高額商品勧める霊感商法
先日、街を歩いていると、「手相を見せてください」と声を掛けられました。喫茶店に連れて行かれ「先祖の霊が苦しんでいる。このままほっておくと、あなたは大病を患うことになる」など長々と話を聞かされました。怖くなって「先祖の供養のために」と勧められた壺(つぼ)を買ってしまいました。すでに代金の五百万円を支払ってしまったのですが、お金を返してもらうことはできるでしょうか。
このように、相手が抱えている悩みや不安を先祖の因縁や悪霊のたたりで生じているなどと言って、高額商品の購入を強く勧める方法を「霊感商法」と呼びます。悪質商法の一つで、印鑑や宝石、つぼ、絵画などの商品が扱われます。
信教の自由が認められている日本では、勧誘方法が社会的に見て問題なければ、その勧誘行為は正当な宗教的活動の範囲内にあるといえます。しかし、勧誘の目的がもっぱら特定団体に不当な利益をもたらすことにある場合や、相手の不安をあおり困惑させるような方法の場合、その勧誘行為は民法上の不法行為に当たります。この場合、当該団体や勧誘者に損害賠償を請求し、購入代金のいくらかを返還してもらうことが可能です。
また、勧誘の目的や態様、結果によっては強迫に当たる場合もあり、この場合は売買契約を取り消すことができます。お金を払わせることを目的に相手をだましたといえる場合は詐欺に当たり、同様に契約の取り消しが可能です。
ほかにも、消費者契約法による取り消しや、特定商取引法で定められているクーリングオフなどの制度を利用できる可能性もあります。態様が悪質な勧誘行為は、刑法上の恐喝罪や詐欺罪に当たる場合もあります。
霊感商法では、「不幸になるから、○○を買ったことを他言しないように」などと口止めされるケースがあります。一人で抱え込まず、早めに近くの消費者センターや弁護士、警察に相談するようにしてください。
(熱田雅夫弁護士)
島根県弁護士会 電話0852・21・3225 (対応時間は平日9−12時、13−17時)
('08/06/30 無断転載禁止)
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