これだけ深刻な複合危機に直面した主要国首脳会議(サミット)は初めてではなかろうか。7日からの洞爺湖サミットのことである。
世界中が原油、食料の価格高騰、その結果としての消費物資の値上がりに悲鳴を上げ、個人や企業、そして、一部では国すらも行き詰まる可能性に直面しているのだ。
特に国家の場合は問題である。「破綻国家」はテロの温床となり、世界の安全保障を左右しかねないからだ。原油、食料の問題は同時に政治、外交の問題なのである。金融市場もなお不安定で、物価高とともに終わりが見えない。地球温暖化問題への対応は待ったなしである。
洞爺湖に集う首脳たちのやるべきことは明らかである。危機意識を深く共有し、そのことによって、行動をより積極化させることである。
もちろん、1回のサミットで、すべての課題に対応できるわけではない。サミットに幻想を持つべきではなかろう。とはいえ主要国の首脳による合意はやはり重いのだ。それは世界的な影響を持つはずである。
各国首脳には求めたい。まずはインフレ抑制と地球温暖化防止について強力なメッセージを発することである。環境については「2050年までの温暖化ガス半減」で合意するだけでは不十分だ。それに至る道筋、中期目標も明らかにしなければならない。食料価格高騰には緊急な対応が求められる。早急に具体策を提示すべきであろう。緊急支援はもちろん、食糧増産への援助も重要だ。
今回のサミットに関して特筆すべきは、参加国が最多だということである。アフリカ首脳との会合、主要経済国との会合等が予定されており、主要8カ国を含め計22カ国の首脳が洞爺湖を訪れることになる。サルコジ仏大統領が中国、インドなど5カ国をサミット・メンバーに加えG13とすべきだとの議論を展開しているが、すでにG13の会合はサミットの一部に組み込まれ、さらに広く、排出ガスの80%を占める主要経済国会合(MEM)も存在感を増している。
歴史的好機である。これだけ多くの首脳が世界の経済運営と安全保障についてある程度の共通認識を持ち、そのことによって、大きな一歩を記せるかもしれないからだ。議長国の日本にとっても存在感を印象付ける大きなチャンスである。
各国首脳は歴史的役割に思いを巡らせるべきである。今行動しなければ、次の世代は我々の不作為を非難するであろう。首脳たちは未来を見据えた決断をすべきときである。