旧日本軍による中国・重慶大爆撃(1938~43年)の遺族と被害者の女性2人が5日、都内で体験を証言した。日本政府に損害賠償と謝罪を求める裁判の原告で、意見陳述などのために来日。両親を亡くしたトウ華均さん(77)は「日本の軍国主義が家族を破壊し、戦後も苦しめた。償ってほしい」と訴えた。約70人が聴き入った。
トウさんの父母は39年5月、重慶での空爆で営んでいた店の建物の下敷きになり死亡。母は妊娠していた。弟とともに、おじとおばに引き取られたが貧困に苦しんだ。「おじらに殴られるなどいじめられた」と語ると思わず泣き出した。もう一人の付先群さん(75)は41年7月、四川省成都市で空爆に遭い、右半身に重傷を負い、5年間歩けなかった。右耳が不自由になった。
支援団体によると、重慶周辺の無差別爆撃で計2万3600人が死亡。06年3月に重慶の遺族らを中心に40人が第1次提訴し、今月4日に22人が第2次提訴。約100人が第3次提訴を準備しているという。【花岡洋二】
毎日新聞 2008年7月5日 20時31分