新しい街に引っ越しをしたとき、家庭ごみの出し方が以前の街と異なり、戸惑ったことはありませんか?
ある自治体はレジ袋でもごみを出せるけれど、別の自治体は指定の袋でなければ収集してくれません。またリサイクルマーク付きのプラスチック製容器を分別収集する自治体がある一方で、可燃ごみとして燃やしたり、不燃ごみ扱いで埋め立てる自治体もあります。
家庭ごみの処分は市町村の役割なので、収集も分別も自治体ごとに千差万別です。
考えてみると、家庭ごみほど住民の暮らしに直結し、おまけに自治体独自に工夫できる行政課題は少ないと思います。自治や分権の試金石の一つです。
この観点から注目したいのが岡山市の家庭ごみ有料化です。二月に市議会に上程した条例案は六月も継続審査になり、慎重な審議が続いています。
同市によると、有料化の狙いはごみを減らすこと。さらに合併した旧四町の地区は既に有料のため、アンバランスを解消する意図もあるという話です。
ちなみに県内市町村の三分の二が有料化しているようです。一九九七年に県内の市で最初に導入した津山市では、ごみの量は約二割減少しています。
気がかりな点もあります。ガソリンなどが高騰する中で、一世帯平均で年間約六千円が見込まれるごみ袋の料金は、市民にとって小さな負担ではありません。
いずれにせよ、岡山市議会には市民の目線で議論を深め、誤りのない結論を出すことを期待しています。
(編集委員・中原一夫)