県内ニュース一番目に「地方分権の推進」 県が09年度の重要施策原案
2008年07月05日 22:32
県は、政府予算編成に向け、国に政策展開を求める2009年度の「やまがたの重要施策」の原案をまとめた。08年度に続き、地方分権の推進を一番目に掲げ、有機ELなどの先導的研究成果の製品化支援、「最上川の文化的景観」の世界遺産暫定リスト登載などを強く打ち出した。開会中の県議会6月定例会の議論などを経て今月中旬に決定し、斎藤弘知事らが16、18の両日、関係省庁への要望活動を行う。原案では、▽地方が主役となる確かな自律分権型の地域社会づくり▽安全・安心に裏打ちされた一人ひとりの力が発揮・結集される地域社会づくり▽地域の資源を活(い)かし持続的に発展する産業経済の基盤づくり▽県民協創で進める人と自然の絆(きずな)が育(はぐく)む地域社会づくり▽県民の生活や産業を支える基盤づくり−の5つの柱を設けた。 地方分権は、現在の地方自治体が、立法権や財政権を備えた「地方政府となることが不可欠」と踏み込んだ。権限移譲、国の出先機関の見直しを求め、その絶対条件として財源措置と人材・技術の地方への移転を示した。 先導的研究に関しては、有機エレクトロニクスバレー構想に加え、慶応大先端生命科学研究所(鶴岡市)のプロジェクトを提示し、製品化や市場開拓に向けた支援拡充の必要性をアピール。産業面では、企業立地への支援拡充、飼料用米や転作作物のそばの生産振興も盛り込んだ。 「最上川の文化的景観」の世界遺産登録は、個人、団体の多種多様な連携を指す「県民協創」の一番目に挙げた。「未来に伝えていくべき貴重な文化遺産であり、アジアではいまだ世界遺産登録されていない分野」と強調。「食育」を効果的に転換していくための支援拡充、地球温暖化対策の強化も含めた。 さらに、医師不足の早期解消は、「安心・安全」の重点に位置付けた。都道府県の要請に対応した緊急時の医師派遣システムの弾力的運用、産科や小児科、救急医療を担う勤務医の処遇改善を求める。 ほかに、過疎地域自立促進特別措置法の2010年3月末の失効を見据え、新過疎法の制定を要請。高速道路や各鉄道の高速化、酒田港の物流機能強化など交通ネットワーク整備も引き続き訴える。
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