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暴動の責任「幹部が相次いで免職」中国、五輪目前でピリピリ (1/2ページ)
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【北京=野口東秀】中国・貴州省甕安(おうあん)県で起きた大暴動をめぐり、地元政府幹部が相次いで免職処分となった。この早期対応の背景には、1カ月後に北京五輪を控え、民衆の感情に一応の理解を示すことで各地への飛び火を防ごうという「社会の安定を最優先する胡錦濤指導部の考え」(中国共産党関係者)がある。一方で、公安省(警察庁に相当)は暴動や抗議行動への危機感を示し、五輪終了まで地方からの陳情者をできるだけ減らすよう全国に指示した。しかし、いずれも短期的な処方で、社会矛盾を背景とした民衆の不満を根本的に解消させるには限界がありそうだ。
暴動をめぐり貴州省政府は4日、同県トップの王勤党委書記とナンバー2の王海平県長を解任した。公安局長ら2人も解任されている。「民衆の利益を侵す状況が起きた」(石宗源・同省党委書記)とする一方、処分を決めた省級会議では、「暴力組織の犯罪を軽んじた幹部や公安当局者がいた」と地元政府と公安当局が厳しく批判されており、解任は“けじめ”であると同時に、各地方政府への“見せしめ”でもある。
インターネットに地元政府を「黒社会」と非難する書き込みがあふれていることも背景にある。関係筋によると、胡錦濤国家主席は(1)事態拡大の防止(2)適切な処理(3)情報公開−を指示した。指示を受け当局は事態を収束させたが、暴動の原因となった「少女は自殺した」という地元当局の説明に民衆は納得していない。
「なぜ少女は突然、川に飛び込んだのか」「少女を助けようとした男らがなぜ賠償金を払うのか」「不自然な点が多い」という意見がネットで飛び交っており、当局への不信や不満はより鬱積(うつせき)している。