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【静岡】

ハンセン病・国立駿河療養所 入所者減でのしかかる統廃合の不安

2008年7月6日

地域一体で存続の道探る

将来的な統廃合が懸念される国立駿河療養所=6月30日、御殿場市神山で

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 東海・北陸地方で唯一の国立ハンセン病療養所「国立駿河療養所」(御殿場市神山)。入所者の高齢化はいや応なく進んでおり、年々その数は減少している。療養所の統廃合が懸念される一方、偏見や差別を経験した入所者は住み慣れた地での生活を望んでおり、今後のあり方が問われている。 (沼津支局・榊原崇仁)

 駿河療養所は1945(昭和20)年6月に開所した。御殿場市南端の山間部にあり、最寄りの集落から専用道路を2キロほど進むとようやくたどり着く。

 37ヘクタールの広大な敷地内には治療棟や住宅、公園、食料品の移動販売などがあり、入所者たちはここで暮らしながら後遺症や生活習慣病の診療を受ける。

 かつて不治の感染症と誤解されたハンセン病。国は患者の隔離政策を取り、人里離れた駿河療養所にも患者が強制的に収容された。

 偏見、差別、人権の蹂躙(じゅうりん)−。入所者は家族や友人から引き離され、苦悩と戦いながら療養所での生活を強いられてきた。

 その入所者も高齢化が進み、ピーク時(56年)の471人から現在は111人に。平均年齢も78・8歳に達しており、さらなる減少は避けられない状況にある。

 懸念されるのは療養所の統廃合。療養所は過酷な経験を強いたが「入所者にとっては住み慣れた場所」と入所者自治会の小鹿美佐雄会長(66)。「最後の一人までここで面倒をみてもらいたい」と切実な願いを訴える。

国立駿河療養所を見学する検討委の委員ら=6月30日、御殿場市神山で

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 地元の御殿場市は今年5月、入所者の意向をくみながら療養所の今後を模索するため、入所者代表をはじめ療養所や県、市の職員、人権擁護委員ら12人で構成する将来構想検討委員会を組織した。

 初回の会合で長田開蔵市長は「入所者には統廃合は耐えられないこと。しかし50人を割れば現実味を帯びる。国の施設であっても、地元として意見をまとめ、国に強く要望することが必要だ」と呼び掛けた。

 追い風もある。6月11日に療養所の利用を地域住民にも認める「ハンセン病問題基本法」が成立。地元向けの病院や公園といった機能を加えることが可能になり、地域とともに療養所の存続を訴える道も開けた。

 御殿場市では将来構想の方向性や策定時期はまだ定まっていないが「入所者の方々が何十年と積み重ねてきた思いを、できる限り尊重したい」と検討委事務局の市健康推進課。同様の療養所がある群馬県草津町や東京都東村山市などでは将来構想の具体的協議が進んでおり、検討委は今後、視察に訪れる予定だ。

 

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