6月10日に亡くなった映画評論家の水野晴郎さんが本人役で出演し、遺作となった映画「ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発」の26日の公開を前に、河崎実監督(49)が3日、水野さんへの思いを語った。
「日本以外全部沈没」や「ヅラ刑事」など刺激的な作風で知られる奇才・河崎監督は、「シベリア超特急」シリーズの監督としても知られる水野さんと親交があったといい、「水野先生はおれのことを買ってくれていた。先生とおれは“バカ映画”の監督と思われてる。先生は『バカ映画、いいですね』と言ってくれてたからね。先生は映画が好きだったので、映画で何とか恩返しをしたいと思ってるんですよ」としんみりと語った。
「ギララの逆襲」は、東宝のゴジラ、大映のガメラ、日活のガッパに対抗して67年に松竹が唯一の製作、公開した特撮怪獣映画に登場する怪獣「ギララ」が、「北海道洞爺湖サミット」の会期中に、札幌に宇宙から飛来するという物語。水野さんは本人役でコメンテーターとして出演し、「いやぁギララってやっぱりすごいものですね」と名ぜりふのパロディーでコメントする。4月の撮影時には、20段ほどの階段を昇るのに10分かかるような体調だったが、「本当にいいものですね」という台本をアドリブで変える熱演だったという。河崎監督は「ガッパも(着ぐるみが)開いているっていうんでね。来年あたり追悼の意を込めて『ギララ・ガッパ超特急』をやりたい」と“追悼映画”のアイデアも明かしている。
映画は、加藤夏希さんと加藤和樹さんらが出演するほか、ビートたけしさん、リリー・フランキーさん、みうらじゅんさんらが特別出演。26日から東京・新宿ピカデリーほか全国でロードショー予定。北海道では実際のサミットに合わせて5日から先行公開される。【細田尚子】
2008年7月4日