年金記録漏れの訂正手続きによって増える年金受給額が、今年5月に訂正手続きをした人の分だけで、年間36億円超に上ることが、社会保険庁の試算でわかった。
最終確定額は変わる可能性があるが、年金記録訂正に伴う年金受給額増の試算は、今回が初めてだ。
社保庁によると、5月の1か月間に記録の訂正手続きをした年金受給者は約6万7000人。訂正後の記録に基づく受給額を試算した結果、総額は年間で約36億2000万円となり、1人当たり約5万4000円ずつ増える計算だった。
2007年12月に「ねんきん特別便」の発送を開始して以降、今年5月末までに、特別便を受けて記録訂正手続きを行った受給者は約70万人いる。5月分の試算に基づく1人当たりの受給額増を単純にあてはめると、年間約378億円の受給額増が生じる計算だ。
社保庁は当初、記録訂正に伴い増える受給額の試算を行っておらず、民主党などが対応を求めていた。今年5月から全国の社会保険事務所で、該当者が分からずに記録漏れになっていた年金記録の持ち主が特定された場合、持ち主本人に、新たな年金受給額の「見込み額」を計算し直して伝える事務を開始、受給額増の推計が可能になった。
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