四川大地震で倒壊した家屋から36日ぶりに救出された「奇跡の豚」。成都市の博物館に引き取られ、一般に公開されている。持ち主から相場の3倍の3008元(末尾の8は幸福を意味するという)で購入し、さらに家屋の修復代として1万元を寄付したという。博物館によると食欲も旺盛で、死ぬまで飼い続けるという=24日午後、岩崎央撮影
【成都=小林哲】中国・四川大地震で倒壊した農家から、地震から36日後に1頭の豚が奇跡的に救助された。150キロあった体重は50キロまで減ったものの、雨水などで命をつないだらしい。住民から「豚の英雄だ」「引き取って飼いたい」といった声が出ている。
現地紙の成都商報によると、成都の北約50キロの彭州市竜門山地区で17日午後、倒壊家屋を消毒しようとしていた兵士が、がれきの下の約50センチのすき間に豚が閉じ込められているのを見つけた。
栄養失調で足元がふらついていたが、飼い主の農夫らがエサや水を与えると喜んで食べた。体脂肪をたっぷり蓄えていたことや、狭い空間でじっとして体力の消耗が防げたこと、地震後にたびたび降った雨で飲料水に困らなかったことなどが幸いしたらしい。
飼い主の農夫は「感動して涙が出た」と話しているものの、自宅も倒壊した状態で飼い続けるのは難しいため、処分を考えると話していた。住民からは「生命の奇跡だ」「代わりに飼いたい」といった声が出ていたが、最終的には成都市内の博物館に引き取られた。