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[再び近づく栄光の日々]守備力が支えるプレミア勢の躍進
文:粕谷秀樹 写真:Maurizio Borsari Date:2008.4.15
 インテルがリバプールに、ミランはアーセナルの前に屈した。また、ローマもマンチェスターUに敗れている。セリエAの時代は終焉を迎えた。そしておそらく、バルセロナも準決勝で散るだろう。メッシのコンディション不良、プジョルの出場停止(第1戦)なども含め、今シーズンの彼らがマンチェスターUに勝利をおさめる確率はきわめて低い。

 近年のチャンピオンズリーグはプレミアリーグ勢が中心だ。テレビ放映権料で多くのクラブが潤い、数年前に比べると選手の獲得がたやすくなったため、戦力が飛躍的に向上したことが大きな要因だ。スペインのR・ソシエダからリバプールに移籍し、3シーズン目を迎えたシャビ・アロンソも次のように語っている。

「プレミアリーグは“エル・ドラド”(スペイン語で黄金郷)だ。金銭的にはベストな環境だからね。来シーズンも多くのスペイン人選手がイングランドのクラブに新天地を求めるのではないかな」

 この言葉を借りるまでもなく、リバプールはスペイン代表のF・トーレスが得点源で、GKレイナの正確なパントキックは攻撃の起点となっている。また、マンチェスターUはC・ロナウド(ポルトガル代表)という絶対的なエースを擁し、チェルシーもドイツ代表のバラック、コートジボワール代表のドログバ、ガーナ代表のエッシェンなど、実力派の外人部隊は必要不可欠な戦力だ。

金満体質ばかりに目を奪われるべきではない
スーパースターが集結した華やかさに注目が集まるプレミアシップだが、その強さの根底には守備力の高さが存在する。
(C)Maurizio Borsari
 ただし、準決勝に進出したマンチェスターU、チェルシー、リバプールが持つ本来の強みは、堅固な守備力ではないだろうか。

「彼らはイタリアのチーム以上に“イタリア的”だった」

 ローマのスパレッティ監督は、マンチェスターUの組織力に脱帽した。

「スペースを消す戦術に長けている。我々は何もできなかった」

 インテルのマンチーニ監督も、リバプールの堅陣に舌を巻いた。

 今シーズンのセリエAでスクデットを争う二強のボスが、プレミアリーグの守備力を高く評価している。実際、両チームとも0-3(2試合合計)で敗れているのだ。素直に認めるしかないのだろう。さらにミランもアーセナルに完封(2試合合計/0-2)されているのだから、どのような言いわけも通じはしない。

 とくにマンチェスターUは、準々決勝までの10試合で総失点はわずかに6。平均すると1点にも満たず、1-0の完封勝ちが4試合も含まれている。ファーディナンドを軸とする守備陣はより高く評価されてしかるべきだ。ここに、7ゴールを挙げて得点ランキングの首位を走るC・ロナウド、戦術眼にすぐれたルーニー、テベスなどの攻撃陣を擁しているのだから、多くの識者が優勝候補筆頭に推すのは当然かもしれない。

 たしかにプレミアリーグは“金満”だ。正体不明の怪人物が、殺人や贈収賄に関与したと思われる男がオーナーを務めているクラブもある。オーナーに就任できる条件も他リーグに比較すると非常に甘く、大きなトラブルに発展する危険性も否定できない。

 しかし、今シーズンのチャンピオンズリーグに関していえば、プレミアリーグ勢の躍進は見逃せない事実である。レベルアップが指摘されるなか、実に3チームがベスト4に進出し、アーセナルもクジ運に恵まれていれば、たとえば準々決勝でバルセロナと対戦していたら、四強に名を連ねていたはずだ。

 76-77シーズンからリバプールが連覇、続く2シーズンはノッティンガムが優勝し、翌シーズンはリバプールが奪還、そして82-83シーズンはアストンビラと、当時のイングランド勢はチャンピオンズカップ(当時)を6連覇している。

 あの、栄光の日々が再び訪れるのか。それとも他国が巻き返すのか。いずれにせよ、プレミアリーグ勢こそが時代の趨勢であることに疑いの余地はない。

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