」でまかり通っている。「里帰り」ウナギと呼ばれるそうな

今度の事件で、この妙な「里帰り」も「輸入」ウナギと改めることを業界が決めた。そうでもしなければ、消費者のウナギ不信に歯止めはかかるまい

飛び切りのごちそうだったウナギが、食卓に出回るようになったのは、格安中国産のおかげである。近年は品質も向上し、国産養殖ものと大差ない、という話も聞く。食卓がにぎやかになったのは歓迎である。が、めったに味わえぬ美味を口にする興奮は逆に薄れてしまった。化粧上手な女性が増えて、平均的な美人が増えたみたいである

美人がそろって歩く街は楽しい。が、たまには飛び切りの美人とすれ違いたい。偽装まで交じる食卓は、果たしてぜいたくなのだろうか。


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