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【社会】

予報士『全体像見えない』 天気図の描き方“温度差”

2008年7月5日 夕刊

 気象庁が毎日発表している天気図に、天気キャスターから「描き方がおかしい」との指摘が出ている。今月一日の天気図では、日本付近の高気圧が本州を挟んで二分割して描かれ「天気図のセオリーを無視している」と批判の的に。だが、同庁は「実際の観測データを生かした。おかしくはない」と反論。気象のプロ同士でも、一枚の天気図をめぐる温度差は大きいようだ。

 同庁作成の一日午後三時の天気図は、日本海と三陸沖に中心を持つ二つの高気圧が、細長い本州を東西から挟む形で描かれている。

 これが変だと指摘しているのは、天気キャスターで気象予報士の森田正光さん。「一〇一二ヘクトパスカルの等圧線二本が約千キロも並行しており、自然界ではあり得ない。本州内陸部に日中に温度が上がって気圧の低い部分があったのだろうが、これでは“木を見て森を見ず”だ。天気図は大まかな傾向をとらえて全体像を描くことが重要だ」という。

 韓国気象庁が作った同時刻の天気図は、高気圧をはっきりと分断せず、広く一体のものとして描いた。「韓国の方が明らかに優れている。中国の山東半島付近にも低気圧を描き、西から天気が崩れてくることが一目で分かる。日本の気象庁の図には、それもない。おかしな天気図は、この日に限らない」(森田さん)

 これに対し、気象庁予報課の高瀬邦夫課長は「東と西に高気圧があることを表現したという意味では、これでいい。東北や中部の(気圧が低い部分の)観測データがある以上、それを大切にした。この描き方も可だし、韓国気象庁の描き方も可だ」としている。

 気象庁はコンピューターによる「下書き」を職員が修正し天気図を完成させる。「(韓国気象庁のように)丸めて描くときもあるし、そうでないときもある。われわれも悩みながらやっている」という。

 

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