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企画特集

【地域医療はいま】

東海初 院内助産所

2008年07月03日

写真

《名古屋第一赤十字病院》

●医師と助産師分業 2011年開設

 産婦人科医不足対策として注目されている院内助産所は、病院内で助産師が正常分娩に対応することによって、リスクが高い分娩を担当する医師と役割分担するための取り組みだ。名古屋第一赤十字病院(名古屋市中村区)は2011年、東海地方では初となる院内助産所を開設する。「自然なお産」と「安全なお産」の両立が実現可能になるという。(岡崎明子)

 同病院は医師14人、助産師58人で年間約1100件のお産を扱う。愛知県で唯一の総合周産期母子医療センターに指定されており、出産リスクの高い妊婦や新生児の治療を担うことが求められる。しかし、正常分娩が約7割を占め、ハイリスク分娩への対応に影響が出ているという。
 11年1月に完成する院内助産所「バース・センター」では、約30人の助産師が年間約1千件の正常分娩を扱う計画。3人の産婦人科医、1人の新生児科医も詰める。約400件のハイリスク分娩は総合周産期母子医療センターの医師が診る。バース・センターの20床はすべて個室。妊婦の負担を少なくするため、陣痛、分娩、回復が一部屋でできる「LDR型」を採る。
 助産師が対応する正常分娩の場合、自然に近い形でお産に臨める。院内助産所でのお産なら、急変してもすぐに病院内の医師が対応できる。実際、リスクが低いとみられていた分娩の約1割は、帝王切開や陣痛促進剤の投与など、何らかの医師の介入が必要になるという。
 厚生労働省は産婦人科医不足対策で院内助産所開設を後押ししているが、全国で10施設程度にとどまる。
 年間約2千件のお産を扱う東京都の葛飾赤十字産院では、前院長進純郎さんが00年、全国に先駆け院内助産所を設置した。しかし、「助産師は正常なお産ばかり扱い、異常になると医師に押しつける」と産婦人科医の理解が得られず、すべての異常分娩を進さんが診る事態に。進さんは責任を取り06年に退職。院内助産所は無くなった。
 岩手県で母性コンサルタントとして活動する進さんは「医師はどうしてもお産に介入したくなる。正常なお産は助産師に任せ、医師は必要な時に手を出すことにしたが、理解してもらえなかった。院内助産所の成功には医師の理解が必要」と指摘する。
 名古屋第一赤十字病院の石川薫・総合周産期母子医療センター長は「バース・センターの医師は、助産師を見守りつつ、異常なお産に移行する可能性のある1割を見抜く目が求められる。自然なお産を目指す助産師の視点を持った医師を育てたい」と話す。
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