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グローバルパスポートCDMA対応のハイエンドWIN、「W63SA」開発秘話について、デザイン担当の北村和生、企画担当の田中宏幸、設計担当の鈴木淳に聞いてみました。
-W63SAのデザインコンセプトは「私立探偵」ということですが、このコンセプトを採用された経緯を教えてください。
北村: W63SAは、グローバルパスポートCDMA対応の携帯電話として、ビジネスマンをターゲットに、「大人の道具」としての価値を追求しようと、開発を始めました。
そこで、「大人の道具」としてのデザインを考えたときに、「私立探偵」が持つ、「ビジネスマン」よりも柔らかく、かっこいいイメージを表現することができれば、より幅広いユーザーの方に使っていただけると思い、デザインコンセプトにしました。
-デザインコンセプトを表現するにあたって、一番こだわられたポイントは何でしょうか?
北村: デザインコンセプトである「私立探偵」が使うような、シンプルながらも艶のある、大人の雰囲気を持った、上質で高機能、 耐久性のあるプロ機器を表現することにこだわりました。
プロ機器というのは、金属など本物の素材が使われていて、凝った作りになっています。
そういう本物の素材が持つ上質感を、携帯電話の本体や細部に盛り込むことで、「大人の道具」を演出できないかと考えました。
具体的には、キー周りにヘアラインを入れ、不連続蒸着仕上げにすることで、 金属感を出したり、センターキー、カーソルキーに、本物のアルミを採用したりしました。
-そのセンターキー、カーソルキーには、ダブルアルマイト加工を施したそうですが、どういった加工方法なのですか?
北村:アルミは削ったままだと錆びてしまうので、アルマイトでコーティングする必要があります。
今回施したダブルアルマイト加工は、 その加工をアルミを使っているセンターキー、カーソルキーに、色を変えて2回施しています。
インプレシブレッドであれば、まず赤色のアルマイトでコーティングし、シルバーにしたい部分を削り、最後に透明のアルマイトでコーティングすることで、2色にしているわけです。
-なるほど。また、グリティーブラックは、表面が独特の質感となっていますが、どのような方法で塗装したのですか?
北村:グリティーブラックは、昔のオーディオ機器のような独特の質感を目指し、開発当初から色々な塗装を試したのですが、開発当初は、なかなか理想の質感になりませんでした。
しかし、試行錯誤の結果、下地にビーズとアルミの粒子を入れて、その上からソフトフィールを敷くことで、理想の質感に仕上げることができました。
-そのほか、工夫された点や苦労された点があれば、教えてください。
北村:特に苦労したのは、キー周りの不連続蒸着仕上げです。
ヘアラインの上から不連続蒸着仕上げをしているので、上手く調整しないと、ヘアラインが蒸着で埋もれてしまうため、部品メーカーさんに何度もヘアラインの深さを調節していただき、試行錯誤を繰り返しました。
-CDMA 1X WINの携帯電話にグローバルパスポート機能を搭載するのは、京セラとして初めての試みとなりますが、どういった点に一番苦労されましたか?
鈴木:W63SAは、マルチプレイウィンドウ機能に対応しています。
これは、複数の機能を同時に起動できる機能なのですが、海外で、複数の機能が同時に起動しているとき、さらに、他の処理が加わった場合でも、上手く動作するように調整することに苦労しました。
例えば、海外でEZwebを使いながら、マルチプレイウィンドウでEメールを送信するといった場合に、2種類の通信が同時に発生することになります。
海外という環境で、そのような2種類の通信を同時に行ったときに上手く動作するように、設計として試行錯誤を繰り返しました。
-なるほど。他に従来のグローバルパスポート対応の携帯電話と比較して、バージョンアップした機能を教えてください。
鈴木:PRL(ローミングエリア情報)は、海外に行く前に最新版をダウンロードしておく必要があるのですが、従来は、手動でPRLの更新を行う仕組みだったので、更新を忘れて、海外に行くということもあったかと思います。
ですが、W63SAでは、日本の通信エリア内にさえいれば、最新版のPRLに自動で更新されるように設定することが可能になり、PRLの更新を手軽に行えるようになりました。
また、Cメールについて、従来は、受信のみが可能だったのが、渡航先での送信も可能となり、Cメールのやり取りが、快適にできるようになりました。
さらに、デコレーションメールやラッピングメールも送受信が可能になっています。
※お買い上げ時には、あらかじめPRLを自動で取得・更新するよう設定されていますが、念のため、海外渡航時には、PRLを手動で更新・設定し、最新のエリア情報にしてから渡航先でお使いください。詳細については、取扱説明書のP.90をご覧ください。
-海外で使える機能のうち、おすすめの機能を教えてください。
国際エリア情報 電卓
鈴木:まず、国際エリア情報がおすすめです。
この機能を使うと、41の国と地域の通貨の単位や、主要言語、時差などの情報を簡単に確認できます。
また、現地でチップ率の計算や外貨の換算が、簡単にできる電卓機能もおすすめです。
-W63SAの流れるようなキーイルミネーションがとてもきれいですね。こちらもターゲットユーザーに合わせたと聞きました。詳しく教えてください。
田中:ターゲットユーザーである、上昇志向で仕事ができる30代のビジネスマンは、きっと車にもこだわりをもっているだろうと考え、高級車のパネル周辺のイルミネーションを参考にしました。
高級車のエンジンをかけたときに、順番にイルミネーションが点灯していく、その高級感をイルミキーで表現してみました。
-そのほかのおすすめの機能を教えてください。
田中:ステレオICレコーダーがおすすめです。
ステレオで録音することができるので、会議の内容などをきれいに録音できて、便利です。
あとおすすめなのが、PCドキュメントビューアーです。
例えば、移動中でパソコンを見ることができない場合でも、Microsoft® Word、Microsoft®
Excel、Microsoft® PowerPoint®、PDFなどのデータをW63SAで確認することができます。
しかも、2.8インチのワイドVGA IPS液晶の画面なので、文字などが非常に見やすくなっています。
-ありがとうございます。では最後にユーザーの皆さんに一言お願いします。
田中:W63SAは、グローバルパスポートCDMA対応というだけでなく、ハイエンドWIN携帯電話なので、海外によく行く方だけでなく、どなたでも、満足して使っていただける携帯電話になっています。
また、デザインもおしゃれで、男性だけでなく、女性にもご満足していただける携帯電話になっていますので、ぜひ、皆様に使っていただきたいと思います。