海の日(二十一日)がある七月は「海の月間」である。海への理解と認識を深める趣旨で設けられている。
資源小国の日本も、海に目を転じれば資源大国といえる。海底から銅やコバルトを含む熱水が噴き出る海底熱水鉱床が周辺に幾つもある。今年の海洋白書(海洋政策研究財団刊)は、同種鉱床の潜在資源量で日本は世界一と紹介する。
コバルトリッチクラストという鉱床もある。コバルトのほか白金やニッケルを含んだ海底の酸化物の山だ。こちらは世界二位の資源量という。メタンと水がシャーベット状になったメタンハイドレードもエネルギー源として期待できる。
従来、開発はコスト的に引き合わなかった。しかし、新興国の台頭などで資源価格が急上昇し、開発に見込みが立ちつつある。現に南太平洋では海外企業による海底熱水鉱床の鉱区取得が伝えられている。
日本もそろそろ、眠れるお宝の開発に本気で乗り出すべきではないか。長年培ってきた海洋探査の技術を軸に産業界が持つ高い技術力を結集すれば、事業化で世界に先んじてもおかしくない。
インフレと不況が併存するスタグフレーションが懸念されている。実際に海底の鉱物資源などを手にできるのは少し先でも、資源大国への挑戦が始まるだけで元気が出ようというものだ。