串本町で05年、中学1年の真田優一君(当時13歳)が乗った自転車と乗用車が衝突、優一君が死亡した事故で、母寿美さん(40)=同町串本=が車を運転していた男性と収容された国保串本病院に過失があったとして、男性と病院を運営する町に約8000万円の損害賠償を求めた訴訟は15日、町が7000万円を支払うことで、町側との和解が成立することになった。寿美さんは「認めてもらえてほっとした。こんな事故が二度と起きないようにしてほしい」と話した。
06年9月、和歌山地裁に提訴。訴状によると、優一君は05年9月19日午後4時半ごろ、町道交差点で自転車に乗っていて、乗用車と衝突。同病院に運ばれたが20日午後8時過ぎに出血性ショックで死亡した。医師が入院後の経過観察を怠り、違う血液型の血液を輸血するなど適切な治療を施さなかったと訴えていた。
阪本繁病院長は「当時の担当医がひ臓の損傷を見落とし、適切な治療ができなかった。病院側の過失によって尊い命が失われ、謝罪を申し上げます」と話した。町は10日の臨時町議会に、和解金の補正予算案を提案する。
一方、男性には、道幅が狭く見通しの悪い交差点にもかかわらず、時速約50キロで走行するなど注意義務を怠ったとして損害賠償を求めているが、争う姿勢を示しているという。【山本芳博】
毎日新聞 2008年7月5日 地方版