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【断 富岡幸一郎】領土返還で気概を示せ
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今回の洞爺湖サミットは、地球温暖化をはじめとした環境問題が主要テーマであり、それは国境を越えた文字通りグローバルな課題である。しかし、その背後には、主要国の資源ナショナリズムと国益のぶつかり合いがあり、「国境」を越えた問題にこそ、おのおのの「国益」をどう守り展開するのかという、強い国家意識が働いているのは言うまでもない。
サミットの全体会議では、北方領土の問題を出さないとの意向らしい福田首相であるが、7月8日のメドベージェフ新大統領との個別首脳会談では、これを議論するという。メドベージェフは、プーチン政権時代の基本路線を引き継いでいるので、北方四島返還を求める日本側の主張に安易に耳を傾けないだろうが、自国の領土の主張をはっきり言えないような指導者が、中国やインドなども加わる地球規模のテーマのリーダーシップを取れるはずもない。
ロシア自由民主党のジリノフスキー党首と会談した一水会代表の木村三浩(みつひろ)氏は、北方領土の交換条件として「24兆円」を支払えと言われたそうだが、“利権”がらみで中国や北朝鮮に血税を援助するくらいならば、いっそ北方領土を買い戻したらいい。サンフランシスコ講和条約で南樺太と千島列島を日本は放棄したが、ソ連は講和条約に署名していないのだから、日ソ中立条約違反で占領されたこれらの領土権も主張してみせるくらいの外交的パフォーマンスがほしい。それくらい政治家に胆力と気概がなければ、いくら友好を演じても、若き新大統領にナメられるだけではないのか。(文芸評論家)