諏訪広域消防本部(山崎利明消防長)は3日、岡谷市湖畔公園沖の諏訪湖で水難救助訓練を行った。諏訪地方では初となるドクターヘリを使った患者の搬送訓練を実施。6消防署から約60人が出動し、初動態勢の確立や応援出動の連携を確認して、水難救助技術の向上を図った。
ドクターヘリは、医師や看護師が専用のヘリコプターで素早く患者の元に向かう救急医療システム。重篤な患者の初期治療をいち早く開始し、迅速な搬送と合わせて救命率を上げるために導入された。県内では佐久総合病院(佐久市)のみで運用されている。今回は、同院救急救命センターの医師、看護師、整備士、パイロットの4人からなるチームが参加した。
午前9時半ごろ、同公園の約200メートル沖で大型観光船と小型プレジャーボートが衝突。ボートが沈没したため4人が湖に転落し、うち2人は行方不明、観光船の5人も軽傷を負った―との想定で訓練を実施。通報を受けて出動した岡谷消防署は、大規模水難事故の恐れがあるとして同本部に応援を要請。同時にドクターヘリに出動要請を出した。
6消防署から救急車や救助工作車など13台、救助艇四艇が出動した。要救助者を水中などから救出し、負傷の程度で治療の優先順位を決めるトリアージを行ったころ、開始から約20分ほどでドクターヘリが到着。同院のチームは患者の状態を確認し、素早く機内に運び入れた。
山崎消防長は「(ドクターヘリは)小回りが利き、狭いところでも下ろせる。消防にとって心強い味方だと改めて確認できた」と語り、講評で「諏訪湖では多種多様の水上レジャーが行われており、大規模な事故も心配されるところ。訓練を続けて対処法を身に付けて」と呼び掛けた。
■諏訪地方で初 報道対応訓練も
今回は、諏訪地方で初めて報道対応訓練も行われた。事故などの際、これまでは現場で段階的に発表してきたが、その後に情報の修正が度々あったことを反省。事故発生の瞬間からより多くの正確な情報を本部に上げ、現場に駆け付けた報道関係者に一斉に説明する手法を取った。
対応に当たった岡谷消防署の北沢孝次郎署長は「非常に難しいと思った」と話し、より正確な情報収集、情報の整理などを課題に挙げた。その上で「これまでの対応は不備だったと反省している。消防全体の報道対応を良くしたい」と語った。