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企画特集

【地域医療はいま】

脳卒中治療IT連携

2008年06月30日

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●事前にリハビリ計画 再発にも対応

 脳卒中の患者は日本で約140万人に上り、65歳以上の人の寝たきりの原因で最も多い。早期の治療やリハビリでまひが軽くなる可能性があり、地域の医療機関の連携が必要とされる分野の一つだ。愛知県では、ITを活用し、発病直後の患者を診る急性期病院から回復期リハビリ病院、在宅へと滑らかに移行できる全国初のネットワークづくりの検証が大詰めを迎えた。(岡崎明子)

 昨年10月、名古屋市近郊の男性会社員(56)が夕食後に頭痛で倒れた。すぐに名古屋大付属病院脳神経外科に搬送され、脳出血と診断されて緊急開頭手術を受けた。直後に主治医の水野正明准教授は、男性の治療の経過と見通しを記した「地域連携パス」を作り、インターネットを通じて連携病院に情報を流した。
 男性は左半身がまひし、トイレや歩行は介助がないと難しかったが、約1カ月後に転院できる状態になった。水野さんがさらに詳しい情報を連携病院に提供すると、男性の自宅近くのリハビリ病院が受け入れ可能と手を挙げた。
 すぐに転院し、3カ月後にはつえで歩けるまで回復し退院した。かかりつけ医もリハビリ中から男性の地域連携パスに目を通しており、経過を理解したうえで、今は在宅でのリハビリを指導している。
 この事業は経済産業省の委託を受けた「東海ネット医療フォーラム・NPO」(名古屋市)が日本脳卒中学会などと共同で進めている。同NPOには医師や技術者ら約120人が参加。06〜08年度にシステムを作り、検証する。
 愛知県では年間約2万人が脳卒中を発症する。急性期病院が約60施設、リハビリ病院が約40施設ある。電話やファクスで患者の情報をやりとりする従来の方法では、情報は急性期病院からリハビリ病院への一方通行で、転院先を探すのにも時間がかかった。
 検証中のシステムには計28施設が参加。各施設は光ファイバーで結ばれ、患者の情報をいつでもパソコン画面上に引き出せる。食事や排泄を一人でできるかなど、日常生活動作能力(ADL)を共通の指標に、地域連携パスに基づいて治療計画が立てられる。
 IT化したことで、例えば、急性期病院に入院中の患者の情報をリハビリ病院の医師が見ることができ、あらかじめ治療計画を練ることができる。急性期病院は転院していった患者の容体にも目が届き、再発時にスムーズに対応できる。患者も自己評価するので、リハビリに目標を持ちやすい。毎月ADLの評価を続け、データベース化する。
 愛知での検証は9月まで続く。

    ◇
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