【外国人学校及び外国人子弟の教育を支援する議員の会】

中間とりまとめ・提言   平成20年6月11日

 

「馳が事務局長を務める与党の議員連盟・外国人学校及び外国人子弟の教育を支援する議員の会がまとめた中間とりまとめ・提言。
これをもって額賀財務大臣・渡海文部科学大臣に陳情」
 
1.外国人児童生徒の教育に関する基本方針の策定等

@ 義務教育段階での授業料無償・教科書無償給与の外枠の方針があるのみ。そもそも外国人子弟を学校に就学させようとするのか、させるとして日本の公立学校なのか、各種学校としての外国人学校なのか、日本語及び母語指導さらには学力の目標を、多様化する外国人子弟を踏まえてどう立てていくのか等の基本方針を策定すべきである。

 

A 学習指導要領の見直し

学習指導要領の「指導計画の作成等にあたって配慮すべき事項」に、外国人児童生徒への配慮を取り上げること。

 

2.外国人学校への支援

@ 「外国人学校支援法」(仮称)の制定

無認可校を含めた外国人学校への経済的・人的支援を包括的に定めた法律の制定を目指す(中長期的課題)。そのためにも公的支援を目的としつつ、憲法89条をクリアするための外国人学校への公的関与・介入の仕組みを設定しなければならない。

 

A 各種学校認可の審査基準の緩和等

都道府県が定める各種学校設置認可審査基準とは別個独立のまたはその特例措置としての、外国人学校を対象とした各種学校設置認可基準を策定する。その中で一般の認可審査基準をより緩和した内容とするよう、先進県の事例を紹介しながら文部科学省は通知を出して促進すること。併せて、認可申請の際の相談体制の充実が求められる。

 

B 寄附金税制優遇―特定公益増進法人(特増)・指定寄附金制度の適用

準学校法人立の各種学校であれば、一律、特定公益増進法人として認められること。さらには指定寄附金制度も利用出来るようにすること。なお、高度な政治判断により国策上これを猶予する例外的措置も留保される。

 

C 無認可校への廃校等の無償貸与に係わる国庫納付金の免除

無償貸与申し入れ段階では無認可校であっても、一定の期間以内に、廃校等の無償貸与を前提とした上で準学校法人立の各種学校の認可がおりるのならば、無認可校でも無償貸与を認め国庫納付金の免除を行う。

 

D 外国人学校の実態把握の徹底

無認可校の実態について、現行調査をより深掘りして、どこが認可に際してネックになっているか等の調査を行うべきである。

 

E 外国人学校への通学定期割引の適用の拡大

本国政府が認める在日外国人学校については、仮に無認可校であっても通学定期割引を適用するよう、事業者も含めた関係機関への働きかけを強化すべきである。

 

F 外国人学校の母国政府からの支援要請

母国政府から外国人学校に対して、教員の派遣や教科書等の無償給与が求められるが、未だ教員の派遣はなされていない等、南米系政府との交渉は不十分であり、政府としてもより一層の支援要請をすべきである。

 

3.公立学校における外国人児童生徒への教育の充実

@ 外国人子弟の不就学等に関する全国調査の実施及び就学実態を学校教育調査項目に入れること

来年度法制度化予定の新たな在留管理システム等がワークする間のタイムラグを埋めるために、文科省は外国人子弟の不就学実態調査を、その調査対象を拡大して外国人集住都市全般に調査が及ぶようにすべきであり、その際進学状況も併せて調査すべきである。

 

A 外国人児童生徒の受入促進事業の予算拡充

文科省の「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」をモデル事業的なものから、全国展開事業にする。特に、拠点となる「センター校」の全国配置や「母語の話せる外国人児童生徒支援員」は就学支援・初期指導支援・学習支援等の幅広い活躍が期待され、交付税措置も念頭においた全国配置をすべきである。

 

B 学校内日本語指導の指導体制の整備・充実

・日本語指導を行う教員の加配は、自治体申請分全員の加配ができるようにすべきである。

・日本語指導について初期指導から教科学習につながる段階を支援する「J

SL(第二言語としての日本語)カリキュラム実践支援事業」の拡充が求められる。

・教員等への日本語指導法の講習を一層充実させて、教員の指導力の向上に努め、併せて教員のための日本語指導等の体系的ガイドラインの策定もすべきである。

・JICAボランティア経験者の教員・自治体職員特別採用制度の導入をさらに促進させて、彼らの経験を活用すべきである。

  ・学校で使用可能な日本語力の測定する試験を開発して、日本語習得を客観的に把握して、日本語指導充実に活かすべきである。

 

C 日本の学校への進学問題の克服

・中学進学について。日本の小学校を卒業すれば中学校への進学ができるので、小学校の受入態勢を整備するとともに、積極的な入学支援を教育委員会のバイリンガルの就学相談員等が行いつつ、中学校への進学が円滑に進むよう弾力的運用を心がけるべきである。なお、外国人学校に就学する日本国籍をもつ子どもの中卒認定試験の受験についても特段の配慮が望まれる。

・高校進学について。現在高校入試において、22の都道府県等が特別枠を設定し、35の都道府県が試験教科の軽減、試験時間の延長を措置しているが、文科省としてもこの取り組みが拡充されるよう自治体に積極的に働きかけるべきである。

 

D 多文化共生教育の必要性

文科省が行っている「国際教育推進プラン」等をさらに推進させ、日本人児童生徒が、外国人児童生徒の長所や特性を認め、異文化を理解し共に生きていこうとする態度を育てること。併せて、外国人学校がスポーツ大会(特に地方大会)に参加できるようにし、またその参加を呼びかけるべきである。

 

E 外国人学校と教育委員会、公立学校等との連携の促進

各種施策の実効性を高めるために、3者の連携が一層図られる工夫が求められる。

 

4.日本語教育の充実

@ 「世界の言語の中の日本語」の観点から日本語教育の質の向上と主務官庁の特定

日本語教育の指導者・専門教員の養成、実践的なカリキュラム作成を国の責務とし、各省が共管したりバラバラで行う日本語教育事業を改善して、文科省がより主体性をもって質の向上に努めるべきである。

 

A「生活者としての外国人のための日本語教育事業」の予算拡充

子どもを含む「生活者としての外国人」を対象に、日系人を活用した日本語教室、日本語能力を有する外国人や退職教員を対象とした指導者養成、ボランティアの長期研修等を行う当事業の予算拡充を図るべきである。

 

5.その他

@ 経済界と協力しての国等の基金創設

長野県の財団が「サンタ・プロジェクト」という基金を創設して、外国人子弟へのさまざまな教育支援を実施。この政府版の基金を経済界の資金協力を得ながら設立すべきであり、関係省庁大臣による経済界への働きかけが求められる。なお自治体レベルでの基金創設も同様に推奨される。

 

A 地方交付税措置の拡充

在住外国人対策経費に対する地方交付税措置を、教育的配慮も行ったうえでその拡充がなされるべきである。

 

B 在留更新等におけるインセンティブ

日本語能力の取得や子どもの就学実施に対して、在留期間更新等においてインセンティブを付与し、そのガイドライン化を図るべきである。

 


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