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絵本と出会いの場に美容室
2008/06/24の紙面より
鳥取県立図書館と県美容業生活衛生同業組合は、美容室でお客さんに絵本を紹介する運動を進めている。絵本のパンフレットを置いたり、図書コーナーを設ける店もあり、倉吉市を中心にして活動の輪が広がっている。美容室から絵本の普及を目指した全国的にも先進的な取り組みで、関係者の期待を集めている。
忙しいお母さんにも好評
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美容室の絵本コーナーを視察する県立図書館の森本館長(左)ら=18日、倉吉市のげんきはうす |
図書館が身近に
最初に絵本紹介を実行したのは倉吉市米田町二丁目の美容院「げんきはうす」。昨年秋、店内に絵本の“図書館”を開設した。県立図書館と連携して、約三十冊の絵本を買いそろえている。
オーナーの岩本佐代子さんは、孫に絵本を読み聞かせるようになってから、「情操豊かな子どもに育つには、絵本の力が大きい」と実感したという。県立図書館に相談したところ、美容室を絵本との出会いの場にしてはどうかとアドバイスを受けた。絵本選びは県立図書館の情報を基にして、子どもたちが興味を示し、夢のある絵本を少しずつ買い足している。忙しいお母さんたちにも好評で、「おかげで図書館を身近に感じる」という声も届いた。
県美容業生活衛生同業組合の倉吉支部長を務める岩本さんは「美容業組合で社会貢献の一環として取り組みたい」と、県内に“絵本のある美容室”が増えるよう呼び掛けている。
広がる絵本の輪
県立図書館では、絵本を紹介するパンフレット「よみ聞かせにおすすめの絵本」も作製し、同組合の三百七十三店舗に配布した。リストを参考にして絵本を置く美容室が増え始め、県内全域の店で絵本への関心が高まりつつある。
このほど絵本の普及に積極的に取り組む倉吉市内の美容室を視察した県立図書館の森本良和館長は「民間の努力で絵本の良さを広めてもらっている。美容室の目玉の一つにもなるだろうし、図書館と美容室ともにメリットがある」と今後の広がりに期待を寄せる。視察に同行した倉吉市立図書館の福井真喜代館長も「絵本が親子の触れ合いにつながる。図書館に来てもらうきっかけにもなる」と評価する。
親子のきずなを深め、子どもの想像力をはぐくむ絵本。一店の美容室から芽生えた取り組みが枝葉をのばし始めた。
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