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【東京】

<東京カフェ> 消えたロシア娘たち

2008年7月1日

 「CCCP」とはロシア語で「ソ連」を表す。六本木で最近、そんな四文字の店をみつけた。

 いわゆる「ロシアン・クラブ」だが、なぜ「ソ連」なのか。その謎は、店内に入ってすぐに解けた。ロシア人はほとんどおらず、ウクライナやベラルーシなど旧ソ連諸国の女性ばかりだ。

 隣に座ったウクライナ娘の話では「ロシア人はモスクワでの方が稼げるから来なくなった」。

 今年三月、筆者は二度目のモスクワ支局勤務から帰任した。ロシアが経済危機に陥っていた一九九〇年代の赴任中は、多くの女性から「日本で働きたい」と相談を受けたものだ。原油バブルに沸く現在、そんな声は確かに聞かなくなった。

 店の中で、唯一のロシア人をみつけた。出稼ぎではなく、九〇年代に日本人男性と結婚し、東京に住んでいる。なぜ、ここで働いていると問うと、こうため息をついた。

 「だんなの給料が減って苦しいからよ。ロシアの方が羽振りが良くなるなんて…」 (稲熊均)

 

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