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「つぶれない病院」提言

2008年07月05日

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 病院の経営研究に取り組む  西田 在賢さん(54)

 医師不足などによる病院経営の悪化が全国各地で深刻化する、ずっと以前からこの問題を見つめてきた。県立大大学院経営情報学研究科の教授を務める傍ら、約160の医師や企業などが参加する経営研究会を立ち上げ、「つぶれない病院」のあり方を提言している。

 医療分野に立ち入ったのは偶然だった。昭和50年代、大学院で学んだ情報工学の一つに米国の病院情報システムがあった。都内の病院で導入を試みたがうまくいかず、逆に大きな疑問が残った。「日本には病院の経営概念がない。それなのになぜやっていけるのだろう」

 その後、電子カルテのベンチャー企業を起こし、病院経営の実態を調べていく中で、疑問の答えは日本独特の国民皆保険制度にあると分かった。「赤字になると厚生省が診療報酬をあげているだけ」。しかし、経済成長が鈍った今、その仕組みが行き詰まっている。

 一方で、「皆保険制度と病院があるからこそ、日本では職を失っても医者にかかれる安心がある」。制度がない米国に滞在した際、経済悪化が犯罪急増に直結する怖さを肌で感じた。

 医療と経営の両面を見る研究者は、日本ではまだ少ない。それでも、6月に新たに始めた「医療経営人材養成講座」には、県職員や自治体病院の関係者が多く参加している。「やる気のある静岡独自の医療経営が進められる」と期待を抱く。
(阪田隼人)

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