診療科、「男性泌尿器科」などOKに
医療機関が広告できる診療科名がこの4月に改正され、「男性泌尿器科」や「ペインクリニック整形外科」などが新しく認められるようになった。厚生労働省によると、今回の見直しは、患者や地域住民が自分の病状に合った適切な医療機関を選択できるよう支援するのが狙いだが、患者や医療現場などには、新しい診療科名への戸惑いもある。(兼松昭夫、吉澤 理)
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医療機関が広告できる診療科はそれまで、例えば内科や外科、神経科、アレルギー科、呼吸器科など33科が政令に限定列挙されていた。しかし4月からは、基本的に診療科として広告できるものを内科や外科、精神科、アレルギー科、泌尿器科など20科に限定。従来は認められていた神経科や呼吸器科などは、広告できなくなった。 ところが、従来は認められていなかった(1)身体や臓器の部位 (2)症状や疾患の名前 (3)性別や年齢など対象患者の特性 (4)診療方法の名前―と20の診療科名とを組み合わせて広告できるようになったため、選択の幅が飛躍的に広がった。
これにより、例えば基本的な診療科名の「泌尿器科」と「対象患者の特性」とを組み合わせた「男性泌尿器科」や、「内科」と「身体や臓器の部位」、「症状や疾患の名前」とを組み合わせた「血液・腫瘍内科」などが新しく認められた。また、従来の33科のうち、「心療内科」や「整形外科」など9科は、「内科」や「外科」との「組み合わせ」によって引き続き広告できることになった。
しかし、「整形」と「内科」、「男性」と「産婦人科」といったあり得ない組み合わせや、実際に一部で広告されているものの、政令に規定のない「糖尿病科」や「ペインクリニック科」などは広告できない=表=。
厚労省は、使えない診療科名を広告している医療機関には、できるだけ早く変更するよう呼び掛けている。ただ、看板の掛け替えに一定の費用を要するため、あまり強くは要請できないのが実情だ。このため、4月よりも前に広告していた診療科については、広告を作り替えたりするまでの間は認めるという。■広告への対応、媒体ごとにばらつき
今回の改正を受けた対応には、医療機関の広告を扱う媒体によって温度差がある。地域ごとの職業別電話帳「タウンページ」を発行するNTT番号情報では4月以降、新たに広告掲載の契約を交わす医療機関に対し、新たな基準に基づく診療科を記載するよう求めている。
タウンページでは、今回の改正に合わせて見出し項目を新しい診療科に統一した。医療機関が前年の広告版下の流用を希望する場合にも、「新たな広告」と同じ扱いにしている。
これに対して、JR駅構内の看板広告などを扱うJR東日本企画は、契約の更新があっても意匠などに変更がなければ、新しい広告とはみなさず、従来の診療科をそのまま表示できると解釈している。
東京電力の電柱広告を扱う東電広告も、看板を掛け替えるのに合わせて新基準にそろえる方針だ。
媒体によって対応が異なることで、例えばタウンページの広告と電柱広告で、同じ医療機関の広告なのに診療科が一時的に異なるケースも考えられる。このため、患者の混乱を招きかねないと懸念する声もある。
■「胃腸内科」と「胃腸外科」どちらに?
医療機関による情報提供に詳しい消費生活アドバイザーの坂本憲枝さんは、今回の改正について「おなかが痛くても胃が悪いのか、肝臓に問題があるのかは普通の人には判断できない。胃腸の具合が悪い場合に、胃腸内科と胃腸外科のどちらにかかればいいのか」と話す。
「診療科による役割の違いを明確に伝えて、どの医療機関にかかればいいのかを分かるようにしてほしい」と、坂本さんは提案している。
埼玉県内で診療所を経営する医師は、「今回の改正自体、知らない関係者も多い」と話す。
全国の麻酔科医などが加盟する日本ペインクリニック学会には、週に2本ほど、診療科の広告に関する問い合わせが寄せられている。
問い合わせは「具体的にどう標榜すればいいのか分からない」といったものが多いといい、同学会では7月に開催する大会やホームページなどで、この問題について会員に説明する方針だ。
更新:2008/07/04 14:02 キャリアブレイン
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