次期衆院選での民主党と社民、国民新両党の選挙協力が一部地域で難航している。選挙戦略として「野党共闘」を重視する民主党の小沢一郎代表は「最後まで協力態勢を築くため努力する」と調整に全力を挙げる考えだが、現時点では沖縄3区など十を超える選挙区で候補者競合の可能性があり、打開のめどは立っていない。
「両方とも白紙に戻そうじゃないか」。小沢氏は先月二十六日、那覇市で開いた連合沖縄幹部との懇親会の席上、社民党との間で協議が滞っている沖縄3区の候補者調整をめぐり、ひそかに提案した。
沖縄3区では民主党が元沖縄市議の新人を、社民党は元県議の新人の擁立を決定。小沢氏は「統一候補で戦えば必ず勝てる」と一から検討し直そうと考えたようだが、民主党選対幹部は「地元は双方とも譲らないだろう」と頭を抱える。
社民党の阿部知子政審会長の地元、神奈川12区でも調整が難航している。前衆院議員を擁立し「国替え」を要請する民主党側に対し、阿部氏は猛反発。秋田2区や佐賀3区、熊本5区のように民主党が社民党候補の推薦を決めた選挙区がある一方で、神奈川12区では歩み寄る気配がみえない。
国民新党との間でも青森4区や東京21区、福岡4区で候補者が競合。長野4区では国民新党の候補者が出馬予定だが、民主党も独自候補を選考中だ。
新党結成の可能性に言及している無所属の平沼赳夫元経済産業相については、選挙を通じた関係構築が課題。民主党は衆院選後の連携を視野に、平沼氏の地元である岡山3区に候補者を立てていないが、地元では主戦論も根強い。先月五日、岡山市を訪れた小沢氏は、連合幹部から対応を尋ねられ「聞かないでくれ」「言えない」と繰り返すだけだったという。
民主党は、八月下旬にも召集される臨時国会までに選挙態勢を整え、早期の衆院解散・総選挙に追い込みたい考え。小沢氏は「野党が協力すれば勝てるところはいっぱいある。間違いなく過半数を取れる」と意気込む一方、調整難航については「それぞれの地域や政党の立場もあり仕方ない」と漏らしている。
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